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第15回肉肉学会に潜入!和牛の飼料で育てた28カ月齢ジャージー牛去勢を“118日熟成”させたら?

肉肉学会とは?

「肉肉学会」とは、和牛のお店を16店舗経営している「格之進」のオーナー千葉祐士さん、ニコニコ学会β交流協会会長の江渡浩一郎さん、東京大学先端科学技術研究センター教授の稲見昌彦さんら研究者が中心となり、農林水産省や有識者、生産者、料理人、消費者ら運営されているイベントコミュニティだ。

肉肉学会は、熟成度を科学的に研究したり、アンカンファレンスを開催して、肉を美味しいという味覚や心理のメカニズムや調理法などを追求している。

また、日本の食文化の基盤を強固にし、育み、発信することを目的として活動する「全日本・食学会」の肉料理部会分科会と位置づけられている。

「勉強会」ではなく「学会」としているのは、勉強会が「先生が生徒に教える場」であるのに対し、学会は「議論の場」であるからだ。

有識者が参加者に一方的に教えるのではなく、あくまで登壇者と参加者が互いに議論し合うのが本会の目的だという。

肉肉学会の副理事長で、東京大学先端科学技術研究センター 身体情報学分野 教授の稲見昌彦氏からは、「食には五感すべてが入っている」「肉はメディアである」という名言が冒頭から飛び出した。

「格之進」オーナー千葉祐士さん、東京大学先端科学技術研究センター 身体情報学分野 教授 稲見昌彦さん

15回目の開催となる今回は2018年1月27日、全日本食学会チームアカデミアおよび全日本食学会肉料理部会分科会との共催で行われた。

会場となった六本木にある格之進Neufには、業界や職種を超えた約50人の幅広い人材が集まり、2つの講演+食事・意見交換会では肉を囲んで超マニアックな話で盛り上がった。

但馬牛の歴史や繁殖事業の構造、放牧牛肉の取組みについて

1つ目の講演は、世界で最も有名な「神戸牛」や「特産松坂牛」の元となる但馬牛(たじまうし)を、その産地である兵庫県美方郡で飼育している田中畜産の田中あつみさんが登壇。但馬牛の歴史や繁殖事業の構造、放牧牛肉の取り組みなど、田中畜産の先見的なチャレンジについて講演した。

田中畜産 田中あつみさん

そもそも但馬牛というのは、和牛の品種の1つ。現在、和牛には「黒毛和種(くろげわしゅ)」「褐毛和種(かつもうわしゅ)」「日本短角種」「無角和種(むかく)」という4つの品種が存在している。

実は和牛の9割が黒毛和種なのをご存知だろうか。黒毛和種は、サシがよく入るため霜降りのイメージが強いが、他の品種に比べ、赤身の質がいいことも特徴だ。

田中畜産で飼っている但馬牛は、この黒毛和種の中でも「血統集団」であり、兵庫県但馬地域が原産地の牛で、約700年前に書かれた『国牛十図』という書物にも書かれるほど、その歴史は古い。

現在の黒毛和種の99.9%に但馬牛の血が入っており、但馬牛は「黒毛和種のルーツ」とも言われている。

兵庫県内で生まれた但馬牛を県内の指定された肥育農家で育て、県内の食肉処理場で屠畜された牛は「兵庫県産 但馬牛(たじまぎゅう)」だ。

さらに兵庫県産 但馬牛の中でも、特に格付けが良いなど一定の条件を満たしたものだけが「神戸ビーフ」と名乗ることができる。つまり、但馬牛の血を引いていないものは、神戸ビーフと名乗ることができないわけだ。

「兵庫県では、県内の黒毛和種である但馬牛以外の血液を一切入れない『閉鎖育種』という改良を行なっています。たとえ同じ黒毛和種であっても、他県の牛を交配して改良を図ることはありません」(田中あつみさん)

田中畜産は肥育〜販売まで、SPAを完璧にやっている

黒毛和種は基本的に、種付けを行ない子牛を生ませる「繁殖農家」と、その子牛を大きく育てて出荷する「肥育農家」によって市場に出る。田中畜産は繁殖農家をやっている。

一般的に、再肥育では穀物など肥育用の餌を与えるが、田中畜産は放牧によって自然の草を餌にしている。

「なぜこんなことを始めたのかよく聞かれるんですが、牛はもともと草食動物だから、草だけで育つのでは? という思いを持っていた夫が、単にやってみたかったそうなんです(笑)」(田中あつみさん)

実際にやってみたところ、たしかに肉の固さはあるが、ほどよい噛みごたえで臭みもなく、和牛の味も放牧の味もしっかり出た濃厚な味わいの美味しい肉になった。

放牧期間は約半年間。これは、田中畜産のある地域は豪雪地帯で、冬の間は放牧ができないためだ。だが、屠畜前の半年間だけでも、十分に体内の細胞が入れ替わり、肉の味に作用することがわかった。

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