小野賢章「人間っぽくない感じを出せたら」『映画プリキュアスーパースターズ!』インタビュー
3月17日より、“プリキュア”シリーズ最新作『HUGっと!プリキュア』を迎えた『映画プリキュアスーパースターズ!』が絶賛上映中。本作で、小野賢章さんが映画オリジナルキャラを演じます。
小野さんが演じるのは、主人公・野乃 はなが幼いころに迷い込んだ不思議な世界で出会った謎の男の子 ・クローバー。はなとクローバーの交わした約束が、作品のストーリーを大きく動かします。
今回は“プリキュア”シリーズに初出演となる小野さんにインタビュー。アフレコの様子や子供の頃のお話まで伺ってきました!
小野賢章「これをきっかけに妖精役が増えれば(笑)」
――妹さんと一緒に初代の『プリキュア』を見ていたそうですが、小野さん自身も楽しんで見ていたんですか?
小野:けっこう前になるので、お話の詳細はあまり記憶に残っていないのですが、その前の時間の戦隊モノからの流れで一緒に観ていたと思います。でも歌も口ずさめるくらいなので、楽しんで観ていたんだと思いますよ。
――『プリキュア』にまさか出るとは、と思いましたか?
小野:女の子の作品という印象が強いので、あまり縁はないものなのかな、となんとなく思っていました。オファーのお話をいただいた時はすごく嬉しかったですね。
――演じられたクローバーというキャラクターについて教えてください。
小野:不思議な世界にいる妖精のような男の子で、はなに出会う前からずっと色のない灰色の世界にいる。その世界は、元々はクローバーが一面に生えていてキレイだったんだけど、灰色の世界になってしまって、ずっとそこから出られずにいろんなことを諦めているような男の子です。
――予告編が解禁されたときに、小野さんの名前がまだ出ていなくて誰?といった反応があり、小野さんの名前が出て「え、そうだったんだ!」とけっこう驚きの声があったみたいですね。反響は届きました?
小野:届きました! それは僕としては、「よし、良かった」って。やっぱりどうしてもイメージを持たれることってあると思いますし、僕が今まで演じてきたキャラクターがある中で、「小野賢章がやるってことはこういう感じかぁ」みたいな想像を裏切っていきたいという思いはあるので、まぁ良かったというか、「しめしめ」という気持ちではあります。ただ、僕にとっても挑戦ではあったので、これをきっかけに妖精役が増えたらいいなと思います(笑)。いろんな可能性というか、広がりがまたひとつ持てて良かったなという気持ちですね。
――こうやって反響があるのは嬉しいですよね。
小野:やっぱり嬉しいですね、「誰だかわからなかった」と言われるのは。人それぞれだとは思いますけど、僕は誰だかわからなかったと思われたら、それは勝ちだなと思いますし、嫌なやつの役をやっているときに、「こいつ嫌だな~」って思われたらやっぱりそれが一番良いと思いますしね。そういう感覚に近いかなという気はします。
――どんなところを意識して声の方向性を決めていったのでしょうか?
小野:まず、10歳でこの見た目でというところで、高いところかな、というのはなんとなく思っていて。その中でキーワードとして「約束」、そしてキャラクターの雰囲気としてはちょっと儚げで不思議な男の子ということだったので、まぁ、僕の持てる限りの儚げと言えばやっぱりちょっと声も息成分を多めに、ウィスパー気味な感じかなとかいろいろ想像しつつ(笑)。
最大限男成分は抑えてやりましたね。ただ、それがしんどいというところは全然なくて、僕自身はすごく楽しんでやらせていただきました。クローバーに近しい声色のキャラはあるんですけど、それよりもさらに、人間っぽくない感じを出せたら良いなと思ってやりました。
プリキュアのセリフを合わせる技術に驚き!
――アフレコはみなさんと一緒でしたか?
小野:アフレコ自体は2日間あって、僕は1日だけ参加して全部録りました。『HUGっと!プリキュア』と『キラキラ☆プリキュアアラモード』のみなさんが一緒でした。
――新プリキュアのメンバーはまだ若い方もいますが、アフレコを見て感じたことは?
小野:フレッシュ! でもキュアエールのエールって元気に頑張れって応援するエールだと思うんですけど、引坂(理絵)さんは、その真っ直ぐさや声のパワーをすごく感じましたね。小倉唯ちゃんは、ずっと可愛い女の子を演じている印象があったので、今回のキュアエトワールで強いカッコイイ女の子を演じているのを見て、「あ、やっぱ声優さんてすごいな!」って思いました(笑)。唯ちゃんも僕が今回のような可愛い役って印象がなかったみたいで、びっくりしたって言ってましたけど、それとまったく同じようなことを僕は唯ちゃんには思ってましたね。
あと、やっぱり『キラキラ☆プリキュアアラモード』の先輩プリキュアたちの6人で一緒に同じセリフを言うときの息のピッタリさは、すごかったです。これがきっと1年間一緒に戦ってきた仲間の中で出来上がっていくものなんだろうな、と感じました。そして、「私達もこうなっていきたい」と『HUGっと!プリキュア』の3人も感じながら収録していたんじゃないかなって思います。
――小野さんは息を合わせるお芝居のときはどうしているんですか? 相手によって変えるんですか?
