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【GOOD ON THE REEL インタビュー】いろんな人がそれぞれの光にまみれて生活している

配信シングル「私へ」を経てリリースされる8枚目のミニアルバム『光にまみれて』。新たに立ち上げた自身のレーベル“lawl records”から発表される同作には、いろいろな意味で初期衝動的なものがあったようだ。それは楽曲はもちろん、タイトルやジャケットなどにも表れている。
L→R 高橋 誠(Dr)、千野隆尋(Vo)、岡﨑広平(Gu)、伊丸岡亮太(Gu)、宇佐美友啓(Ba) (okmusic UP's)
──自分たちが設立したレーベルから新作『光にまみれて』が出るわけですが、このタイミングでレーベルを立ち上げた理由というのは?
千野
「今までのレーベルから離れて、せっかく環境的にも自由にやれる感じになったので。」
伊丸岡
「インディーズでやるならっていうところでね。」
──そのレーベル名の“lawl records”にはどういう意味があるのですか?
千野
「“lol”ってあるじゃないですか。“(笑)”みたいな。その“lol”を単語としてスペルに起こすと“lawl”になるんですね。で、ロゴは“w”のところだけちょっと変わってるんですけど、そこを逆さにすると“I am I”、“私は私”になるっていう。それぞれの人にスポットを当てたような曲が僕たちには多いので、ひとりひとりに笑顔だったり、そういうものを僕らが日々与えられるようにということで“lawl records”と。」
──なるほど。そんなレーベルからの第一弾の今作ですが、前フルアルバム『グアナコの足』の時に“ライヴ映えする曲”というテーマがありましたが、今回もそういったテーマはあったのでしょうか?
千野
「テーマというよりは、基本的に曲は亮太が作って、僕が歌詞を書いているんですけど、そこで初期衝動的なものがあったというか。ここから再出発じゃないですけど、新たなレーベルを立ち上げて道を作っていくっていう想いはあったと思うので、それが自然と作品に表れたのかなと思いますね。わりと強めな曲が多いし。」
伊丸岡
「生々しい感じだよね。いろんなものを作りたいっていうのはいつもあるんですけど、今回は初期衝動的な…それこそパンクっぽいサウンドとか。種類はいろいろあるんですけど、ちょっと洋楽チックなものだったり、叙情感のあるものだったり。でも、全体的にはメロディーを重視していて、きれいに聴こえる感じにはしたいと思っていましたね。盛り上がるっていうよりは聴かせたいなっていう。もちろん盛り上がれる曲もありますけど。なので、『グアナコの足』とはまた違うテイストで作ってみたくて作ったのが多いです。」
──これは歌詞の世界かもしれないですけど、自分を見つめ直している印象がありました。例えば、「ショーベタ」「Marble」であり、先行配信された「私へ~光にまみれたver.~」とか。
千野
「そうですね。このタイミングっていうのもあるし…あとは、単純に年齢的なものもあるのかなと思いますね。30歳を超えて…まぁ、そういう気分なんでしょうね(笑)。ここにきて、いろんなことにチャレンジしていきたいなと思うところがあって。今回はジャケットも僕と亮太で街に出て撮った写真なんですよ。PVもそうだし、全てDIYで作っているような作品なんで。あと、ふたりで本も作ったんですよ。今回のツアーから販売するZINEっていう小冊子なんですけど。そうやって表現の幅をより広げたいなっていう想いが30代になってありますね。lawl recordsっていうレーベルを使って、そういうことができていったらいいなと思っています。」
──あと、ミニアルバムだからというのもあると思いますが、粒揃いというか、一曲一曲が個性的で。
千野
「亮太がさっき言っていたように、いろいろな種類の楽曲を出してくれるわけですよ。それを上手く凝縮した感じですね。」
伊丸岡
「いろんな面を見せていけたらなというのはありましたね。」
千野
「そうですね。特に1~2曲目がすごい攻撃的で(笑)。」
──エモいですよね。1曲目の「ショーベタ」は疾走感も爽快感もあって、ベースがブリブリ言っているし。
伊丸岡
「あれはいい仕事をしてくれましたね(笑)。ベースを弾きたい子が増えるかも。」
──ベースだけじゃなくて、各パートが前面に出てますよね。
千野
「全ての楽器がせめぎ合っていますね。全部が前に出ている感じがする。」
伊丸岡
「ライヴ感というか、ライヴハウス感を出したかったんで。」
──そもそもはどんな曲を作ろうとしたのですか?
