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にゃんこタワー開発奮闘記 第三話

■第三話
Subject: 【報告】原木を使ったタワー
From:[email protected]
Date:2012/10/18 10:08
To:[email protected]

シルバーバイン王国
親愛なるにゃんこ大王殿
エンジニアのにゃんたまです。

先日はカリカリを送って頂きまして有難うございました。
やっぱりシルバーバインのごはんは美味しいです。日本のごはんはそれ程でもないのに、ちょっと値段が高めです。カリカリはそうでもないのですが、生食になると、ちょっと勇気がいる価格です。でも、細長い銀色の生魚がこの時期安くなりまして、これはなかなか美味しいです。

さて、報告の続きです。

早速、試作品をムウさんに使ってもらい、感想を聞きました。ムウさんは、結構的確なアドバイスをくれます。すごく細かいところと、適当だなぁと思うところが両方あって、気分屋さんです。

使ってもらう中で、いくつか問題も見つかりました。
たとえば、節の部分に穴をあけようとすると節ごと抜けてしまったりすることがあります。
また、キリの板は、ちょっと薄かったのもあったのですが、割れてしまいました。ムウさんがジャンプして降りるときに、たわんで木目方向に割れたようです。キリはすごく軽くて良いのですが、木目に沿う方向には柔らかくて、曲がってしまいます。ムウさんは、自分が割ってしまったことにショックを受けたようです。最近、自分の体重が気になっているとか。登るところが少なかったので、運動不足で太ってしまったようです。

また、ホオの木は、ちょっとツルツルしすぎて滑り落ちそうで怖い印象です。ムウさんが言うには、適度に肉球が引っかかるザラザラ加減が大事だそうです。もちろん、やすり掛けの目の細かさと、塗装のやり方で調整は効きますが、やはり木の種類によって変わります。

あと、板の端の部分で元々樹皮だったところがあり、これを「耳」というのですが、この耳の部分を上向きにするか、下向きにするかで、デザインの印象がずいぶん変わってしまうこともわかりました。

ムウさんからのアドバイスをまとめると次のようになりました。

・肉球の肌触りは大事。あまりツルツルしない方が良い。
・タワーの高さは150cm以上あると嬉しい。
・木材の厚みは15mm以上あった方がしっかりしていて良い。
・楕円形の板があるとデザインがグッとお洒落になる。
・耳は人間に見える方向に、下の板は上向きに、上の板は下向きにすると格好がよい。

150cm以上の高さとなると、多くの板を使います。この前買った板では到底足りません。
東京のいろいろな材木屋さんに、耳付きの板を取り扱っていないか、楕円形の板を販売していないか聞いてみましたが、小さなものしかなかったり、あっても量が少なかったりしました。

近所の小売店で売っているものは、あまり良いものがありませんでしたので、もっと原木に近いものを扱っている会社に聞きました。ちょうどつくばに、木材卸を営むネコがいると聞いたので、行ってみました。

つくばは東京から一時間ちょっとで着きます。その日は、昨日までの雨が嘘のように青空でした。つくばは空が広くて良いですね。でも近頃洪水で川が氾濫して、大変だったそうです。大きな倉庫があって、その前に木材卸のネコさんがいました。やはり人間に似た変装をしていますが、しっぽだけは隠せないので、シルバーバイン出身だとすぐにわかります。

耳付きの板はあるかと聞くと、「大きな丸太から、柱や板を作るときに、端の方は捨てている。それであれば、いっぱいあるよ。」とのことで、大喜びしました。

丸太を真横に切れば、その断面はもちろん円形です。ここから家の建設に使う、四角形の柱や梁に加工する必要がありますから、大きなノコギリで側面の四方向を薄くスライスして、四角の柱にしていきます。そのときに出る、これらの端の材料がチップに加工されたり、捨てられたりしているのです。

この材料を使えれば、本来捨てるものの再利用になるので、都合が良いと思います。元々、チップにして処理していたわけですから、木材卸にとっては、加工する手間がかからなくなります。廃材の再利用ならばイメージも良くて卸会社のブランドにも良い効果を見込めます。こちらも安く手に入りますし、お互いにメリットがあります。

その卸のネコさんに、この端材を譲ってほしいとお願いをすると、「何に使うんだい?」ときょとんとされました。ネコのタワーを作るのだと話をすると、そういう事ならぜひ使って欲しい、木材加工をしているネコも近所にいるとのことで、一台作ってもらうようにお願いしました。

水分という課題

約1か月後、試作品が出来ました。というか、できませんでした。
残念ながら、大きな問題が見つかってしまいました。
切り出したときは、平らな板で作ったのですが、しばらくすると反ってしまうのです。そうすると、ガタガタと安定しなくなります。

木は切り出されるまで生きていましたから、多量の水分を含んでいます。木の内部では、表面に近いところと、幹の中心に近いところとでは、水分の量が違います。外側の方が多く水分を含んでいます。もともと水分の多い場所では、乾燥したときにすごく縮んでしまい、内側の水分の少ない場所では、あまり縮まない。縮み方の違いが、反りにつながってしまうのです。

一旦、厚い板にして乾燥させ、その反った板をさらに薄く加工して平らな板にするという2段階の方法をとっていただいたのですが、それでも反ります。本当は、丸太のままでシッカリと乾燥させると良いのですが、そうすると使えるまでに半年といった長い時間がかかるそうです。

そしてカビ

もう一つ、カビの問題もありました。どうしても部分的に変色した部分が混じります。これは木の中でカビが発生しているのです。木は太陽の光を受けて光合成をして栄養を作ります。その作った栄養は、幹の中の管を通るので、その管の内部も、栄養に満たされます。伐採され、木材になった時に、栄養入りの水もそのまま木の中に閉じ込められたままになり、後から水分が抜けたときに栄養分だけが残されてしまいます。
その栄養がカビのエサになって、カビが大量発生してしまうようです。

多くのネコに使っていただきたいので、材料が安定的に手に入らないというのは致命的です。捨てられるはずの端材でタワーを作れば、安くて良いかなと思ったのですが、このやり方は諦めざるを得ませんでした。残念です。

ムウさんの家の近くの物流センターの中にも木材があったので、どのような保管をしているのかセンター長に聞いてみました。でも、そこの木材は、既に相当の時間をかけて乾燥されたものなので、あまり気にしなくても良いようです。そうそう、物流センターでキャンプ生活を送るチャトラの名前はミーというらしいです。初めて名前を聞くことが出来ました。センターには白黒ちょび髭のおじさんネコと、もう一匹チャトラのおばあさんネコがいるそうです。おばあさんは、向かいの白い塀の書道教室のお庭にいて、ご飯のときだけ来るそうです。昔のことをひとしきり話したら気が済んで帰っていくから面白いそうです。もう少し生活状況を聞きたかったのですが、トラックが急に入ってきて、気づいたらミーさんはいなくなっていました。キャンプネコは警戒心を強くもって生きています。

また進捗がありましたら、報告いたします。
愛をこめて にゃんたま

P.S.もしお許しをいただけるならば、シルバーバインのウエットフードを送ってください。

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