青森の秘湯「青荷温泉」へ行ってきた。東京からなんと片道7時間! 

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青森の秘湯「青荷温泉」へ行ってきた。東京からなんと片道7時間! 

こんにちは! 高円寺の銭湯・小杉湯の番頭でイラストレーターのenyahonamiと申します。週5日は小杉湯、週2日は銭湯、スーパー銭湯、サウナ、温泉を巡る、無類のお湯好きです。今回は真冬の青森でイラストを描きつつ、秘湯を巡ります!

今回のお目当ては“ランプの宿”として知られる青荷(あおに)温泉! そしてユニークな入浴方法“トド寝”ができる古遠部(ふるとうべ)温泉。どちらも“秘湯”で知られ、アクセスが大変だとか……? おまけに電波も届かないとか……? 事前情報の時点でもうハラハラドキドキしつつも、JR東京駅へ!

乗り換え4回!片道7時間の旅が始まる

午前9時の東京駅。エメラルドグリーンの車体が目を引く、東北新幹線「はやぶさ」に乗って新青森へ向かいます。東京駅からJR新青森駅までは約3時間。長い旅が始まります!
東北新幹線はやぶさ イラスト

ピカピカの滑らかなボディが美しい、はやぶさの車体

はやぶさ 座席

パソコン作業をしたり風景をぼんやり眺めたり、道中のイラストも車内で描いていたら、いつの間にか新青森駅に到着。秘湯というけど、なんだかんだすぐ着いちゃうんじゃない? と思っていました……。

つがる4号 イラスト

新青森駅で特急「つがる4号」秋田行きに乗り換えます。ここからJR弘前駅へ!

奥羽本線 車窓からの風景

弘前に近づくにつれ、車窓から見える風景がだんだんと雪深くなっていきます。「雪国に来たんだなあ……」と、あらためて実感。
新青森からは30分で弘前駅に到着! 駅の近くの市場で軽食をとったあと、弘南鉄道で黒石駅へ向かいます。
弘前駅 イラスト

はんぺんのからあげは、外はサクサク中はしっとりの不思議な食感でした!

弘南鉄道 弘南線 イラスト

約30分で黒石駅に到着。電車はここで最後、この先はバスでの移動です。
弘南バス イラスト

弘南バスの虹の湖公園行き。なんと車内は板張り!

雪山の中をどんどん走っていくバス。約40分で「虹の湖公園」に到着し、ここで宿のシャトルバスに最後の乗り継ぎです。

青荷温泉 シャトルバス イラスト

雪道をゆっくり進むバスに揺られて約30分。ついに……宿が見えてきました……!

青荷温泉 イラスト

着いたーーー!!!!!
東京駅から電車やバスを4回乗り継いで、乗車5時間半、乗り換え時間含め計7時間。やっと本日の目的地である青荷温泉に到着しました。

ランプのほのかな光が幻想的。4種類の温泉を楽しむ

すでに16時。日は完全に沈んではいませんが、玄関を入ると、すでに青荷温泉名物のランプがともり始めていました。その美しさに、思わず息をのみます。

青荷温泉 内観

人里離れた標高400mの山あいにある青荷温泉は、電波は届かず電気もなく、静寂に包まれ、まさに“秘湯”の名にふさわしい温泉です。普段は有能なスマートフォンも、ここでは時計とカメラ程度の役割しか果たせません。スマートフォンやパソコンなどの電子機器から一定期間離れる「デジタルデトックス」体験を求めに、多忙な企業の経営者なども訪れるそうです。

青荷温泉は、玄関と大広間がある木造2階建ての本館と、離れ3棟から成ります。そして、2つの源泉を混ぜたかけ流しの温泉が4種類。

青荷温泉 健六の湯 イラスト

まずは渓流沿いの離れにある、大浴場の「健六の湯」。天井が高く、大きな窓から入る光が優しく、開放的なお風呂です。青荷温泉のお湯は、どれも湯触りが柔らかで、透き通っています。

青荷温泉 健六の湯 青荷温泉 健六の湯 釜の露天風呂

女湯には釜の露天風呂が。雪景色を見ながらお湯を独り占めしているような、極上の気分です!

青荷温泉 健六の湯 夜

健六の湯の照明はランプだけ。昼は大きな窓から雪景色が見えていましたが、夜になると真っ暗で何も見えず、夜の闇に浸かっているようです。

青荷温泉 滝見の湯 イラスト

続いては、吊り橋を渡った対岸にある、内風呂と露天風呂からなる滝見の湯へ。
内風呂は、湯がたまった大きな木の樽が特徴的。露天風呂からはその名の通り、滝を見ることができます。

青荷温泉 本館内風呂 イラスト

こちらは本館1階にある内風呂。冬は湯けむりが立ち込めてちょっとしたスチームサウナ気分。湯けむり越しに見える雪景色が幻想的です。
こちらはほかの温泉よりちょっと熱め。本館に宿泊する際は、寝る前の入浴にぴったりです。

青荷温泉 露天風呂 イラスト

最後は混浴の露天風呂へ。

青荷温泉 露天風呂

女性専用の時間もあったので、安心してゆっくり浸かれました。一風変わったおひとりさま風呂の、子宝の湯もおすすめです!

