体験を伝える―『ガジェット通信』の考え方

面白いものを探しにいこう 本物を体験し体感しよう 会いたい人に会いに行こう 見たことのないものを見に行こう そしてそれをやわらかくみんなに伝えよう [→ガジェ通についてもっと詳しく] [→ガジェット通信フロアについて]

<インタビュー>多彩な表現力でリスナーの耳と心を奪うMALIYA、1stAL『ego』と渋谷WWWワンマンへの想いを語る

<インタビュー>多彩な表現力でリスナーの耳と心を奪うMALIYA、1stAL『ego』と渋谷WWWワンマンへの想いを語る

 MALIYAの1stアルバム『ego』を携えたワンマンライブ【MALIYA 1st Album “ego” Release Live】が、4月10日に東京・渋谷WWWにて開催される。

 フューチャーソウル、ジャズ、ポップスを昇華した歌声とサウンドでテン年代を代表するシンガーとしてシーンに頭角を現し始めているシンガーソングライター・MALIYA。2016年に発表した1stE.P『ADDICTED』以来およそ1年半ぶりのリリースとなる『ego』は、1stアルバムと思えないほどの幅広い歌声の表現力や音楽性の多彩さに、とても驚かされる1枚だ。そんな彼女が、アルバム『ego』の楽曲制作や歌詞の世界観について、また、間もなく開催されるワンマンライブへの意気込みなどを語ってくれた。

–2016年8月にリリースしたEP『Addicted』は全編打ち込みでしたが、それに比べて今回のアルバムでは生音での楽曲が多い印象です。楽曲制作や音に対して何か意識の変化があったのでしょうか?

MALIYA:『Addicted』は、10代の頃から作り溜めていた作品を名刺代わりにと思ってリリースしたんですが、今回は一から作った新曲ばかりなんです。多分、その間に聴いてインプットした音楽が反映されているんだと思います。10代の頃は聴く音楽もメインストリームのものが多かったんですが、ここ何年かで昔のソウルだったりレコードをたくさん聴くようになって、ニーナ・シモンやアレサ・フランクリン、マリーナ・ショウをちゃんと聴き直して。アルバムの中でも1曲目の「Hard Liquor」は彼女達からのインスパイアが出ていると思います。なので聴く音楽が変わったというのは大きいし、後は自分のライブの影響もありますね。昔はクラブでオケだったのが、ギターやカホンと一緒にアコースティックでやるようになって、「もっとパンチのあるサウンドがいいな」と思うようになってから最近はずっとバンドセットなので。今回はその考え方を素直に作品にしました。

–アルバムではそういったソウルミュージックやファンクに加えて、ネオソウルなどに通じる楽曲もあればバンドサウンドも生音も入っていますよね。

MALIYA:バンドサウンドと打ち込みを一緒のアルバムにするのは悩んだ部分でもあるんですが、どっちも私の作品だからきっと共通点があると思ったし、考えすぎずにとにかく曲を仕上げていったらちょうど半分ずつぐらいになりました。

–雰囲気が変わっていくのに違和感がないですよね。ジャンルも音もこれだけ幅広いものを1枚に落とし込めるのはすごいと思います。アルバム前半の生音かた雰囲気が変わるようなインタールードの「Skit- Back To the 00s-」は、2000年代という時代と何か関係があるのですか?

MALIYA:「Skit- Back To the 00s-」は1stE.Pに入っている「Addicted」を逆再生したものなんです。アルバムでは「Skit」の次が「Wisp of Smoke」なんですが、「Addicted」と「Wisp~」は元々10代の頃に作った楽曲なので、アルバムでは「Skit」で自分の時間を巻き戻していって「Wisp~」に繋げるという流れがセットになっているんですよね。

–なるほど。10代のご自身とリンクしていたんですね。「Wisp of Smoke」は10代で作られて、なぜこのタイミングでアルバム曲に?

