異端系食堂!絶滅危惧食!? 安くて美味くて地元民に愛され続ける「絶メシ」って?

異端系食堂!絶滅危惧食!? 安くて美味くて地元民に愛され続ける「絶メシ」って?

 突然ですが、皆さんの町にこんなお店はありますか? 出すメニューは安くて美味い。地元民に愛され続ける名物店主がいる。店舗は歴史を刻んできたことがわかる古びたたたずまい……。昔は日本全国でよく見かけたであろうこんなお店も、時代とともに今ではずいぶんと減ってきているようです。

 けれど、「時代」という言葉だけで町に根づいてきた飲食店を失ってしまうのはあまりに惜しいもの。「絶滅しそうな絶品ローカルグルメ”絶メシ”を絶やすな」ということで、ここ最近、大きな盛り上がりを見せているのが群馬県高崎市なんです。

 絶メシを紹介するローカルグルメサイトが作られたり、テレビ放送で取り上げられたりするにつれ、高崎は”絶メシの聖地”としてじょじょに知られるように。そして、選りすぐりの28店舗をセレクトして一冊にまとめたものが、本書『絶やすな!絶品町グルメ 高崎絶メシリスト』となります。

 絶メシの魅力をあげるならば、そのひとつに「ゆるい」という点があるかもしれません。本書の冒頭に「絶メシ店を利用する前に」として3つの心得が出てくるのですが、それは「営業時間や定休日が記載と違っても、寛容な気持ちで受け入れるべし」「良心的な人数で行き、オーダーはなるべくまとめてすべし」「食べた後は、感謝の心を伝えるべし」。マニュアル通りで規律化されたチェーン店と比べ、個人経営ならではのゆるさがあるところこそ「絶メシ」店のよさであり、そうした部分まで含めて楽しむことが私たちには求められそうです。

 たとえば最初に登場するお店「大豪」。「看板ナシ、メニューは2品、営業時間は2時間半。高崎が誇る”異端系食堂”」とあります。しかも店主の小曾根さんはニコニコ笑顔で「こんな汚ぇ店を紹介したって仕方ねぇだろ。」なんて言っちゃってる。

 でも料理の写真を見たら、誰もが抱く感想は同じ。「た、食べてみたい……!」じゃないでしょうか。「野菜炒め定食」は、ニラやもやし、ひき肉がボリュームたっぷりに盛られた中央に生卵がぽとり。辛みのある炒め物が卵のおかげでマイルドになって、白いご飯がとめどなく進みそう……!

 小曾根さんによると味の決め手は「塩とうま味調味料だよ」とのこと。そう、ウマいは正義。これぞ”絶メシの中の絶メシ”だそうで……うん、だんだん「絶メシとはなんぞや」がわかってきましたよ!

 ほかにも、食後になぜか牛乳が出されるというソースカツ丼の名店「一二三食堂」や、ラム肉に塩とすりおろしにんにくを混ぜた「バクダン」が名物の「山木屋」、昭和の空気と時間が流れるガチの純喫茶「コンパル」など、どの店も本当に魅惑的!

 絶メシ店の多くは普通なら現役を引退しているような大ベテランの料理人が腕をふるっている店も多く存在します。それだけに「絶滅危惧食」や「食えなくなっても、知らねえよ~!」といった本書の煽りも、あながち誇張ではなさそう。

 だからこそ、気になるお店には今すぐにでも行ってみたくなる。少々遠かろうが、あえて高崎まで足を運んで食べてみたくなる人も多いはず。本書を読んで絶メシにそそられた方には、ぜひ迷わず行ってみていただきたいものです。ただ、問題がひとつ。それは一日ではいくつものお店を回り切れないこと! 心惑わせるお店が次々に登場してくるので、どうやって選べばよいのか頭を悩ませることになりそうです。

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