優秀な同僚が一人でもいると、まわりが○○する確率が“圧倒的に”高まる!ーーマンガ「エンゼルバンク」に学ぶビジネス

優秀な同僚が一人でもいると、まわりが○○する確率が“圧倒的に”高まる!ーーマンガ「エンゼルバンク」に学ぶビジネス

『プロフェッショナルサラリーマン(プレジデント社、小学館文庫)』『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」(日本経済新聞出版社)』等のベストセラー著者である俣野成敏さんに、ビジネスの視点で名作マンガを解説いただくコーナー。今回は、三田紀房先生の『エンゼルバンク ドラゴン桜外伝』の第12回目です。

『エンゼルバンク』から学ぶ!【本日の一言】

こんにちは。俣野成敏です。

名作マンガは、ビジネス書に勝るとも劣らない、多くの示唆に富んでいます。ストーリーの面白さもさることながら、何気ないセリフの中にも、人生やビジネスについて深く考えさせられるものが少なくありません。そうした名作マンガの中から、私が特にオススメしたい一言をピックアップして解説することによって、その深い意味を味わっていただけたら幸いです。

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©三田紀房/コルク

【本日の一言】

「勝つためには、まずはいい馬に乗れ!ということ」(『エンゼルバンク ドラゴン桜外伝』第2巻 キャリア17より)

龍山高校の英語教師だった井野真々子(いのままこ)は、10年目にして仕事に飽きてしまい、転職を決意します。井野は、かつて一緒に働いていた弁護士の桜木建二(さくらぎけんじ)に相談。桜木は以前、経営破綻の危機にあった龍山高校で教鞭を取っていた時期があり、東大合格者を排出することによって当校を救った救世主でした。

井野から話を聞いた桜木は、転職エージェント会社の転職代理人・海老沢康生(えびさわやすお)を紹介。井野は海老沢の下でキャリアパートナーとして働くことになりますが・・・。

「いい馬に乗る」ことが、成功への近道となる

海老沢から、ABC理論をアドバイスされた井野。けれど、転職希望者の斉藤がどれに該当するのか分かりません。答えに窮した井野は、かつての同僚・桜木が経営している法律事務所を訪れます。

そこで偶然、元教え子の矢島と水野に再会した井野。井野が英語教師から転職代理人になった、と聞いて驚く2人。「上手くいっているのか?」という問いに「そうでもない」と答えると、すかさず桜木の横槍が入ります。

桜木は、「井野の転職は大成功だ。井野は、海老沢という名の優秀な競走馬に乗っているのだから、勝つのは間違いない」と言います。それを聞いた井野は、桜木が「社内でも評判の変人」とされている海老沢を、そこまで評価していることに驚きを禁じ得ないのでした。

サボれない環境が人を成長させる

人は、楽にデキることばかりをやっていても、真の実力はつきません。逆に、厳しい環境に身を置くことによって、それが否応なく自身の成長を促します。たとえば、一緒に組んで仕事をしている人が抜群に優秀で、「自分の能力をフル稼働させないと付いていけない」環境がうってつけです。

たとえば、対戦型で勝敗が決まる世界で上達するための最短距離は、自分と互角以上に戦える相手と対戦し、実践で腕を磨くことです。

たとえば、将棋の世界では、かつてインターネットがなかったころは、自分より強い対戦相手にお手合わせいただくことが一番の障壁でした。将棋が上手くなりたい人は、地域の愛好家が集まる場所で腕を磨いていたのです。ところが、もし、自分が町で一番になってしまうと、その後は全国から猛者が集まる東京にでも出向かない限り、それ以上、腕を上げる機会が少なくなっていきます。

その点、現在はネットを利用すれば対戦相手に困ることはなくなりましたので、プロの一歩手前までは住んでいるエリアにとらわれる必要もなくなりました。それでもやはり、ネット上の対戦相手にも限界があるので、そこから先は依然として腕磨きの場所は必要ということになります。

このように、どこでどう腕を磨くかという状況は時代と共に変わっていっても、やるべきことはそうは変わらないものです。

その疲れは「ルーティンのせいか?」それとも「成長疲れなのか?」

話を仕事のことに戻しますと、現在、企業は基本的に余剰人員を抱えない傾向にあります。ところが「人が足りない、こんな疲れる職場はイヤだ」と思っていたら、実際は伸び盛りによる疲労だった、という可能性もあります。企業が採用を上回るスピードで成長していれば、人手が足りなくなるのは、ある意味、当たり前です。

しかし、この環境は逆にチャンスとも言えます。世の中のスタンダードが「残業が悪」という風潮になっていますので、本当に必要なことを見極めていればプラスでやっていることは量での差になります。

量稽古を必要とする時期は、修行時代には避けて通れないものです。生産性が悪いから問題というよりは、量を追求した先が明るくないことが問題なのです。

結局、人は「何に慣れるか?」で決まる

万一、「今の迷いが、自分にとっていいことなのか、悪いことなのか、どちらなのか分からない」という方がいれば、そういう人にお勧めしたいのが「セカンドオピニオンを持つ」ということです。自分がやりたいことを先にやっている人からの第三者的な意見は、しばしば自分では気づくことのできない、意外な盲点を浮き彫りにしてくれますから、いち早く軌道修正ができます。

もし、これをお読みの方で「自分は今、成長できる環境にない」と感じている方がいるのであれば、そういう時は一度「今の自分は何に慣れているか?」という視点で考えてみることをお勧めします。

たとえば、私は満員電車が嫌で仕方ありません。満員電車が好きという方は滅多にはいないのでしょうが、多くの方は、「少しでも空いている時間帯にずらす」「少しでも空いている車両に移る」などの対応をすることで段々と慣れていき、やがてそれが普通になっていきます。

私は「満員電車に乗らない」ということを実現させることが、独立起業のモチベーションになったことは間違いないですし、会社員時代からそれを避けるための努力をしていました。

どうせ慣れるなら、いつの間にか嫌なことに慣れていく人生ではなくて、勝ち馬のスピード感や仕事ぶりに慣れていくことで、自分にとっての当たり前の基準を上げていきたいですね。

俣野成敏(またの・なるとし)

大学卒業後、シチズン時計(株)入社。リストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。31歳でアウトレット流通を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)と『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に12万部を超えるベストセラーに。近著では、日本経済新聞出版社からシリーズ2作品目となる『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」』を上梓。著作累計は39万部。2012年に独立後は、ビジネスオーナーや投資家としての活動の傍ら、私塾『プロ研』を創設。マネースクール等を主宰する。メディア掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも寄稿している。『まぐまぐ大賞2016』で1位(MONEY VOICE賞)を受賞。一般社団法人日本IFP協会金融教育顧問。

俣野成敏 公式サイト

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