MALIYA:「Wisp~」は会いたいのに触れられなかったり涙が出ちゃったり、自分の気持ちも宙に浮いたままで…っていう叶わない恋と煙を重ねている曲なんですけど、思い入れが強い曲なのできちんと作り直したくて、バークリー時代の友人のYoshi(Yoshi Kodate)に相談したんです。Yoshiは海外にいるから細かい話し合いなどができずにいたので、最初は結構固めでエッジが効いた音が返ってきて。「もう少しマイルドな感じで」ってイメージを伝えたらもうばっちりなビートが来て、達成感がすごかったです。

–今回、ご自身の名義で初の客演を迎えた「Breakfast In Bed」では、Ryohu(KANDYTOWN)さんが参加、サウンド・プロデュースはSTUTSさんが手掛けられていますね。

MALIYA:昔から下北沢のGarageなどでRyohu君のライブは見ていたし、このアルバムにも参加してほしいなと思っていたんです。私のイメージだけど、Ryohu君って女の子が言ってほしい言葉をくれそうだなと思って(笑)それで、ビートをどうしようかなって考えた時に近い世代でフィーリングが合う人で思い浮かんだSTUTSさんにサウンド・プロデュースをお願いしたんです。

–MALIYAさんのクールなイメージを覆すような楽曲ですよね。

MALIYA:私一人だったら絶対生まれていない曲だと思います。STUTSさんがくれたビートに合わせてハッピーな曲にしたいと思いながら、メロディと歌詞を書いてRyohu君に投げたんですけど、レコーディング当日まで彼がどんなバースを書いてくるのか分からなくて。で、レコーディングの当日にRyohu君が歌ってくれた時に「求めてたやつー!」っていうラップをくれました(笑)

「Breakfast In Bed」は友達から聞いた話がテーマになっているんですけど、海外では子どもがお母さんに、とか、男性が女性に朝ご飯を作ってベッドまで持っていくという風習があるらしくて。日本だと女性は誰よりも早く起きて食卓に朝食を並べる家庭が多いだろうけど、それとは真逆のカルチャーがあるのを知った時にとても素敵な愛情表現だなと思って。

–キュンとしますね。私も朝起きてすぐにこの曲を聴いたりしています。

MALIYA:ありがとうございます。アルバムの中でも一番生活に寄り添ってる曲だと思っています。クリスマスにクリスマスらしい曲を聴くとやっぱりテンション上がるじゃないですか。そんな風に、書きたかった“朝の風景”という情景がきちんと見える歌が作れたのもSTUTSさんとRyohu君のおかげです。

–アルバムでは、曲だけでなく歌詞も曲ごとに様々な情景が浮かんできますが、「あなた」や「You」と相手に向けている楽曲が多い中、後半の「Numb hands」でがらっと歌詞の世界観が変わったという印象を受けました。

MALIYA:ずっと世の中で心痛いニュースが続くのを見ていて、自分の中で思うことがいろいろあったんですけど、その想いを歌詞にすることへの葛藤みたいなものもあって。私は1年の始まりに必ず、自分や周り、世界に対しても「これ以上悲しいことや嫌な事件が起きませんように」ってお願いするんです。基本的には皆生活している中で、仕事や家族や恋人や友達って、自分の周りだけで精一杯じゃないですか。だけど、絶対どこかでもっと広い世界に対して考える瞬間ってあると思うんです。「Numb hands」はそんな気持ちが素直に出てきた時に書いた曲ですね。

–音楽性も歌詞の世界も1枚の中で本当に幅広い本作に対して“ego”と名付けられていますが、言葉だけを聞くとエゴって自分を縛るものというようなネガティヴなイメージもあると思うんです。どうしてアルバムタイトルは“ego”だったのでしょう?

