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『KOD』J.コール(Album Review)

『KOD』J.コール(Album Review)

 2016年末に発売された4thアルバム『4・ユア・アイズ・オンリー』から1年半振り、通算5作目のスタジオ・アルバムとなるJ.コールの新作『KOD』。このタイトルには<Kids on Drugs>、<King Overdosed>、<Kill Our Demons>の3つの意味が含まれているそう。同じヒップホップシーンでは、ドラッグ使用をモロにラップするアーティストもいるというのにねぇ……。

 アルバム発売4日前に米ニューヨークのグラマシー・シアターでフリー・ライブを行い、本作の楽曲を初披露したJ.コール。 ライブの2日後にはカバー・アートとトラックリストをSNSで発表し、2018年4月20日にリリースしたという強行スケジュール……だったが、スピード感があったのはプロモーションだけでなく、 レコーディングもわずか2週間で終わらせたというから驚きだ。

 とはいえ、一気に制作したとは思えない出来栄えに、再び驚かされる。ラップスキルが高いのは今さら言うまでもないが、更に磨きの掛かった楽曲センスと、“これぞラップ・シーンの最先端”と言わんばかりの斬新なサウンドには驚き入る。もちろん、全曲をJ.コール自身が手がけ、プロデューサーには 「ルード」(2014年)の大ヒットでブレイクしたレゲエ・バンド=マジック!のメンバーである マーク・ペリザーや、リル・ウェインやドレイクなどのTOP10ヒットを手掛けたTマイナス等がクレジットされている。

 強く叩きつけるようなフロウで圧倒させるタイトル曲や、低音でつぶやくように歌詞を並べる「Photograph」あたりのハードなナンバーから、下品な高速ラップとピアノの美しい奏でが対比効果を与える 「ATM」、ラップと歌を交えた不安定なコード進行の「Kevin’s Heart」、左右から交互に叫ぶ強烈なヒップホップ感覚の「Motiv8」など、どれを取っても超一流。どの曲にも共通しているのは“90年代っぽさ”があるということ。

 唯一のゲストであるキル・エドワードが参加した 「Friends」~ ピアノ・トラックにずっしり重いドラム・ベースを重ねる「The Cut Off」も、当時の東海岸ヒップホップを再現している。中でも、2000年代初期に流行ったジャジー・ヒップホップ的要素含む「Brackets」は、雑なようで機微を浮き上がらせ完成度高い。トラップに飽きた方には是非聴いていただきたい1曲。

 アルバムを急遽発表したせいか、これだけの傑作が揃っているにもかかわらず、本作からの先行シングルはリリースされていない。しかし、米ビルボード・アルバム・チャート(Billboard200)でのNo.1獲得は確実かと思われる。というのも、TOP10入りしたシングルはこれまで1曲(2017年の「デジャヴ」)しかないにもかかわらず、4枚のスタジオ・アルバム全てがアルバム・チャート、R&B/ラップ・チャートで1位を獲得しているからだ。先行シングルのプロモーションに頼らずともアルバムは必ずヒットする。あらためて凄いアーティストだ。

Text: 本家 一成

◎リリース情報
『KOD』
J.コール
2018/4/20 RELEASE

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