増えるペットの肥満 原因と適切なダイエット方法を解説
犬・猫などペットの肥満が増えている!日本はペット肥満体国
厚生労働省「国民健康・栄養調査結果の概要」によると、20歳以上の人の肥満の割合は男性31.3%、女性20.6%となっています。一方で私たちと暮らしを共にする動物たちにも肥満が増加してきています。
日本国内の動物病院を訪れるワンちゃんの50%以上は肥満傾向または肥満と言われ、いまや日本はペット肥満大国になりつつあります。人と同様、肥満はペットに様々な病気のリスクをもたらします。本稿では、ペットの肥満について、その原因から対策まで解説します。
ペットが肥満になってしまう4つの理由
1.食事
「可愛いから」「美味しそうに食べるから」「これくらいいいだろう」という思いから、過量にフードを与えたり人の食べ物を与えたりすることが原因となります。
2.避妊・去勢手術
避妊・去勢手術の後、ホルモンバランスの変化から太ってしまうことがあります。
3.運動
運動不足などから摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスが崩れ肥満の原因となります。
4.おやつ
食餌以外に過剰におやつを与えているケースがあります。おやつを与える場合は1日必要カロリー範囲内でフード量と調整して与える必要があります。
例えば、5㎏の犬がビスケット2枚(約60kcal)食べるということは、人の場合ハンバーガーを1個食べた時の摂取カロリーと同等です。
肥満度はBCSという指標に照らしてチェックする
「ボディコンディションスコア(BCS)」という指標に照らし合わせてチェックします。
BCSは、見た目と触った感触で肥満度を5段階で評価する基準のことを言います。この評価基準は、犬と猫に共通しており、体型管理をする際の目安となります。5段階の基準は下記のとおりです。
肥満に伴うペットの病気リスクはたくさんある
肥満の問題は、単に体重が増えているだけ、というわけではありません。体重が増える、脂肪が増えることで以下のような病気のリスクがどんどん高まっていきます。
関節炎
関節に負担がかかって炎症がおこり痛みをもたらす病気で、慢性化すると変形性関節症へと移行します。
椎間板ヘルニア
背骨の間に存在する椎間板が突出または破れて内容物により脊髄が圧迫されることで歩行困難になる病気で、肥満もその要因になります。
呼吸器系の病気
小型犬の場合は、肥満になると脂肪で気道が圧迫され、呼吸状態が悪化する恐れがあります。また、その結果気管虚脱に移行する場合もあります。
内分泌(ホルモン)障害
副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能低下症、糖尿病など
その他
心臓病の悪化、ガン、熱中症、高血圧など
肥満対策と管理 ペットのダイエットは原因に向き合って対応しよう
ペットのダイエットは、その原因に向き合い対応していくことが大切となります。
食事管理<治療食のフード以外を与えない環境づくり>
ペットも人間と同様、体重を落とそうとして、食事量を極端に減らすと体調を崩す場合もあります。食事管理は獣医師の指導のもと行ってください。基本的には、肥満動物用に処方された治療食を使い、栄養バランスを考慮したダイエットをお勧めしています。
ただし、いくらダイエットフードを使っていても、おやつを与えたり人間の食べ物を与えたりしていると全く効果がありません。大切なことは、フード以外を与えない環境づくりの徹底にあるといえます。
適切な運動
動物は太るとあまり動かなくなり、肥満を助長・加速することにつながります。それは、体重や体形の影響、または肥満によって関節の痛みなどが影響している場合もあります。獣医師と相談の上、適切な運動管理をお勧めします。
ペットを太らせるのは飼い主の責任!ダイエットには自制心が必要
ペットを太らせるのは飼い主です。おねだりする動物に対し、ついつい与えてしまうことから肥満スパイラルが始まります。人間もペットもダイエットに関して共通していえることは、人間(飼い主)の自制心が必要ということです。
「かわいいからつい」「おやつをあげないとうるさいから」と飼い主の「やさしさ行動」が、結果としてペットの病気を引き起こし、寿命を短くしてしまうことにつながります。ペットがその天寿を全うするまで健やかに幸せに暮らせるよう生活環境を見直してみてください。
(田村 兼人/獣医師)
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