MALIYA:私にとってエゴは自分を守ってくれるものでもあるんです。今まで出会ってきた人皆にそれぞれのエゴがあって、「この人はそうやって言うけど私はこうだ」って自分を信じることができるものでもあるし。それに、色んな影響受けて色んな曲聴いて、それでも私は自分が思うことを歌って、自分のために曲を作って歌っているので、私にとって歌って何だろう?って考えた時に「エゴ」だなって思ってそのままタイトルにしました。なので、私が歌う歌を「こう思ってほしい」っていうのはなくて、聴いてくれる人の想いはそれぞれに持っていてほしいですね。

–アルバムは2月にリリースされましたが、リリース~現在までに変化や反響を感じられたことはありますか?

MALIYA:うーん。自分の知らないところで曲がかかっていたり、SNSでも直接会った時でも感想もらえたりすると、徐々にたくさんの人に聴いてもらえてきているのかなという実感はあります。

–いよいよ4月10日には『ego』を携えたワンマンライブが東京・渋谷WWWで開催されますが、WONK・荒田洸さん(Dr)や安藤康平さん(Sax)を迎えての豪華なメンツを迎えたバンド編成ですね。

MALIYA:すごいことになる予感しかしないですね(笑)元々ビッグバンドでライブをしたいという想いはあったんですが、今回ちょうど荒田君から「ホーンセクションを入れませんか?」と提案してもらって絶対やりたい!って。ギター、ドラム、ベースに加えてトロンボーン、トランペット、サックスが入ってコーラスも2人なので、自分史上初の大編成になりました。

–お1人でも曲を作られていますが、バンドの中で歌われている時はやはり違う楽しさがありますか?

MALIYA:私は制作しているほうが好きなんですけど、ライブの時は、やっぱり音を皆で作っている感じがすごく楽しいです。皆のモチベーションとコンディションで毎回音が変わるし、そこを引っ張れるのがボーカルかなとも思います。

–ワンマンライブまで日にちも近づいてきましたが、心境はいかがですか?

MALIYA:良い緊張感の中でライブに向かっていると思うので、後はもう、バンドの皆も見てくれる人たちも皆が楽しんでくれるのが1番ですね。

–1stアルバムリリース、そしてワンマンライブを経て、今後挑戦していきたいことはありますか?

MALIYA:楽曲提供はしたいです。自分が作る時も「MALIYAっていうアーティストに何を歌ってほしいだろう」という所から制作がスタートするので、歌うのが他のアーティストだったらどういう曲になるんだろうな、って思いますね。それに、私とは交わらないような、想像できないような方と一緒にやってみることで自分の可能性も広がっていくと思うので、曲を作ること以外にも、例えば写真やアートワークやPVなど、1人ではできないようなことでフィーリングが合う人と何かを作っていけたら嬉しいですね。

interview&text:神人未稀

◎作品情報
アルバム『ego』
TENS0001 2,800円(tax out)

◎ライブ情報
【MALIYA 1st Album “ego” Release Live】
2018年4月10日(火)
東京・渋谷WWW
OPEN 18:30 / START 19:30
出演:
Vo/MALIYA、Gt/北島優一、Dr/荒田洸(WONK)、Ba/越智俊介、Keys/井上薫、Sax/安藤康平(MELRAW),、Tp/ムーディーパトリック、Tb/ 河野礼央、Cho/大坂朋子、Cho/早川咲

ゲスト:
Ryohu(KANDYTOWN)、Harada Kosuke×Matsuda Hiromu

関連記事リンク(外部サイト)

<ライブレポート>ILLA J、『HOME』ジャパン・ツアーで示した兄J Dillaへのリスペクトと自身の現在地
MALIYA、2/7リリースの1stAL『ego』よりRyohuとのコラボ曲「Breakfast In Bed」MV公開 渋谷WWWワンマンも決定
唾奇×WONK荒田洸のコラボ曲「七日後」沖縄で撮影され“互いに溶け込みあった”MV公開

Billboard JAPANの記事一覧をみる
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。