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『ロシュフォールの恋人たち』を400回以上観た著者が語る、映画本大賞2017第4位の書籍『ジャック・ドゥミ+ミシェル・ルグラン シネマ・アンシャンテ』のこと:前編

全く妥協が見えない作品『シェルブールの雨傘』

『ロシュフォールの恋人たち』の双子姉妹は、さまざまな雑誌のカヴァーを飾った

ーーータイトルにもなっている「シネマ・アンシャンテ」というのは、どういった意味なのでしょう?

濱田 これについては、本書のまえがきで山田宏一さんが書かれていますが、端的に言えば、ジャック・ドゥミとミシェル・ルグランの二人が自分たちの映画を指して作った造語で、「cinéma」(映画)と「chanter」(歌う)をかけ「映像と音楽の分かち難い関係」を表したものです。
 ご存知の通り、彼らのコラボレーション作品の大半が、ミュージカル映画で、なかでも『シェルブールの雨傘』(63年)『ロシュフォールの恋人たち』(66年)、『ロバと王女』(70年)、『パーキング』(85年)『想い出のマルセイユ』(88年)の5作品は、劇中で歌が重要な役割を担っています。
 
ーーー濱田さんにとって、ミシェル・ルグランが一番ハマっているジャック・ドゥミ作品はどれですか?
 
濱田 やはり『シェルブールの雨傘』ですね。あれこそまさに「歌う映画」ですから。とはいえ、最も多く観たこのコンビの作品は『ロシュフォールの恋人たち』で、すでに400回以上観ています。国内外の劇場で通算50回は足を運びましたし、あとはビデオ、LD、DVD、ブルーレイ……という具合に各種ソフトが発売されるたびに買い換えては繰り返し観ているので、冒頭から最後まで実尺通りに脳内再生できますよ。ただ、一番好きなのは『ローラ』で、あの映画のなかに、このコンビの全てが詰まっていると言っていい。未見の方にはぜひご覧いただきたいです。
 で、『シェルブールの雨傘』に話を戻すと、これは本にも書いたことですが、様々な困難を克服して執念で実現させた作品、全く妥協が見えない作品です。俳優陣を吹き替えにしてまで完璧な歌唱で歌を聴かせた点をはじめ、衣装やセット、俳優のちょっとした仕草まで、すべてジャック・ドゥミの美学に基づいて作られています。細かなところまで目が行き届いているんです。無論、ミシェルが手がけた音楽も。半世紀以上前にあれを実現させたんですから、ただただ脱帽です。鮮やかな色彩と見事な構図、そして劇的な音楽と可憐で繊細な芝居。悲恋の物語であると同時に反戦映画でもあり、作品に込められた想いの深さに胸が締め付けられること必至です。未見の方はぜひご覧ください。

<インタビュー後編に続く>


『ジャック・ドゥミ+ミシェル・ルグラン シネマ・アンシャンテ』

著者:山田宏一、濱田髙志
定価:本体2,500円+税
立東舎発行/リットーミュージック発売

PROFILE
山田宏一(やまだ こういち)
1938年ジャカルタ生まれ。東京外国語大学フランス語科卒。1964-67年パリ在住、その間「カイエ・デュ・シネマ」誌同人。著書に「友よ映画よ、わがヌーヴェル・ヴァーグ誌」「トリュフォー、ある映画的人生」「トリュフォーの手紙」「ヒッチコック映画読本」(以上平凡社)「映画千夜一夜」(淀川長治・蓮實重彦と共著、中央公論社)「ゴダール、わがアンナ・カリーナ時代」「「映画的な、あまりに映画的な 日本映画について私が学んだ二、三の事柄I・II」(以上ワイズ出版)「トリュフォー、最後のインタビュー」(蓮實重彦と共著、平凡社)「ヒッチコックに進路を取れ」(和田誠と共著、草思社)、訳書にローレン・バコール「私一人」(文藝春秋)「定本映画術 ヒッチコック/トリュフォー」(蓮實重彦と共訳、晶文社)スーザン・ストラスバーグ「マリリン・モンローとともに」(草思社)、写真集に「ヌーヴェル・ヴァーグ」(平凡社)などがある。

濱田高志(はまだ たかゆき)
アンソロジスト。これまで国内外で企画・監修したCDは500タイトルを数える。ミシェル・ルグランからの信頼が厚く、日本の窓口を務めている。ほかに宇野亜喜良や和田誠、柳原良平といったイラストレーターの画集の編集や手塚治虫作品の復刻、BSフジ『HIT SONG MAKERS 栄光のJ-POP伝説』、文化放送『鴻上尚史のことばの寺子屋』はじめ NHK-FMや USENの番組構成など、書籍、テレビ・ラジオの分野で活躍。2007年、ロジャー・ニコルス&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ『フル・サークル』をコーディネイト、以降、アルバム・プロデュースも手掛けている。

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(執筆者: Rの広報ガール) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか

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