小野:相手や収録現場によって変わりますね。合わなかったら合わなかったで、録り直すしいいやって思っちゃうかもしれないです(笑)。でも、基本的には視界の端に見つつ、息を吸うタイミングで合わせたりはします。ただ、あまりそこだけにとらわれてもいけないので、本当に合わせてくださいってところは、別録りで「せーのっ」て言って録るときもありますね。
――それもあって『キラキラ☆プリキュアアラモード』キャストのすごさをより感じたと。
小野:すごかったです。尺の合い方と音程の上がり下がりの合い方とかもぴったりすぎてびっくりしました。
社交辞令はもう辞める?
――今回、女児アニメということで受けた演出や意識したことはありますか?
小野:女児アニメというよりは、親子で楽しめるファミリーアニメじゃないですか。だから、すごくシンプルにやろう、という意識はありました。何か裏があるとか、この時実はこういう風に思っていてという伏線とか、そういう難しいことは一切考えずに、「約束した」「約束が守られなかった」「悲しい」みたいにシンプルに考えて、真っ直ぐな気持ちでやれたらいいなと思いましたね。やっぱり子供ってすごく素直で割りと感じたままがすべてだと思うので、あまり難しいことしてもよくないんじゃないか、体当たりでやろう、という気持ちは演じる前からありました。脚本を読んでいても、物語はシンプルに進んでいきますし、その中に大事なものってあるなとすごく感じましたので。
「約束は守る」とかシンプルに大事なことって大人になってからあまり意識しない、無意識のうちにどんどん進んでいくことだと思うんですけど、そういうやって当たり前のことを改めてこうやって作品を通して見ると、本当に大事だなと感じました。
――この作品を通じて気付かされたことなどありますか?
小野:はなと出会うことによって、外の世界を見せてあげるという約束から始まっていくんですけど、思ったのは、人それぞれ約束の重さが違うなと。クローバーは何もない世界で一人ずっと寂しい思いをしていたので、約束がすごく大事。その約束しか楽しみがないというか。はなも別にその約束を軽く見ていたわけじゃないんですけど、それぞれによっての感覚の違いがある……。人それぞれ受け取り方も違うというのが、すごくシンプルに映画で表現されているなと思って印象に残っています。
――大人の小野さんから見ても刺さるところがある?
小野:そうですね。だからファミリー向けというのはすごくその通りだなと思って、子供は子供で素直に受け取って、「じゃあ約束は破っちゃいけないんだ」とか、「応援したらきっと上手くいく」って真っ直ぐな観点で見ていくと思うんですけど、大人は大人で、「あ、こういうことってやっぱ大事だよな」って改めて思って反省したりとか。どの世代で見ても刺さるものってあると思います。結局大事なものって突き詰めていくと誰でも一緒なんだなってすごく印象に残りました。
――小野さんは小さい頃から子役として大人の世界で活躍されてましたが、どんな子供でしたか?
小野:普通だったと思いますけどね。目立ちたがり屋だし(笑)、高校も芸能学校には行かずに都立に行って、普通の学生生活をしていたので、割りと一般的な感覚でいたとは思っています。ゲームもしたり、元気に友達とトカゲを捕まえに行ったりとかもしていたので(笑)。でも、負けず嫌いではありましたね。それは今でもそうなんですけど。
――クローバーは約束を破られたショックをずっと抱えていますが、小野さんの思い出に残っている子供の頃のショックな出来事は?
小野:親が転勤族で、僕は転校が多かったんですよ。だからやっぱり、仲良くなってもすぐ離れ離れになっちゃう、みたいなところは、子供ながらにショックでしたね。
――例えば、別れる時に「また遊ぼうね」とか「連絡取ろうね」と言っていて取らなくなったとか。
小野:小学生のときは、そういうことばかりでした。
――では、小学生の時は果たせない約束も多かったんじゃないですか?
小野:多かったと思います。今でも、ちょっと社交辞令的に「今度ごはん行こうよ!」って言う事ってあるじゃないですか。これが良くないな!って、今回、プリキュアに教えてもらいました(笑)。
――今後は社交辞令ではなく、本気で誘うと?
小野:社交辞令じゃなく、「ごはん行こうよ!」って言ったら、ちゃんとごはんに行けるようにスケジュールを空けて行きたいなと思います(笑)。
――最後に、今作の見て欲しい一押しポイントは?
小野:キレイな世界に行ってみたいけれど、気弱な性格でなかなか勇気がでない。そんなクローバーが、一歩踏み出す勇気を決意する瞬間の気持ちの変わり方みたいな部分を僕の中では大事に演じたので、そこを感じ取っていただけたらいいなと思います。それと、やっぱりファミリー映画は、最後に正義は勝って観た後の気持ちよさを感じるので、是非劇場で一緒にプリキュアたちの応援をしてもらえたらなと思います。
――ありがとうございました!
『HUGっと!プリキュア』と一緒に、『魔法つかいプリキュア!』『キラキラ☆プリキュアアラモード!』も活躍する『映画プリキュアスーパースターズ!』。ぜひ劇場で応援してください。
プリキュア公式サイト:
http://www.toei-anim.co.jp/tv/precure/
『映画プリキュアスーパースターズ!』絶賛上映中。
http://www.precure-superstars.com/[リンク]
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