尾崎裕哉、初単独フルオーケストラコンサート注目の東京公演をレポート 尾崎裕哉&尾崎豊作品が管弦楽の響きとともに
26歳で終止符が打たれた父親の墓碑銘にはこう刻まれている。<生きること。それは日々を告白してゆくことだろう>――尾崎裕哉にとって初めての単独フルオーケストラ公演(7月24日@東京芸術劇場)を観ている間中、その墓碑銘が通奏低音として胸中に吹いていた。?澤寿男指揮によるフルオーケストラとの助走が終わると、3曲目から尾崎豊の「ダンスホール」「優しい陽射し」「OH MY LITTLE GIRL」がメドレーで続奏される。主役の足元を木漏れ日状のライトが照らし、“組曲”の物語性を巧みに彩る。熱烈な尾崎豊ファン以外にも既知の名曲揃いでありながら、その実、毀誉褒貶なR&R的神話の影に隠れがちな、流麗にして珠玉の旋律&歌詩を丁寧に掘り起こしては歌い継ぐ――そんな尾崎裕哉の意思が透視できる構成だ。さらに「サムデイ・スマイル」「想像の向こう」と2曲のオリジナルを挟みつつ、世代を越えた不朽の人気愛唱歌「僕が僕であるために」へと、(さながら1枚の音盤上を針が進んでゆくかのように)ジョイントされる流れは見事の一言に尽きる。その繋ぎの瞬間を喩えるならば、<豊/裕哉>という永遠の見えない壁(=重圧)に挑んだ末、気づいてみたら<豊=裕哉>の奇跡的な架け橋が開けていたかのよう。
休憩を挟んで後半の滑りだしはオケ演奏のみの「カヴァレリア・ルスティカーナ」が流された。映画『ゴッドファーザーPART ?』の最後に流れるマスカーニ作品にして、本公演の音楽監督・須藤晃氏のお気に入りの曲。尾崎父子への献歌として選んだと思しき心憎い演出だ。中盤は尾崎裕哉自身の“日々の告白”が織り込まれた「つかめるまで」「愛か恋なんてどうでもいいや」が連打され、フルオーケストラ効果の粒立ちが従来以上の歌詩の染みを覚えさせる。「I LOVE YOU」の後は、父の背中を遠望しながら自らの居場所を模索していた季節を描いた作品「27」。まさにこの公演当日、29歳を迎えた尾崎裕哉は“僕が僕である”場所に堂々と佇んでいた。迫力あるクワイヤ(合唱団)を含む総勢100名で歌い上げた「Glory Days」は圧巻!それは亡父の遺志と“それから”を高らかに歌い上げ、その蘇生=継承を誓うラスト曲として聴衆を魅了し、スタンディングオベーションの喝采に塗れた。そしてアンコールは1stシングル曲の「始まりの街」。彼の道程を灯しつづけてくれた人たちへの想いを綴った歌詩で締め、父・尾崎豊が未踏の地平へと歩む決意を誓った。
text by 末次安里(OutThere編集長)
◎公演概要
【billboard classics HIROYA OZAKI PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2018】
東京芸術劇場
2018年7月24日(火)
指揮:?澤寿男
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
音楽監督:須藤 晃
〈演奏曲〉
尾崎裕哉オリジナル「Glory Days」「始まりの街」「君と見た通り雨」「音楽が終わる頃」
「サムデイ・スマイル」「想像の向こう」「Moonlight」「27」と、尾崎豊作品「Forget-me-not」 「I LOVE YOU」「僕が僕であるために」「ダンスホール」「優しい陽射し」「OH MY LITTLE GIRL」ほか
◎今後の公演
〈西宮公演〉
兵庫県立芸術文化センター大ホール
2018年8月12日(日)
開演15:00
指揮:?澤寿男
管弦楽:日本センチュリー交響楽団
合唱:ソウルバードクワイア
音楽監督:須藤 晃
チケット:6,500円/ペアチケット12,000円(いずれも税込・全席指定)
※特製プログラム付
※未就学児童入場不可
チケットぴあ 0570-02-9999 (Pコード:118-057) http://w.pia.jp/t/bc-hiroya/
ローソンチケット 0570-084-005 (Lコード:55454) http://l-tike.com/bbc-ozaki
イープラス http://eplus.jp/bc-oh/
芸術文化センターチケットオフィス 0798-68-0255 (10:00~17:00 月曜休み、祝日の場合翌日休み)
お問合せ:YUMEBANCHI 06-6341-3525 (平日11:00~19:00)
URL:http://billboard-cc.com/classics/hiroyaozaki2018/
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