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日本で唯一苦手なことは「シャコウジレイ…」一流企業脱サラ芸人【アイクぬわら】のクレイジー人生に学ぶ

――すごい話ですね。

アイク:運ですよ、本当に。まずは日本語を勉強しないと、と思いました。それでコマツさんに教わるんですが、お父さん、ゴリゴリの関西弁なんですよ(笑)。あのな、あのな、みたいな(笑)。でも、当時は違いなんてわからないじゃないですか。

一方で、日本に住むアメリカ人のいるSNSのコミュニティに、仕事を探したいと入れたら、マリコさんという女性が答えてくれて。何のビザで来たの、っていうから、観光ビザだと言ったら、それ3カ月しかいられないよ、と。教えてもらうまで知らなかった(笑)。

マリコさんに東京のビッグサイトで企業の合同説明会があると聞いて、5万円でAIRチケットを買って、面接を受けました。10社受けて、6社受かった。その中で一番給料が高かったのが、ゴールドマンサックスの「データセンターエンジニア」だったんです。

ネガティブなことを言われたら、無視

――ゴールドマンサックスで働きながら、お笑いタレントになるチャンスを待とうと。

アイク:ずっと忘れずに行動しました。ときどき、「ゴールドマンサックスを辞めてお笑いタレントになった」、と言われたりするんですが、順番が違うんです。お笑いタレントになるために、ゴールドマンサックスに入ったんです(笑)。

でも、ゴールドマンサックスで働きはじめたころ僕が話すと、みんな日本の同僚が笑うんですよ。なんでかな、と気づいたのが、「言葉」だったんです。コテコテのアメリカ人なのに、あのな、あのな、みたいなゴリゴリの関西弁をしゃべる(笑)。みんな大笑い。ここから「敬語」を学ぶんですが、今もプライベートは関西弁、敬語は関東弁です(笑)。

――お笑い芸人になるために、まず何から始めたんですか?

アイク:日本語の練習です。仕事が終わったら、とにかく日本の友達を探しました。彼女を作ればいい、とアドバイスしてくれた人がいたんですが、それはダメ。男女で言葉が微妙に違うから、女の子から日本語を学ぶとオネエ調になるんです(笑)。だから、男の友達ばかり探しました。

あとは、業界にコネを作ろうと、バーとかクラブとかに行きました。「いつかお笑いやりたい」と言っていると、つながるんです。でも、学んだこともあった。その場では日本人はみんないい人。でも、じゃあご飯行こう、となると急に「帰って予定を確認して……」とかになって(笑)。日本に長く住んでいるアメリカ人に聞いたら、それはシャコウジレイ、というんだと。つながり作るのに、すぐに覚えた難しい日本語です(笑)。

――日本人には何が面白いのか、というのも難しかったのでは?

アイク:なので、実際に日本人が笑ってくれることをチェックしました。これ言ったらウケる、とわかったらメモしてストックしていって。お笑い芸人になるのは難しいよ、ということも言われましたけど、気にしませんでした。アメリカで暮らしているころから、ネガティブなことを言われたときには、無視していましたから(笑)。

――そして、業界につながりを作った。

アイク:日本に来て5年くらいして、色々な縁で偶然友達になっていた俳優の渡部豪太さんが先輩を紹介してくれたんです。お笑い芸人になりたいと言ったら、あるときその先輩から電話がかかってきて、今から表参道に来ないか、と。よくわからないまま、ビルから地下に下りていくと、テレビで見たことがある芸人だらけで。もう大興奮ですよ。お笑いライブだったんですが、ゲストとして出てみたら、と。今まで覚えたもの、全部そこで出して、笑いを取って。

これがきっかけで、超新塾が新メンバー募集しているけど、興味はないか、と誘われたんです。2011年でした。僕の人生、全部、まわりの人のおかげ(笑)。

厳しく鍛えてもらえた幸運さ

――とうとう、本当に日本のお笑い芸人の仲間入りになるわけですね。

アイク:晴れて超新塾のメンバーになってまずはゴールドマンサックスを辞めようとしたら、おいおい!ちょっと待て、と言われて。早い早い、と。長く苦労してお笑い芸人になったわけじゃないから、日本のお笑い芸人の苦労を、何もわかっていなかったんです。そんなに甘いもんじゃない。芸人として食べていくって、とんでもないことなんだよ、と。

超新塾の大先輩4人(イーグル溝上・タイガー福田・ブー藤原・サンキュー安富)は、最初は本当にイライラされたと思う。上下関係知らない。マナー知らない。敬語知らない。基本の考え方を知らない。「ザ・アメリカ人」ですからたたき上げの芸人さんから見れば、異分子そのものなんです。面白いとは思ってもらっても、そういうことではない。よく怒られました。僕が師匠と仰ぐロッチ中岡さんにもよく叱られました。ロッチ中岡さんには、先輩後輩のイロハまで教えてもらいました。

後にアメリカのテレビが取材に来て、アメリカの番組で僕が密着を受けるんですが、そうすると「いつかオレも」「アイクみたいに」と周りの外国人から言われましたが、オレからすれば甘いなぁ、でしたよね。「わかってないなぁ」「きついよぉ」「ホンマにつらいよ」と(笑)。

――でも、それに耐えた。そういうことやってないと芸人として長続きしない、ということがわかったんですね。

アイク:そうです。本当にラッキーですよ。厳しく鍛えてもらえた。芸人がやらんといかんこと、すごい丁寧に教えてもらって。メチャありがたいことです。それだからこそ、芸人じゃない人とも、コミュニケーションが取れるようになったと思います。

――キツイから逃げようとは思わなかった?

アイク:夢があったら、そこに向かって頑張っていくしかない。本気でやりたいと思ったら、勉強だってできるし、第一線の人から教えをもらうことだってできる。どんどん飛び込んでいったほうがいいと思うんです。

僕にはフィロソフィー(哲学)があって。

それは自分がこうなりたい!とかしたい!という事をどんどんまわりに言うこと。まわりに言い続ければ、何かが動き出すと思うんです。

――お笑いのスキルはどうやって高めていったんですか?

アイク:トライ&エラーです(笑)。なんとなく、これおもろい、と思ったら誰かにぶつけてみる。日常で人と話すときにも、いつも笑わせることを考えています。それでうまくいったらメモする。だから、ときどき、いきなり一人で爆笑することがあるんです。思いついちゃって(笑)。メモは日本語ですよ。英語に翻訳せずに(笑)。

大事なものはハピネスだから

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