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『マイ・ディア・メランコリー』ザ・ウィークエンド(EP Review)

『マイ・ディア・メランコリー』ザ・ウィークエンド(EP Review)

 ザ・ウィークエンドのEP盤 『マイ・ディア・メランコリー』 が2018年3月31日にサプライズ・リリースされた。本作は、全米アルバム・チャート(Billboard200)で首位を獲得した3作目のスタジオ・アルバム『スターボーイ』(2016年11月)からおよそ1年半振りとなる新作。

 発売前には、レコーディングの様子や、メッセージのスクリーンショットを自身のインスタグラムに投稿し、新作のリリースが近いことをファンにアプローチしていたウィークエンド。若干ヤラセっぽい(?)演出ではあるが、昨今ではSNSを利用してプロモーションをすることが、もはや常識化している。

 プロデューサーには、おなじみフランク・デュークス(ドレイク、ポスト・マローン他 )、大ヒット曲「スターボーイ」を担当したサーキット、ダフト・パンクのギ=マニュエル・ド・オメン=クリスト、ケンドリック・ラマーやビヨンセなどトップスターを手掛けるヒットメイカー=マイク・ウィル・メイド・イット、そしてスクリレックスも参加。フィーチャリング・ゲストは、フランスのイケメンDJ/プロデューサーのゲサフェルスタインが2曲にクレジットされている。

 そのゲサフェルスタインが参加した「 アイ・ワズ・ネヴァー・ゼア」は、遠のいていくボーカルとリフレインの連続、バックには不気味な電子音が響き渡る、ミステリアスなナンバー。もう1曲の「ハート・ユー」も、ファルセットを絡めた柔らかな謡回しに酔う、独特の世界観をもったウィークエンドらしい1曲だ。昨年のヒット曲「アイ・フィール・イット・カミングfeat.ダフト・パンク」に激似している箇所もあるが、そこはご愛嬌。どちらも、秀でたゲサフェルスタインのプロデュースと、ウィークエンドの個性が相性良く噛み合っている。

 本作中、特に秀逸なのが先行シングルの「コール・アウト・マイ・ネーム」。単語を連発するラップのようなヴァースと、高音でも力み過ぎず、抑えつつも感情をむき出しにするサビのボーカル・ワークがすばらしい。ピアノベースのシンプルな演奏、メロディラインの美しさ、ドラマチックな展開と 、どれをとっても完璧。「アーンド・イット」の再来か? タイトルや歌詞の内容から、元彼女のセレーナ・ゴメスに向けられた作品では?という憶測も飛び交っているが、果たして……。

 続く2曲目の「トライ・ミー」も、エコーのかかったボーカルがオルタナティブ・サウンドに溶け合った傑作。エコーは時に、歌唱力のないアーティストの作品で“誤魔化し”として使われるが、ウィークエンドの場合そうでないことは明らか。中近東っぽい旋律の「 ウェイステッド・タイムズ」は、途切れることなく高音が続くが、聞き手をまったく疲れさせない“癒し”効果があり、彼の魅力があらためて「声」だと実感させられる一曲。ラストの「プリヴィレッジ」も、マックスウェル~ディアンジェロあたりの、良質なネオ・ソウルを吸収したような、完成度の高いアーバン・ソウル。良い意味で、全曲タイトルが示す“憂鬱”っぽさを醸しだしている。

 米ビルボード誌に対し、本作について「原点回帰した」とウィークエンドの関係者が話していたが、たしかに、ポップ層にも支持された2nd『ビューティー・ビハインド・ザ・マッドネス』(2015年) と、前作『スターボーイ』とはカラーの違う 2013年のデビュー作『キッスランド』に近い作風になっている。 この傑作が、フル・アルバムで聴けないないのが残念でならないが、その分6曲に凝縮された濃密感がある。

Text: 本家 一成

◎リリース情報
『マイ・ディア・メランコリー』
ザ・ウィークエンド
2018/3/30 RELEASE

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