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珊瑚海でアメリカの空母レキシントン発見

珊瑚海でアメリカの空母レキシントン発見

 1942(昭和17)年5月8日、史上初の空母同士の海戦となった珊瑚海海戦で旧日本海軍の機動部隊によって撃沈されたアメリカの空母レキシントン(CV-2)。その残骸が3月4日にオーストラリア沖で発見されたと、2018年3月5日(アメリカ時間)、マイクロソフト共同創業者のポール・G・アレンさんから発表されました。

【さらに詳しい元の記事はこちら】

 海底探査の責任者、ロバート・クラフト氏は、レキシントン発見について以下のように語っています。

 「レキシントンは第二次大戦中に戦没した著名な船のひとつなので、捜索の第一候補でした。地勢を考慮し、海中に没してからの移動距離やその他の要素を勘案しつつ、ポール・アレン氏と慎重に調査海域を選定していきました。6ヶ月の調査の末、ついにレキシントンを発見したのです」

空母レキシントン(CV-2)は巡洋戦艦から改修された空母で、1927年6月24日に就役しました。全長270mは同型艦のサラトガ(CV-3)と並び、完成当時世界最大の空母であり「レディ・レックス」の愛称で呼ばれていました。真珠湾攻撃時には飛行機をミッドウェーに輸送する任務についており、攻撃からは免れています。
珊瑚海でアメリカの空母レキシントン発見1933年2月2日、ハワイ沖で撮影された空母レキシントン(Image:National Archives)

 1943年5月4日、ニューギニアのポートモレスビー攻略戦の一環として発生した珊瑚海海戦。第11任務部隊(CTF-11)のレキシントンは、第17任務部隊(CTF-17)のヨークタウン(CV-5)とともにアメリカ機動部隊の中核として旧日本軍の迎撃に向かい、海軍の第五航空戦隊(空母翔鶴・瑞鶴が基幹)と交戦しました。

 史上初めて空母機動部隊同士の海戦となったこの珊瑚海海戦。5月7日、レキシントンの雷撃隊VT-3(ダグラスTBDデバステーター)は、ヨークタウンの攻撃隊とともにMO機動部隊の空母祥鳳を攻撃、これを撃沈します。翌8日には空母翔鶴に大損害を与えますが、翔鶴・瑞鶴の攻撃隊が入れ替わりにレキシントンとヨークタウンを襲います。
珊瑚海でアメリカの空母レキシントン発見珊瑚海海戦でのレキシントン(Image:National Archives)

 この攻撃でレキシントンは火災が発生。一旦は鎮火に成功したものの、密閉式の格納庫で気化した航空ガソリンにショートした電気配線の火花が引火し、爆発が発生してしまいます。さらに5インチ砲の弾薬庫が誘爆、続いて各所で断続的に爆発が発生し、レキシントンは自力航行が不可能となり、漂流を始めます。総員退去命令が発令され、最終的に駆逐艦フェルプスによって自沈処分されました。

 レキシントンでの戦死者は216名。2770名の乗組員が救助されました。この中にはフレデリック・C・シャーマン艦長と、そのペットにして艦のマスコット犬、ワグスも含まれています。

 ポール・G・アレンさん率いるチームは、珊瑚海周辺の戦没艦捜索を2017年初めから始めました。調査船ペトレル搭載の無人潜水調査艇オクトパスで、オーストラリア東岸沖500マイル以上の海域で、深さ3000mの海底を捜索したところ、海底の広範囲に残骸が散らばっていました。沈みながらもさらに爆発があったことが想像されます。船体は大きく3分割になっており、艦首と艦尾は接近した場所にあったものの、主要部分は約2キロほど離れた場所にありました。艦橋構造物は、その中間地点で発見されています。

珊瑚海でアメリカの空母レキシントン発見調査船ペトレルのコントロールルーム(Image Credit:Courtesy by Paul G. Allen)
珊瑚海でアメリカの空母レキシントン発見レキシントン沈没地点のソナー画像(Image Credit:Courtesy by Paul G. Allen)

 艦尾に取り付けられた「LEXINGTON」の艦名板は、良好な状態で見つかりました。

 5インチ単装砲や1.1インチ4連装機関砲なども原形をとどめた状態で見つかりました。別の場所で発見された防盾の内側には、急降下爆撃機・雷撃機といった機種ごとの照準要領が書かれています。



 20mm単装機関砲の防盾内側には、文字も見て取れます。

 また、船体から離れた場所では、搭載機の残骸が見つかりました。自沈時には35機の搭載機が残されていたという記録が残っていますが、今回発見されたのはVF-3所属のグラマンF4Fワイルドキャット1機、VT-3所属のダグラスTBDデバステーター7機、ダグラスSBDドーントレス3機の計11機。そのうち数機の映像が公開されています。



 空母レキシントン所属のVF-3「トムキャッターズ」には「サッチ・ウィーブ」の考案者であるジョン・サッチ、シカゴ・オヘア空港の由来となったエドワード・ヘンリー・オヘア(「ブッチ」の愛称で知られる)と2人の有名なエースパイロットが所属していましたが、この当時はたまたまアメリカ本土におり、珊瑚海海戦には参加していません。

 グラマンF4FワイルドキャットのF-5号機には、オヘア機の写真で知られた撃墜マークが描かれています。アメリカ海軍の場合、搭乗機は特定のパイロット専用ではなく、ローテーションで割り当てられているために、この撃墜スコアが誰のものであるかは不明です。オヘアが1回の空戦で5機の一式陸上攻撃機を撃墜したF-15号機はこの当時、空母ヨークタウンに配置換えとなり、直後に事故で海没しています。

 アメリカ海軍歴史遺産コマンドのディレクター、サム・コックス退役少将は、レキシントン発見に「海軍の歴史を振り返る時、それがどれだけの偉大なヒロイズムと犠牲の上に成り立っているか、思いを新たにします。過去の水兵たちの働きが蘇ってくるようです。多くの船が、多くの戦いが、そして多くの勇敢な働きが、我々に何をなすべきか、今伝えてくれるのです」とのコメントを寄せています。

 過去にポール・G・アレン氏のチームが発見した戦艦武蔵や重巡インディアナポリス同様、レキシントンも海底の墓標として、そのままそっとしておくことになるようです。

Image Credit:Courtesy by Paul G. Allen/U.S. National Archives

※訂正・翔鶴の記載について:初出時「撃沈」と記しておりましたが正しくは「大損害を与え」となります。訂正しお詫びいたします。

(咲村珠樹)

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