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「食べられるだけでなく美味しいですよ」 幼虫バーガー・幼虫ミートボールを開発した『IKEA』傘下のSPACE10設立者インタビュー

先日、IKEAの幼虫バーガーと幼虫ミートボールの記事を執筆したのですが、開発したSPACE10の共同設立者、Simon Caspersen氏(以下、Simon)に詳しい話を聞くことができました。

試食してみたい? IKEAの幼虫バーガーと幼虫ミートボール
https://getnews.jp/archives/2030951

―SPACE10とは?

Simon:SPACE10は『IKEA』の支援を受けて2年半ほど前に設立した未来生活研究所(A future-living lab)です。『IKEA』の支援を受けているものの、組織的には『IKEA』に属していない外部の研究所になります。SPACE10では、今日直面している複雑な問題を探求し、明日の動向を研究しています。

SPACE10は、『IKEA』のビジョンでもある「to create a better everyday life for the many people(多くの人のためのより良い日常生活を創造する)」を実現するために、新しいコンセプトやビジネスモデルを創造しようとしています。また、世界中の専門家やクリエイターを集めることができるインタフェースとしても機能しています。

―幼虫バーガーや幼虫ミートボールを開発したきっかけは?

Simon:食品の3分の1が腐敗や過剰生産によって廃棄処分になるなど、食糧及び食糧の生産プロセスが地球上で暮らす全ての人々にとって問題となりつつあります。この問題に関しては、将来的な見通しも明るくはありません。世界の人口は前例がないほど増加しており、より多くの資源が求められています。 国連は今後35年の間に現在より1.7倍以上の食糧が必要であると推定しています。

私達は世界の人口が増え続けると同時に、気候変動が原因で農業用水と土地が減少していることを直視し、食糧生産をより効率的にする方法を考える必要があります。そこで、(食糧資源を枯渇させることなく)持続可能で健康的な選択肢を探求するための、『Tomorrow’s Meatball(明日のミートボール)』というプロジェクトが始まりました。幼虫バーガーや幼虫ミートボールといったメニュー開発は、このプロジェクトの一環です。
※インタビューでは度々「sustainable」という単語を使っていましたが、これは「食糧資源を枯渇させることなく継続利用できる」という意味になります。

―幼虫バーガーや幼虫ミートボールは本当に食べられるのですか?

Simon:もちろんです。食べられるだけでなく美味しいですよ。

―実際に食べたのですか?

Simon:はい(笑)。一般的に昆虫はタンパク質を多く含み肉よりも低脂肪です。食糧変換効率も高いので、私達のメニュー開発に追加しました。美味しいかどうか疑問でしたが、実際食べてみると美味しかったです。昆虫食は世界中あらゆる地域で見られる文化ですが、私にとっては未知の文化でしたが、良い意味で驚かされました(笑)。

―幼虫バーガーや幼虫ミートボールを試食した他の方の反応は?

Simon:気持ち悪いといって試そうとしない人が多いのですが、実際試食してみると「美味しい」という人がほとんどでした。

―『IKEA』のレストランで幼虫バーガーや幼虫ミートボールが提供される予定は?

Simon:現時点では、『IKEA』のレストランメニューに幼虫バーガーや幼虫ミートボールが並ぶ予定はありません。あくまでSPACE10のリサーチプロジェクトです。

―メニュー開発にはどれほどの時間がかかりましたか?

Simon:食品のトレンド調査など基本的な研究に2年、シェフを招いての(食糧資源を枯渇させることなく)持続可能で健康的な代替食品によるメニュー開発に1年費やしました。

―SPACE10のミッションとは?

Simon:SPACE10は研究所なので、代替食糧、技術革新、未知のグルメ領域などを探し求めます。ですが、料理は健康的で(食糧資源を枯渇させることなく)持続可能であれば良いとは考えていません。 料理は美味しくなければなりません。 そして、人々は食べたいという素直な欲求から料理を食べるべきです。

90年代にデンマークで寿司が初めて登場したことを覚えていますが、デンマークの人々は生の魚を食べるということに非常に懐疑的でした。今では、生魚を食べる習慣がなかったデンマークで、寿司は最も愛されている料理の一つです。 私達の研究は、普通の人々にとってこれまで馴染みのなかった食品を少しだけ馴染んでもらおうと努力していると言えるかもしれません。ただし、私たちの使命は人々が望んでいないことを無理強いすることではありません。

―昆虫を食べないといけなくなるような食糧難の時代はいつ頃くると思いますか?

Simon:昆虫食は食糧難の全てを解決する特効薬ではありませんが、私達は食糧の多様性についてより広く考える必要があります。穀類、豆類、ナッツ、微細藻類、昆虫、そして近い将来培養肉からもタンパク質を得ることができます。いつ食糧難が深刻化するかはわかりませんが、食糧問題に対する魅力的な解決策を見出すために、現在直面している課題について関係各所と共同研究しています。

―食糧問題を解決するためにSPACE10ができることは?

Simon:私達はコペンハーゲンの小さな研究所ですが、食糧問題は私達にとって最大の創造的課題の一つです。 これを解決するには非常に多くの人々の協力とコミットメントが必要です。一夜でどうにかなるものではありません。 私達は多くの人が食の多様性についてよりオープンな気持ちで、美味しく(食糧資源を枯渇させることなく)持続可能で健康的な食の選択肢を探し求めることができるようになることを願っています。

―ありがとうございました。

テレビのバラエティ番組で藤田ニコルさんが虫を食べていましたが、視聴者を楽しませる企画としての昆虫食ではなく、視聴者である一般人の舌を楽しませる“料理としての昆虫食”が当たり前の時代がそのうち来るのかもしれませんね。

※画像:SPACE10提供

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(執筆者: 6PAC) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか

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