体験を伝える―『ガジェット通信』の考え方

面白いものを探しにいこう 本物を体験し体感しよう 会いたい人に会いに行こう 見たことのないものを見に行こう そしてそれをやわらかくみんなに伝えよう [→ガジェ通についてもっと詳しく] [→ガジェット通信フロアについて]

moffersイベントで議論深まる。自動運転・AI・IoT・xRなど先端領域で拡がるエンジニアの未来

企業で専門性を活かしきれていない人材を発掘する

従来のSIerやインターネット領域以外に、IoT、AI、データアナリスティクス、自動運転などの先端分野でもITエンジニアの活躍フィールドが拡大している。

moffers」はこれに注目した、そうした先端領域にチャレンジするITエンジニアを支援するために新たに立ち上げた年収確約転職サービスだ。

今回のイベントでは、これらの先端領域でどんなエンジニアが求められているかを展望するものになった。

まず登壇したのは、メルカリが昨年12月に開設した新たな研究開発組織「mercari R4D(メルカリアールフォーディー)」オフィサーの木村俊也氏。

R4Dは、従来の中央集権型の研究所ではなく、最初から他企業・研究機関とネットワークを意識したオープン・イノベーション型の研究所だ。

研究テーマは、「無線給電によるコンセントレス・オフィス」「類似画像検索のためのDeep Hashing Network」「ブロックチェーンを用いたトラストレスフレームワーク」「量子アニーリング技術のアート分野への応用」など多岐に及ぶ。

「メルカリ社内でも学生時代に最適化や量子力学を専攻していたエンジニアも少なくない。R4Dを開始して、仕事の幅を広げることで、彼らのこれまで持っていた専門性をさらに活かすことが可能となり、各々専門性を活かせる喜びを再認識している。

R4Dは将来的には、大規模なエンジニアリング組織に育てたいが、そのためには多様なバッググラウンドの研究者が必要になる。AI領域一つとってもさまざまな専門性が必要だ。先端領域にいながらその知識や経験を活かせないでいるエンジニアに活躍の場を提供したい」と、木村氏は語った。

“知性体”としての車と人間が共存する世界

スクウェア・エニックスでAIリードを務める三宅陽一郎氏は「ゲームAI開発者が考える自動運転の未来」と題してスピーチした。

「ファイナルファンタジー14」のキャラクターがゲームマップの中を自在に動き回るデモを見せながら、三宅氏は「これからはAI自身がゲームの中で意識を持ち、世界を体験し成長していくようなゲームが生まれる」と語る。

「ゲームAIがコンテンツに合わせて変化していく。これは自動車技術の未来でも同じことがいえる。人が車に合わせるのでなく、むしろ車が人に合わせて進化していくのだ。特に自動運転が普及するためには、車に感覚や記憶や会話機能を持たせる必要がある。

例えば車自体が車体の大きさや旋回半径を考慮しながら、現実世界での行動を起こすなど、AIに人間に寄り添うような判断をさせることが重要だ。私はこのような“知性体”としての車と人間が共存する世界を構想している」

エンジニアは現象とコンテキストを常に意識すべきだ

2人のスピーチを受けて登壇したのは、メディアアーティストで筑波大学ではデジタルネイチャー研究所を主宰する落合陽一氏だ。

落合氏はメディアアーティストとしての作品や、様々な分野の研究者との共同研究の成果を紹介しながら、「最近よく考えていること」として次のように述べた。

「技術開発を進める上では、鶏が先か、卵が先かという議論に止まるのではなく、走りながら技術をスケールさせ、社会の信頼を勝ちとっていく必要がある。

フェムト秒レーザーをやっている基礎研究者が量子コンピュータを開発しているように、基礎技術開発とアルゴリズム開発やアプリ開発は同時に進んでいく。そのようなスタイルが当たり前のようにできる研究組織=ラボが今求められている」

またAIなど先端領域における技術開発にあたっては、このように語った。

「エンジニアは今起こっている現象と、それがどのようなコンテキスト(文脈)の中にあるのかを常に意識する必要がある。

技術開発のレベルを一次元高めたつもりが、それによって課題が階乗倍に拡大することもあるので、コンテキストを間違えると、研究の方向性を見失うことになる。

自分たちの研究がコンテンツ的、工業的、数理的にそれぞれどういうレベルにあるのかも絶えず概念的に理解しておくべきだ」

先端領域で未来を創造する、エンジニアの新しい哲学とは何か

カンファンレンスの後半は、登壇した3人に、日産自動車でコネクティドカーの開発を進める村松寿郎氏が加わったパネルディスカッションが行われた。モデレーターはリクルートキャリア「リクナビNEXT」編集長の藤井薫氏が務めた。

アジェンダの一つ目は、先端領域における未来を生み出すにあたって、「エンジニアの哲学はどうあるべきか」というもの。この手の会議で「哲学」という言葉が使われるのは珍しいが、これは、パネリストの一人三宅陽一郎氏の近著に『人工知能のための哲学塾』という本があり、それに触発されたからだった。

1 2 3次のページ
CodeIQ MAGAZINEの記事一覧をみる
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。