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想像以上に過酷すぎるエベレスト登山の費用や現実。登頂者の意外なエピソードも

想像以上に過酷すぎるエベレスト登山の費用や現実。登頂者の意外なエピソードも

想像以上に過酷すぎる・・・エベレスト登山の費用や現実
ネパールに長期滞在しているとき、カトマンズからネパール東部の町、ビラトナガールという地方都市にプロペラ機で向かう機会がありました。

飛行機の窓からはヒマラヤ山脈が見えて、エベレストの山頂も拝めましたので、同行していた現地の人に、「いつか、一緒にエベレストにでも登ろうか」と言うと、冗談を言うなといった顔で「ノー」と断られました。日本人が富士山に登りたがるように、ネパール人が自分の国の最高峰に登りたがらない姿を不思議に思った経験があります。

しかし、実際にエベレストに登るための苦労と費用、必要な努力を詳しく調べてみると、現地の人のリアクションの意味が分かってきました。とにかくおいそれと気軽に登れる山ではない様子・・・。

そこで今回は、ネパール人の友人を介して紹介してもらった現地ヒマラヤガイドの方の情報を中心に、エベレストに登るための費用、準備、工程などを紹介したいと思います。「エベレストに登ってみたいな」と漠然と考えている方、あるいは「エベレスト登山とはどんな感じなのか」と興味を持っている方は、ぜひともチェックしてみてください。

 

エベレスト登山はネパール政府の許可が必要

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筆者は小さいころから毎年、家族で富士登山をしてきました。頂上には過去に何度も足を運んでいますし、北陸に暮らす現在は北アルプスの山々も身近に登山しています。その延長で「いつか、エベレストにでも登ろうか」という気軽な言葉が出てきたのかと思いますが、エベレスト登山は日本で言う登山とはわけが違います。

まず、入山するための許可を取得する必要があります。もともとエベレストはチベット側からもネパール側からも外国人の入山が禁止された神聖なエリア。1947年にネパールが外国人の旅行を許してから、外国人でも登れるようになりましたが、今でも許可申請が必要で、通常はエージェントを通して登山の半年前などに行うみたいですね。

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ネパール政府観光局の資料『MOUNTAINEERING IN NEPAL FACTS AND FIGURES』にも、

<A  mountaineering  expedition  team,  desirous  to  climb  any  Himalayan-peak  of  Nepal  opened  by  Government  of  Nepal  for  mountaineering  shall  have  to  submit  an application to Government of Nepal as prescribed.>(上述資料より引用)

「登山隊は、ネパール政府によって登山のために開山されたヒマラヤの山々の頂上を目指す場合、ネパール政府に書面で申請しなければいけない」とあります。勝手に登るわけにはいかないのですね。

 

3週間ほどかけて山に登る必要がある

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ヒマラヤ登山のハードルは、許可申請だけではありません。主な登山ルート(南コル・ルート)は、ネパールの首都カトマンズから標高約5,300mの位置にあるベースキャンプを目指して、いきなり150kmの山歩きを求められます。150kmとは、東京から山梨の甲府を超えたくらいの距離ですね。

そこから第1キャンプ(標高約6,000m)、第2キャンプ(約6,500m)、第3キャンプ(約7,300m)、第4キャンプ(約8,000m)を経て、頂上を目指します。しかし、ベースキャンプに着いたからといって、すぐに頂上を目指せるわけでもないと言います。

とにかく空気が薄く、標高の低い平地に住む一般人が、いきなりエベレストの頂上に移動したら、数分で死んでしまう恐れがあるくらいだと、『地球のてっぺんに立つ!エベレスト』(評論社)にも書かれていました。

ベースキャンプに着いたら、第1キャンプに登って、また下りてくるなどして、酸素の少ない環境に体を慣らさないと、深刻な高山病になってしまうと言います。高山病とは、酸素や気圧の低下によって起こる症状で、

<心悸亢進・顔面紅潮・鼻血・悪心・嘔吐・耳鳴り・難聴、さらに意識障害>(広辞苑より引用)

などが出る病気ですね。

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標高が高くなり、高山病が深刻化すると、肺や脳の機能が低下し、死に至ると言います。こうした高山病を防ぐためにも、一般的に3週間ほどの時間をかけて、ゆっくりと登るみたいですね。

 

登山の前には厳しいトレーニングが必要

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高山病に負けず、酸素の薄い状態で厳しい登山を行う体を作るために、事前の長く厳しいトレーニングが必要だと言います。

手元には『「登山体」をつくる秘密のメソッド』(地球丸)という書籍がありますが、山で通用するためには各部の筋力と柔軟性を鍛え、心臓と肺の年齢を若くし、動き、疲れのとり方など登山技術をマスターする必要があるといいます。まして世界最高峰のエベレストに登るのですから、全ての面において最高レベルで自分を鍛え直す必要があります。

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また、有名なアルピニストである野口健さんが著書『あきらめないこと、それが冒険だ』(学習研究社)でも記しているように、何かの高山に登る前には、その山よりも少し低い山に挑戦して、予行練習をする必要があると言います。

世界には北アメリカ大陸のデナリ(6,194m)、アフリカ大陸のキリマンジャロ(5,895m)、オセアニア大陸のプンチャック・ジャヤなどの名峰がありますが、こうした山々に練習で登ってからエベレストにチャレンジしないと、そもそも標高5,300m近くにあるベースキャンプにも到着できないかもしれません。エベレストは、「さて登ろうか」と気軽に登れる山ではないと分かります。