千野
「「ショーベタ」は詞先だったんですよ。ワンコーラスだけ詞を書いてっていう。」
伊丸岡
「それに音を乗せて作って返して。」
千野
「攻めた曲にしてほしかったので、曲が届いた時には“カッケーじゃん!”と思いましたね。“これこれ!”って。」
──いい感じに足掻いているなと思ったのですが(笑)。
千野
「足掻き感がすごく出てますね(笑)。『グアナコの足』やその前のフルアルバム『ペトリが呼んでる』を経て、今ライヴでやっている曲がだいぶ開けた感じになってきて…やさしい曲だったり、明るい曲が増えたんで、セットリスト的に攻撃的なものが欲しかったんですよ。」
伊丸岡
「千野ちゃんのまた違った、昔の面を見せるっていう。千野ちゃんはやさしいだけじゃない!って(笑)。」
千野
「そういうところで、この歌詞は書きましたね。ワンコーラスだけ書いて亮太に送ったんですけど、そのワンコーラスもバーッと書けたんですよ。自然に書いて、“あ、できた”って。」
──2曲目の「モラトリアム」も詞先?
千野
「これも詞先ですね。もともと全部詞があって、それを亮太に渡してっていう感じです。」
──こういうドラマチックな感じは、千野くんの得意分野なのでは?
千野
「そうかもしれないですね(笑)。僕は女性じゃないし、こういう心境になることはないんですけど、自分の描いた主人公が憑依するというか。自分がその人になった時に沸き出るものを書く。そもそも自分のことじゃないし、想像して書くとどうしてもふわっとしがちなので。だから、結構苦しい作業ではあるんですよね。得意っちゃ得意なんですけど、精神的には崩れていきます。」
──過去にも「つぼみ」(2ndフルアルバム『ペトリが呼んでる』収録曲)とかありましたよね。
千野
「そうですね。「つぼみ」はもっとやさしい感じではあるんですけど。」
──こっちはヒリヒリしてますものね。
千野
「だいぶヒリヒリしてますね。最初はバラードを想像していなかったので、歌詞がめちゃくちゃ長かったんですよ。もっとジャジーな曲を想像していたので。でも、亮太から送られてきたのが、めっちゃバラードで。びっくりしたんですけど、それがめちゃくちゃ良かったんですよ。ただ、それはワンコーラスだけだったんで、このままいくと8分くらいいくんじゃないかって。」
伊丸岡
「10分くらいになりそうだったね。」
千野
「で、テンポを上げれば大丈夫じゃないかって話になったんですけど、もとの感じがすごい良かったんで、“テンポを上げて聴かせるより、俺、歌詞削るわ”って泣く泣く歌詞を削って、頑張ってこの尺になったんですよ(笑)。」
伊丸岡
「それでも6分あるけどね。」
──亮太くんはどういう曲にしようと? 完成版を聴いているからかもしれないですけど、歌の熱量がすごいだけに、サウンドは淡々としていてクールな感じがするのですが。
伊丸岡
「そうですね。サウンド的には浮遊しているというか、ずっとふわふわしていて、歌が力強い曲になったらいいなって。サビは千野ちゃんにはまるように書いてみたんで、ばっちりはまりました。」
──繊細なアルペジオと対比する感じで、ストロークのギターもヒリヒリしていて。
伊丸岡
「カラッとしていますね。ちょっと鉄っぽい感じ。」
千野
「引っ掻いてる感じだね。」
──ギターソロも心の叫びという感じすね。
千野
「ギターソロはレコーディングしている時に、広平が弾いてて…何て言うんですかね。リバーブをかけて、ディレイで飛ばす感じにしがちなんですよ。雰囲気的にGOOD ON THE REELのイメージとして、広平にはそういうものがあるみたいで。なので、ちょっと音の輪郭が見えない感じだったんです。でも、もっとヒリヒリした感じ…乾いた感じで弾いちゃってもいいんじゃないかって言ってやってもらったら、“いいじゃん!”って(笑)。」
──そして、歌は憑依して?
