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<ライブレポート>Aimerが示した表現者としての進化 冬をテーマに作り上げた【LIVE TOUR 17/18 “hiver”】最終公演

<ライブレポート>Aimerが示した表現者としての進化 冬をテーマに作り上げた【LIVE TOUR 17/18 “hiver”】最終公演

 2018年2月21日、【Aimer LIVE TOUR 17/18 “hiver”】が東京・NHKホールにてファイナルを迎えた。

Aimer ライブ写真(全11枚)

 Aimerといえば昨年、『”blanc”』と『”noir”』という2枚のベストアルバムをリリースし、その後の武道館公演では、白と黒、静と動、儚さと力強さ、温情と激情を黄金比率で組み合わせたような、まさしく集大成と呼ぶべきステージを繰り広げたことも記憶に新しい。そんな武道館公演でも見られたように、ベストアルバムのリリース以降、彼女の楽曲はさらに豊かな振れ幅を見せている。

 例えば、ダンサブルなビートにジャングリーなギターが煌く「ONE」は、これまでのAimerのイメージを一新するものだったし、梶浦由記と初タッグを組み、女性の純粋で鮮烈な感情を描いた「花の唄」は、歌声にそのヒステリアが宿り、かつてないほどエモーショナルな仕上がりに。そして続く最新曲「Ref:rain」のような青春ラブ・バラードも、彼女の楽曲の中ではやはり異彩を放っている。

 つまり今回のツアーはある意味、白と黒の往来から羽ばたき始めた彼女の今後の方向性を指し示す標識にも似た意味を持ち、本人にとっては新たな表現を試すトライアル期間のような日々でもあったのだ。“ベストアルバム以降”と“ベストアルバム以前”の楽曲を組み合わせるとどんな化学反応が起きるのか、今のAimerはきっとフレッシュで実験的な表現意欲に溢れているに違いない。

 そんな今回のツアーのキーワードとなったのが、タイトルにも据えられた冬を意味するフランス語“hiver”。プロローグとして「WHEN YOU WISH UPON A STAR」が頭を飾ったセットリストは、公演のコンセプトに準ずる季節感の強いものとなっていた。「雪の降る街」や「悲しみはオーロラに」のような、aimerrhythm(Aimerの作詞家名義)の本領発揮ともいえる、切なさと温もりが同居するウィンター・ソングは、積もった雪や枯れ木を思わせるセットとのシナジーもばっちり。一方で、鮮やかな四季の移ろいを感じさせる「歌鳥風月」や「茜さす」は和の味わい深く、2月の東京に静寂閑雅な世界を描き出す。

 近年の傾向として、Aimerは自身の単独公演において、「お客さんと一緒に盛り上がりたい」セクションを用意するようになった。音楽性の振れ幅と合わせて、ショーの緩急や抑揚もさらに広がったわけだが、中でもそういった盛り上がりのピークを引き上げた楽曲が、“ベストアルバム以降”の新モードを象徴する楽曲「ONE」である。どこか霞がかかったような非現実感を漂わせるAimerのステージに肉体性を与えるのがこのセクションであり、andropの内澤崇仁によるスムースなミドル・バラード「カタオモイ」、スキマスイッチによる爽快感溢れる「Hz」となだらかに上昇していき、「ONE」で弾ける流れ、カタルシスを迎える地点は、この日最初のハイライト部分となっていた。

  そしてライブは、「冬のダイヤモンド」「凍えそうな季節から」と再び冬のセットへと還る。「ONE」について武道館公演との違いを挙げるとするならばここだ。あの日は『”blanc”』と『”noir”』の物語を完結させるため、神秘のベールを脱ぎ棄て、13,000人のオーディエンスと心を通わせるための秘密兵器として、アンコールに満を持して披露された。対してこの日の「ONE」はあくまで盛り上がりのピーク、ハイライトの一つであって、決して万感のクライマックスというわけではなかった。

 また「花の唄」や「Ref:rain」に関しては、『”blanc”』収録の「あなたに出会わなければ ~夏雪冬花~」や「蝶々結び」、あるいは『”noir”』収録の「ninelie」や「LAST STARDUST」といった、白と黒の楽曲たちとほぼ並列に鳴らされていた印象だ。つまり、これらの新曲たちは彼女にとって、突拍子のない新機軸というわけではなく、彼女が夜の物語と呼ぶデビュー当初から紡いできた歌の先にあるものだったのだ。それは4thアルバム『daydream』で様々なタイプのアーティストとコラボする中で得た、何と交わってもAimerの歌であれる強度に由来する、表現の拡がりともいえる。

 Aimerのレパートリーに数あるウィンター・ソングの中でも最も温もりを際立たせていて、雪が降り注ぐ演出は文句なしに感動的だった「everlasting snow」、ラウドなバンド・アンサンブルの中でヴォーカルは最終的にほとんどシャウトと化す「us」、そんな“動”の表現のはじまりとなった「RE:I AM」、間もなく訪れる春を祝福するような「March of Time」という本編ラストとアンコールの展開は、白と黒の美しい対比を再確認させる決定打のようなフィナーレだった。

Text by Takuto Ueda

<セットリスト>
PROLOGUE: WHEN YOU WISH UPON A STAR
01. 雪の降る街
02. 悲しみはオーロラに
03. 歌鳥風月
04. 茜さす
05. 君を待つ
06. カタオモイ
07. Hz(正式表記はzに横線)
08. ONE
09. 冬のダイヤモンド
10. 凍えそうな季節から
11. 花の唄
12. ninelie
13. LAST STARDUST
14. 糸
15. あなたに出会わなければ ~夏雪冬花~
16. 蝶々結び
17. Ref:rain
18. everlasting snow
-En-
19. us
20. RE:I AM
21. March of Time

◎公演情報
【Aimer LIVE TOUR 17/18 “hiver”】
2018年2月21日(水) 東京・NHKホール

◎リリース情報
Aimer
NEW SINGLE『Ref:rain / 眩いばかり』
2018/02/21 RELEASE

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