 

費用もバカにならない

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もちろん、費用も用意しなければいけません。TABIZINEの過去記事「エベレストに登るにはいくらかかる?」でも紹介されていますが、大まかに言って、日本からの場合50,000~10,0000米ドル程度の予算は見積もっておいた方がいいと言います。だいたい500~1000万円ですね。内訳としては、

・トレーニング費用
・装備の購入費用
・旅費
・登山料金(入山料、ガイド、サポートの費用を含む)
・その他、雑費

といった感じ。トレーニング費用には、登山経験の豊富なトレーナーと定期的な訓練をする費用も含まれます。エベレストの前に幾つか世界の山を登っておくとなると、トレーニング費用はさらに高くなります。

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装備に関してはざっと教えてもらっただけでも、

・手袋
・ストック
・登山靴
・ゴーグル
・羽毛服
・ザイル
・ザイル(金属製のスパイク)
・酸素マスクと酸素ボンベ
・ザック
・寝袋
・コンロ
・ピッケル
・スコップ
・テント

などを、エベレストで使用できるクオリティでそろえる必要があると言います。

例えばエベレストの頂上は夏でも夜は-37℃まで下がると言います。手袋1つをとっても、日本円で6万円ほどするレベルの道具をそろえる必要があるみたいですから、現状で何一つ装備を持って居ない人の場合は、かなりの予算が必要だと分かります。

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入山料についての情報は、ネパール政府のホームページにまとまっていると教えてもらったので参照してみました。エベレストをノーマルルートで登る場合、外国人は春の登山で1人11,000米ドル、秋で5,500米ドル。冬と夏は2,750米ドルとなっていました。

こうした費用は普通の人では、簡単には用意できません。そのためエベレストの登山者の多くは、スポンサーのついているプロの登山家か、趣味のために十分な費用を用意できる富裕層になるといいます。

 

頂上まで登れるかどうかは運次第

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これだけの準備をして、いざ登山にチャレンジしても、登れるかどうかは運次第だと言います。南コル・ルートの約8,000m地点にある第4キャンプから頂上の8,848mまでの最難関エリアは、人が生きられない「死の世界」。

長居ができない場所のため、第4キャンプを夜中に出て、翌日の昼間に到着、日没までに戻ってこなければ人間の体がもたないのだとか。野口健さんの著書にもあるように、とにかく気候が変わりやすく、ジェット気流の影響を受けた強風が吹き荒れ、一流の登山家でも何度も不幸な事故に遭っている場所です。

想像以上に過酷すぎる・・・エベレスト登山の費用や現実
野口健さんの書籍を長めに引用しますが、

<八〇〇〇メートルの場所には岩や氷や雪しかない。生物や生命とはまったく無関係の場所だ。色もにおいもない。静けさだけがある。まさに「死」の場所だ。本当に死体が転がっていた。ヘッドライトでよく見ると、登山すがたの死体が雪におおわれている>(『あきらめないこと、それが冒険だ』より引用)

といった世界みたいですね。このレベルまでくると、体力とともに精神力の勝負にもなっていくと言います。恐怖に負けて、自らがけに身を投じる人も居るのだとか・・・。

想像以上に過酷すぎる・・・エベレスト登山の費用や現実
ネパール政府観光局の資料『MOUNTAINEERING IN NEPAL FACTS AND FIGURES』には、2016年に至るまで、歴代の登頂者の記録が一覧にされています。世界初は1953年、テンジン・ノルゲイ(ネパール人)とエドマンド・ヒラリー(ニュージーランド人)。本稿でも繰り返し引用してきた日本人アルピニスト・野口健さんは790番目、2016年の段階では合計で4,879人が登頂したと記録されています。

女性の登頂者だけを集めたリストもあり、その冒頭にはMrs. Junko Tabei Japanという日本人の名前があります。1975年5月、南コル・ルートから登った田部井淳子さんが、世界で初めて女性でエベレストに登った人として記録されているのですね。

ネパールに長期滞在していたとき、「Junko Tabei」という名前を現地の人から何度も口にされました。こうした登山家たちの名前が人の口にのぼる理由は、上述のような人が生きられない「死の世界」に行き、無事に帰ってきたという偉業に対し、人々が敬意を表しているからなのですね。

ちなみに余談ですが、ネパール政府観光局の公式資料に書かれた野口健さんの名前が、Ken Noauchiと記されていました。ノグチ(Noguchi)ではなくノアウチ(Noauchi)と読めてしまいますね・・・。

 

以上、エベレストに登頂するための大まかな手順や、費用などを紹介しましたが、いかがでしたか?

執筆にあたって子どものころに読んでいた宮脇紀雄著の『エベレストへいどむ』(岩崎書店)を読み返してみました。大人になってあらためて読むと、人類がいかにしてエベレストの頂上を目指したのかがよく描かれています。

その苦闘の歴史を大人になった今見ると、率直に言って「おそらく自分は一生登れまい・・・」という途方に暮れた無力感を味わいます。それでも登ってみたいと思う人に、この記事が役立てばと願います。

想像以上に過酷すぎる・・・エベレスト登山の費用や現実
 

[Mountaineering Royalty – Department of Tourism]
[MOUNTAINEERING IN NEPAL FACTS AND FIGURES]
[All photos in shutterstock]
 

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