『Redemption』ジェイ・ロック(Album Review)

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『Redemption』ジェイ・ロック(Album Review)

 米カリフォルニア州ロサンゼルス出身の33歳。ケンドリック・ラマーとのヒップホップ・ユニット=ブラック・ヒッピーの活動をはじめ、オマリオンやタイ・ダラー・サインといった人気アーティストの作品に参加するなど、根強い人気を誇るラッパーのジェイ・ロックが、新作『Redemption』を2018年6月15日にリリースした。

 本作は、R&B/ヒップホップ・チャート2位、ラップ・チャートでは初のNo,1を獲得した前作『90059』から3年振り、3作目のスタジオ・アルバム。リリース直前には、ケンドリック・ラマーのプロデュースによる 『ブラックパンサー:ザ・アルバム』(全米1位)に収録された「King’s Dead」が、全米ビルボード・ソング・チャート(HOT100)で最高21位、 R&B/ヒップホップ・チャートで13位をマークするスマッシュ・ヒットを記録。それに続き発表した先行シングル「Win」も反響を呼び、アルバムのプロモーションに繋げた。

 その「Win」は、ドレイクのプロデュースで知られるヴァイナルズと、 ジェイ・ロックによる共作。この曲には映画『トゥルー・グリット』(1969年)に使われた「Rooster and Runaway」という曲がサンプリングされていて、壮大なスケールの仕上がりになっている。先日発売した3rdアルバム『 KOD』が大ヒット中のJ・コールがゲスト参加した「OSOM」には、ドイツの作曲家ノーマン・キャンドラーによる「Sailing Dreams」が起用されていて、こちらも古き良き音と、ヒップホップ・トラックが融合した傑作に。ソフト&メロウに乗せたJ・コールのコーラスもすばらしい。

 大ヒットした「King’s Dead」は、ジェイムス・ブレイクのパートをカットしたアルバム・バージョンとして収録。ヒップホップ・アルバムとしてのコンセプトを優先したか(?)、フューチャーとケンドリック・ラマーのコーラスはそのままになっている。この曲の他、自身がゲストにクレジットされたヒット・ボーイとの共作「Wow Freestyle」や、R&Bシンガーのジェレマイがフューチャーされた「Tap Out」も、ケンドリック・ラマーがペンを取ったナンバー。その「Tap Out」はジャジーな雰囲気の、ボーカル・パートが主となるR&B寄りの曲。前述の「OSOM」や、カードー(Cardo)作の「Troopers」も、輪郭のハッキリしたコーラスが聴き心地良く、ラップを苦手とするリスナーにも優しい仕上がり。

 その中でも、ガイのデビュー・アルバム『Guy』(1988年)収録のクラシック「Pieces Of My Love」をサンプリングした、TDE所属のプロデュース・チーム=デジ・フォニックスのサウンウェイヴと、テラス・マーティン(ケンドリック・ラマー、スヌープ・ドッグなど)によるプロデュース曲「Redemption」は格別。この曲には、昨年大ブレイクした女性シンガーSZA (シザ) が参加していて、彼女の情感漂わすボーカルと、ノスタルジックなサウンドが見事噛み合っている。

 フランスのフォーク・デュオ、ココロージーの隠れた名曲「Trinity’s Crying」(2010年)を下敷きにした「Knock It Off」や、米メリーランド州出身のソウル・シンガー=ブレント・ファイヤズの「Sonder Son」を使った「For What It’s Worth」、ボーイ・ワンダとジェイク・ワンによる冒頭の「The Bloodiest」~ 90’s直結の「Broke +-」など、粒揃いの充実作。2016年2月にバイク事故を起こし、本来の予定より大幅に遅れたリリースとなったが、先行シングル「King’s Dead」の大ヒット含め、それが吉と出た。

Text:本家一成

◎『Redemption』
ジェイ・ロック
2018/06/15 RELEASE

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