世界初、人工知能が制作した肖像画のオークションを今秋ニューヨークで実施

世界を代表するオークションハウス(競売会社)のクリスティーズ(Christie’s)は、2018年8月、世界で初めて、人工知能(AI)が制作した肖像画を競売にかけることを発表した。

オークションは、米ニューヨークの競売場で同年10月23日から25日まで実施される。

・人工知能が芸術家の創造性を模倣し、肖像画を制作

70センチの正方形のキャンパスに描かれたこの肖像画の“作者”は、仏パリを拠点とするアーティストや研究者らのグループ「Obvious」が開発した人工知能だ。

この人工知能は、生成モデルと識別モデルの2つのネットワークを互いに競わせながら学習させる「敵対的生成ネットワーク(GAN)」を採用しているのが特徴。

14世紀から20世紀までに制作された肖像画1万5000点のデータを与え、識別モデルが生成モデルの作品と芸術家の作品とを区別できなくなるまで、生成モデルに作品を制作させ続けたところ、芸術家の創造性を模倣できるようになったという。

・人工知能で制作した作品を美術品市場はどのように評価する?

「人工知能が制作した作品の著作者は誰なのか」など、芸術分野への人工知能の応用については様々な課題が指摘されているが、人工知能の活用によって、人間が持つ潜在的な創造性を引き出すことができるのではないかとの期待も寄せられている。

クリスティーズでのオークションは、人工知能で制作した作品が、実際の美術品市場でどのように評価されるのかを探る試金石としても、注目を集めそうだ。(文 松岡由希子)

Christie’s

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