米のリーダーシップ専門家が指摘する“人工知能”時代に求められるパフォーマンスとは

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米のリーダーシップ専門家が指摘する“人工知能”時代に求められるパフォーマンスとは

ハイペースな現代において、パフォーマンスを保つために最も必要なものはなんだろうか。「やる気」「体力」「効率」…いずれも大事だが、業務と業務の間でこまめに「回復」する力を無視することはできない。

アメリカで出版され、このほど邦訳された『心を休ませるために今日できること』(ボニー・セント・ジョン、アレン・P・ヘインズ著、三浦和子翻訳、集英社刊)は、回復(マイクロ・レジリエンス)の重要性とその方法を教える一冊だ。

今回、来日した著者の一人でパラリンピックピックメダリスト、そしてリーダーシップの専門家であるボニー・セント・ジョン氏に話をうかがうことができた。

インタビュー前編はこちらから

「これからより変化は速くなる」とボニー氏。そこで問われる人間の力とは一体どのようなものなのか。

■まずは「頭の切り替え」から 回復力を高めるには?

――『心を休ませるために今日できる5つのこと』には、脳を鍛え直し体の元気を取り戻す5つのフレームワークが紹介されています。このフレームワークのどれか一つから始めるとしたらどれが最適でしょうか?

ボニー:5つのフレームワークはそれぞれ関連しているので、相互に実行することで最も役に立ちます。考え方は人それぞれですし、どれか一つやればいいとか、どれが一番いいというものではありません。

ただ、「脳の使い方を切り替える」を最初に持ってきている理由は、燃え尽きているのは頭だからです。頭が疲れちゃうと何もできなくなるでしょう? まずはそこを回復させて、使い方を切り替える。目的と目標をはっきりとさせないと次には進めないけれど、まず頭が疲れていて出来ていない人も多いですよね。

その上で全部やっていけば5つのフレームワークはお互い強化されていくので、ぜひいろいろとトライしてみてほしいです。

――2つ目に取り上げられている「原始的な恐怖をリセットする」では、ポーズ(体勢)を作って自分の挑戦心を高める方法が紹介されています。

ボニー:ストレスが大きくなりそうなときに、例えば両脚を開いて立って両手に腰を当てたり、両足を机の上に投げ出して座って両手を頭のうしろで組んだりすることで、ストレス反応を和らげることができるんですね。

――ただ、日本のオフィスですと「こういうポーズを取るのも難しい」という声もあるんですね。

ボニー:そこはリーダーが率先して言うことが大事ですね。「みんなでやってみよう」と。それから、人前でする必要はないので、空いている会議室やトイレに行って、ポーズを取ってもいいんですよ。

――「マイクロ・レジリエンス」は個人の働き方に応用できるものですが、会社全体での取り組みとしてこの方法を導入できないかとも思います。

ボニー:そうですね。本は個人向けですが、私たち自身は様々な業界にアプローチし、回復を早くさせようという文化を、セミナーなどを通して会社に定着させようとしています。また、トレーナー教育も合わせて広げていこうと思っています。

現代の変化は並大抵の速さではありません。5年後、社会がどうなっているのか、もう見当もつきませんよね。そうした変化に対応するために企業は早急に動かなければ、生き残ってはいけないと思います。

その時に大切になるのが回復力です。回復力を身に付けなければスピードに対応できない。ある企業の役員がこんな話をしていました。「変化が速いと言っているけれど、実は今が一番遅いんです。これから先、もっと速くなる」と。

――なるほど…。

ボニー:これは大事なことです。もっと速くなる(笑)。

――では、ボニーさんは今後私たちの「働くこと」の意味がどのように変化するとお考えですか? 例えば人工知能の発達によって仕事によるパフォーマンスの定義はどう変わるのか。考えをお聞かせ下さい。

ボニー:働く上では「回復」はますます重要になるでしょう。ある程度の仕事はAIがこなしてくれるようになるでしょうし、例えば弁護士の仕事もAIができるようになるのではと言われています。

その中で人間は「人間にしかできない仕事」を求められます。つまり、脳を使ってクリエイティブを高めていかないといけない。ただ、日々の業務で燃え尽きて疲れ切っていたら、それを高めることはできませんよね。

常にアップグレードし続けていかないといけない。そうでないと無駄が多くなります。そうした上でベストを尽くすには、マイクロ・レジリエンスが役に立つと思っています。

――ボニーさんは回復のためにどんなことをしていますか?

ボニー:All of them! 全部やっています(笑)。そうじゃないとパフォーマンスは出せませんからね。今回のように日本に来ても欠かさず行っていますよ。、ゾーンを確保する、つまり自分が集中できる時間や場所は旅先でも必ず確保するようにしています。そうしないと、自分が流されてしまいますから。

――現在、日本とアメリカ・ニューヨークは時差が13時間あります。その大きな時差の中でもパフォーマンスを落とさないために「マイクロ・レジリエンス」は欠かせないわけですね。

ボニー:そうです。このようにインタビューを受けるのも分かっていましたから、賢くなってないといけません(笑)。なので、朝はホテルで必ずジムに行って体調を整えます。ほんの短時間ですが、行くことが大切だと思っています。

――最後に日本の読者の皆様にメッセージをお願いします。

ボニー:日本の方々はこの本の最高の読者ではないかと思います。皆さん、働き過ぎです。でも一生懸命働いてしまう気持ちも分かります。そういう人にぜひ読んでほしい。この本を通して幸せになって下さい。

(了)

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