アメリカ陸軍のレーザー兵器、1000万ドルの予算で新たな段階へ



2018年8月6日(現地時間)、アメリカ陸軍はダイネティクスとロッキード・マーティンに対し、宇宙ミサイル防衛コマンド(SMDC)で用いる車載型100kW級レーザー兵器(HEL TVD)開発を新たな段階へ進めるため、総額1000万ドルの契約を結びました。ダイネティクスとロッキード・マーティンが同日に発表しています。
ダイネティクスは大出力レーザーの開発に強みがあり、陸海空軍のレーザー兵器開発に深く関与しています。ロッキード・マーティンはこの大出力レーザーを兵器としてまとめ上げるパッケージングの部分を担当します。
アメリカ陸軍宇宙ミサイル防衛コマンド(SMDC)が構想する車載型高出力レーザー(High Energy Laser Tactical Vehicle Demonstrator=HEL TVD)は、100kW級レーザーを搭載した車両で、接近する敵性ドローンやミサイルの本体やセンサー部をレーザーで焼いて、無力化(撃墜)しようというもの。機動的に展開して、レーザー照射までの電源を含む各システムの起動時間を短縮し、素早い迎撃ができることを目指します。
ダイナティクスとロッキード・マーティンは、これまでにこの計画で、30kW級レーザーの「ATHENA(Advanced Test High Energy Asset)」システムを開発し、2015年に飛行中のドローンに対してレーザーを照射して撃墜することに成功しています。
今回の新段階への予算獲得は、2017年に成功した60kW級レーザーの試験が成功したことを受けてのもの。徐々にレーザーの出力を向上させており、今回はついに100kWの大台を目指します。レーザーの出力が上がると、その分使用する電力も大きくなるため、いかにコンパクトな電源装置と、中途損失が少なく高効率のシステムの構築ができるかが技術的なチャレンジとなります。
レーザーシステムを搭載した車両の最終組み立ては、アラバマ州ハンツビルにあるロッキード・マーティンの施設で行われます。順調に開発が進めば、陸軍では100kW級レーザーの実射試験を2022年に予定しています。
Image:Lockheed Martin
(咲村珠樹)
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