青荷温泉 露天風呂 夜

こちらも夜になると暗くなるので、混浴は思ったよりも気にならないです。

素材の味を生かした夕食と“何もない”部屋

4つの温泉を巡って体も心もポカポカになったところで、夕食の時間です! 夕食は本館1階にある座敷の大広間で、ほかのお客さんと一緒にいただきます。もちろんこちらも、照明はランプです。

青荷温泉 大広間

メニューはこんな感じ!

青荷温泉 夕食 イラスト

ひとつひとつがシンプルな味付けで、素材そのままの味をたっぷり感じられました。中でもおいしかったのが、ご飯。おかずを引き立てつつ、もちもちのお米のほんのりとした甘さがたまりません!!
ご飯と味噌汁は、おかわり自由。思わず何度もおかわりしちゃいました……。

青荷温泉 夕食 イワナ

イワナは囲炉裏から各自で取ってきます。皮がパリパリして、おいしかった〜!

お風呂も入ってご飯もおなかいっぱい食べて大満足したところで、部屋に戻ります。

青荷温泉 部屋

夕食も食べたことだし、部屋でTVやスマホでも見ながらゴロゴロしようかなあと、いつもなら思うところですが、ここは電波も電気もない秘湯。部屋の明かりもランプひとつです。普段はスマートフォンを肌身離さず持ち歩き、いつもSNSやネット記事を眺め続けているので、ランプの宿での“何もない時間”は本当に久しぶり。1日を思い返しながらちょっとイラストを描いたあと、布団に横になります。川のせせらぎに耳を澄ませながら、ぼんやりと明るいランプの光を見ていたら、いつの間にか朝になっていました。こんなにすんなりと寝入って夢も見ずに眠っていたのは、いつ以来だろう……。体も、いつもより軽く感じます。

青荷温泉をあとに、次の秘湯へ

青荷温泉 本館前メッセージ

2日目、青荷温泉をあとにして、この日のお目当て、古遠部温泉へ向かいます!
本館の入り口には、石で描かれた「よぐきたねし(よくきたね)」の文字が。きっと、またいつか来ます。

前日と同様のルートで弘前駅へ戻り、今度は奥羽本線でJR津軽湯の沢駅へ向かいます! 乗車時間は25分ほどですが、秋田方面へはほぼ1時間に1本なので、乗り遅れには要注意。

津軽湯の沢駅は無人駅のため、電車に乗っていた車掌さんに切符を渡して出入り口へ。駅前まで迎えにきてくださった古遠部温泉さんの車に乗って15分ほどで到着。

古遠部温泉 外観

山中の沢沿いに立つ古遠部温泉は、もともとはご主人のお父さんの自分専用の温泉だったそうです。お父さんが亡くなられた後の1985年に、ご主人が病気になってここで静養。それがきっかけとなり、建物を少しずつ補修しながら、今の旅館の形にしていったそうです。
古遠部温泉 内観

フロント。到着した際は、常連さんが一休みされていました

古遠部温泉 鍋焼きうどん

女将さんが作ってくださった甘めの味付けの鍋焼きうどんで昼食。すっかりポカポカになったところで、温泉へ向かいます。

溢れ出るお湯にゴロッと転がる“トド寝”

古遠部温泉 浴室 イラスト

100%のかけ流しの源泉が、毎分500リットルで浴槽に注がれるため、浴室の床は常にあふれた湯で満たされています。この湯にゴロンとトドのように転がるのが、古遠部温泉名物の“トド寝”。試してみると、岩盤浴のようにじんわりと体の奥から温まり、そのまま寝てしまいそうなほど心地よい! 悪いところを下にして1時間半ほどトド寝をしていると、楽になっていくそうです。

古遠部温泉 浴室

加水なしの温泉の温度は42.6℃。入ってみるとちょっと熱めなので、長く入るにはトド寝がちょうどいいです。腹ばいになってトド寝をしばらく続けていたら、体の芯から温まり、肩こりもすっかりよくなりました!

秘湯を巡る旅は、自分と向き合う時間

青森の秘湯を巡る1泊2日の旅。乗り換え時間も含めての片道7時間は大変でしたが、日常ではなかなか得られない、自分とたっぷり向き合える時間だったと思います。普段忙しさに追われている人にこそ、電波も電気もない青荷温泉で自然を全身で感じ、トド寝で古遠部温泉の湯に体を委ねる、この旅をおすすめしたいです。

青森の秘湯「青荷温泉」へ行ってきた。東京からなんと片道7時間! 旅するメディア びゅうたびで公開された投稿です。

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