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オーロラ、ペンギン、バーで息抜き 一度行ったら14カ月帰れない昭和基地での南極生活

KDDIは国立極地研究所に毎年1名の社員を出向し、南極地域観測隊越冬隊(以下、南極越冬隊)の隊員として南極の昭和基地に派遣している。

南極は言うまでもなく過酷な環境の極地であり、通常の海外赴任とはまったく状況が異なる。昭和基地に近づける時期が限られることから、往復の航路を含めると、一度行ったら約14カ月、日本には戻れない。

南極ではどんな暮らしを送っていたのか? そして日々の業務内容とは? 第58次南極越冬隊の一員として2016年11月に日本を発ち、約1年間に及ぶ南極生活を経て2018年3月に帰国した笹栗隆司に話を聞いた。

南極・昭和基地の前に立つ笹栗隊員
第58次南極越冬隊の一員として昭和基地に赴任したKDDIの笹栗隆司

三度目の正直で、ようやく南極へ

――まずは南極生活お疲れ様でした。

「ありがとうございます。大きな怪我や病気もなく無事に帰国できたことがなによりです」

――笹栗さんはそもそもなぜ南極越冬隊に志願したんですか?

「普段の業務を飛び越えて、新しい経験を積むことができる貴重な機会だと考えたからです。実は過去に二度、社内選抜で落ちてしまったのですが、三度目の正直でようやく隊員に選ばれました」

――三度目! それだけ南極に強い思いがあったんですね。

「それもありますが、何度も応募したのは、選ばれなかったことが悔しかったから、というのが大きいです(笑)。20代最後の年に南極越冬隊の隊員に選ばれて、本当にうれしかったです」

LINEやFacebookが隊員たちの心の支えに

――笹栗さんの現地での業務内容について教えてもらえますか。

「私の主な任務は、昭和基地内のネットワークおよび日本とつながる衛星回線の運用保守です。昭和基地はKDDI山口通信衛星所とネットワークでつながっているので、その通信アンテナが故障していないかの点検や、スイッチやルーターといったネットワーク機器がつつがなく動作するように維持することが私の役割でした」

KDDI山口通信衛星所
KDDI山口通信衛星所

――素朴な疑問ですけど、南極でもインターネットって使えるんですか?

「はい、使えますよ。昭和基地のネットワークは、インテルサット衛星通信によってKDDI山口衛星通信所と接続され、そこから立川市の国立極地研究所に専用線で接続されています。昭和基地と極地研の距離は約14,000kmありますが、内線電話はつながり、イントラネットにも接続できます。昭和基地のネットワークは基本的には観測用ですが、伝送容量のスキマを使って隊員向けにもインターネット通信を提供しています。基地内ではWi-Fi経由でスマホ(データ通信)を利用することができます。回線速度は3Mbpsほど。3Gのケータイよりも低速な回線を隊員全員で分け合って使います」

――ネットワークに問題が発生したことはありましたか?

「数回ありました。ひとたびネットワークに障害が起こると、ほかの隊員たちから『LINEが使えない』『Facebookがつながらない』といった苦情が私のもとに寄せられます。そうならないように、不具合には誰よりも早く気づけるよう心掛けました」

――隊員のみなさんは現地でLINEやFacebookを使っているんですね。

「みなさん、LINEやFacebookといったコミュニケーションツールを活用して、日本にいる家族や友人とやり取りをしています。そしてそれが、隊員たちの心の支えになっています。通信のチカラが果たす役割の大きさを改めて実感しました」

日本とはまったく異なる、南極での日々の暮らし

――南極での日々の暮らしについて教えてください。隊員のみなさんはどういったところで暮らしているんですか?

「私たちの代は隊員が33名。それぞれに個室が与えられます。広さは4畳くらい。ベッド、机、クローゼット、本棚などがあります。お風呂、トイレ、洗面所は共同です」

南極・昭和基地の宿舎 南極・昭和基地の宿舎の浴室

――洗濯はどうしていたんですか?

「共同の洗濯機を利用します。屋外には干せないので部屋干しするしかありませんが、湿度が20%くらいしかないのですぐに乾きます。ただ、布団を天日干しできないのはつらかったですね」

――食事はどうでしたか?

「2名のシェフが交代で毎食おいしい料理を提供してくれました。今回はフレンチとイタリアンのシェフだったので、おいしいうえに、盛り付けも美しかったです。おかげでついつい食べすぎて、南極滞在中に5kgも太ってしまいました(笑)。趣向を凝らしたメニューはどれもおいしかったですが、個人的には特にカレーが楽しみでした」

南極・昭和基地の食堂

南極・昭和基地の食堂で提供された食事
南極では日替わりで様々な食事が食卓に並んだ

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