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とある介護職員のとある日常「認知症を伝えること」

野洲市で認知症きらめきシスター研修を受けた帰り道でのこと。

京滋バイパスから第二京阪を枚方で降りて、枚方の関西外大からくろんど池を越えて生駒に抜ける道の途中。
暗闇の中、歩く女性を発見。

一旦は通り過ぎたが、やはり気になったので、引き返して車を停めた。

「どうされました?どこまで行かれますか?」
「高山まで」
「えっ?高山?乗って行かれますか?」
「ありがとう」

山道を走りながら、服や持ち物を確認。

足下はサンダルだった。

服もこの時期にしては薄い上着と夏用の帽子。

会話は普通って言えば普通。

でもところどころつじつまが合わない。

「高山のどこ??」
ここから1番遠い高山の地区を示してみた。

「そのあたりですねん」

「芝!?」

芝までは、かなりある!
どう考えても、こんな時間に歩く訳はない。
徘徊かも?
いや、受け答えはしっかりしてる。
まだ判断はつかない。

改めて、高山に住む芝の知り合いの名前を告げた。
でも反応が薄い。
知り合いじゃないのかも知れない。

芝じゃないのかも…。

どうしよう。

いったん狭戸(せばと)のバス停でとまった。
この人が狭戸を読めるかどうか、確認したかった。

せばと…
とは読めていない。
じゃあ傍示の住人ではない!

庄田について尋ねてみた。

またまた反応が薄い。
ここも違う可能性が高い。

その方が
「おみやさんの側で良いから」って。

おみやさん!
おみやさんなら!
大北だわ!

古くからある酒屋の名前を出してみたけれど、
たいした返事はない

私は「高山八幡宮やんね?」と声をかけた。

ようやく高山八幡宮に着いた。
だけど、降りる様子はない。

改めてその人が行きたいと言う住所を確認してみた。

「鹿畑」

「鹿畑?」
ああ!
あそこにも社はある!

私は「大学院大学の向こうやんね?そこまで行きますわ!夜中にひとりで山道を歩かせられないから」と伝えた。

本人は「この道を下れば国道やから、ここからあんたは帰って下さい」って。
確かに下れば国道163は間違いない。

フットサルの練習場が見え、そこで降りると言い出した。

とりあえず一旦女性を降ろし、車の中から姿を見送った。

フラフラと歩く姿。

やっぱり歩き方がおかしい。

車を停めて、後を追っかけた。

「やっぱり家まで送ります!よかったら電話番号を教えて下さい、掛けてみます」

…かかった!

私の名前を告げ、その人が教えてくれた名前を伝えた。
一瞬の沈黙のあと、身内の方とわかった。

暗闇の中、畑や神社を横切り、谷のような道を行く。
真っ暗なので道が見えないくらいの闇。

ようやく畑や藪をぬけて出てきた門扉にその人が教えてくれた苗字の表札があった。

呼び鈴をならし、出てきた家族さんに引き継いだ。

その中から出てきた方は
「この人病気ですねん!迷惑ばっかりや!」と語気も荒い。

言ってはならない言葉をその人に浴びせた。

先ずは私へお礼じゃないのか?

それは全く無くて…

私は「仕事で介護をしているから、これくらいどうとも思ってません、この人を責めないでください。もし何なら私がまた枚方まで送りますから!」と伝えた。

とりあえず家族さんはその人を自宅に入れてくださった。

安心したので私はようやく帰ることにした。

※途中、どうしたら良いかわからなくなって警察に連絡してもらおうと思い、湯川直紀先生に助けを求めていました。先生、ありがとうございました。

さいごに

あれから同じ道を通るたび、不安な気持ちになります。

認知症をきちんと伝えられる人になりたいと思い、セミナーを受けながらも、ある意味因果だなと少しだけ悲しくなりました。

紙芝居を通じて、認知症を理解をしてくれる方が増えることを願ってやみません。

前回記事:とある介護職員のとある日常「介護職冥利」

この記事を書いた人

山川洋子

支援学級にて筋ジストロフィーやアスペルガーのある児童のケアをきっかけに介護と出会う。現在は医療法人松下会デイサービスエリクシールの生活相談員に従事。その傍ら、施設の業務改善アドバイザーを承ったり、地域で困っている方を、保険外でお手伝いしたり、外出サポートなども行う「チームおたがいさん」も行っている。介護福祉士、認知症介護実践者。

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