千野
「これ、すごい大変だったんですよ。最後の《言って 言って 言って》は超絶キーが高いんです。あと、サビまではきれいに歌ってるんですけど、サビはエモーショナルになるように意識して歌いました。」
──中盤には変わったテイストの曲があるわけですが、まずは「かくれんぼ」。これはどういう曲を作ろうとしたのでしょうか? ドラムパターンが印象的でした。
伊丸岡
「ドラムを面白いものにしたくて、まずはドラムから作りました。そこにカッティング系の曲ってあまりないので、そういうのを入れて。メロディックなんだけど、音で遊んでいるみたいなのをやれないかと思って作った感じです。」
千野
「この曲、すごくお洒落な感じですけど、サビがストレートなんですよね。」
──サビで開ける感じがありますよね。
千野
「でも、Aメロとかは色気があるんですよ。なので、これはどうしたものかと。サビを聴いてると明るい歌詞とか開けた感じの歌詞しか出てこないのに、Aメロを聴くと「モラトリアム」みたいな感じが出てくるんで。最後の最後まで試行錯誤して変え続けましたね。」
──《その耳に歌う歌があるって 気づいてよ》というフレーズが刺さってきましたよ。
千野
「ありがとうございます。こんなに強く手を差し伸べるようなストレートな歌詞って僕らの曲にはあまりないので、そこは亮太が引き出してくれたってところがありますね。」
──爽快感というか、清涼感がある「WORLDEND」は? 良い意味で派手さはないんですけど、とても美しい曲ですね。
伊丸岡
「そうですね。ずっと聴いていられる曲っていうか。これはよくある日常をちょっときれいに見せたいなって思って作った曲で。だから、淡々としている中で見えてくる景色を千野ちゃんには書いてほしいなと思ってました。」
千野
「これは初めて亮太も歌詞を書いてるんですよ。デモの段階で、なんとなく亮太が歌ってきたんですよね。で、言葉があるところとないところがあったんです。」
伊丸岡
「気になるワードをちょこちょこ入れつつっていう感じなんですけど。」
千野
「それを最初は全部違うように変えたんですけど、やっぱり活かしたほうがいいなと思って。なので、1行目とサビの《誰も知らないこの世界》っていうところが亮太なんです。それ以外は僕が書いていったんですけど、亮太が持っている世界観みたいなものから派生させていく感じで。小さな幸せだったり喜びだったり、日常の中で見逃しがちなことだったり、そういうものを直接的な言葉をなるべく控えて事象だけを書いていきました。あと、温かさも意識して書きましたね。」
──この曲の歌い方も特徴があって。淡々としている感じというか。
千野
「やさしく歌っている感じですね。基本的には。」
伊丸岡
「ワンオクターブ下なんですけど、千野ちゃんと一緒にサビを歌うっていうことを初めてしました。」
──コーラスではなくてツインヴォーカルみたいな感じで?
千野
「ふたりで歌ってるみたいなものを、この曲ではイメージしていたので。最初に亮太が録って、本当にふたりで歌っているみたいな雰囲気になるように頑張りましたね。」
伊丸岡
「本当は女の子が良かったんですけど。いかんせん、このバンドにはいないので。」
──でも、この中盤の2曲はアルバムのフックになっていますよね。そして、次が千野くん作詞作曲の「光」なのですが。
千野
「ただただ幸せな曲を書こうと思って作りました。僕が作曲をする時は詞とほぼ同時進行で作っていくんで、作り方としてはこのアルバムの中で唯一違いますね。」
伊丸岡
「違うけど、一番普通の作り方だよね。」
千野
「まぁ、シンガーソングライター的な作り方ですね。それをみんなでスタジオに入ってアレンジしていく…そんな感じでしたね。とりあえず弾いてみよう、叩いてみようってやってみて、“Bメロうるさいね”とか(笑)、そういう感じで。」
伊丸岡
「試行錯誤していってね。昔はずっとそういうかたちでやってたんで。これはアナログな作り方でした。」
千野
「でも、俺の想像だと亮太がピアノを弾いてとかでもいいなと思ってたんですけど。」
──メロディーが立っている曲なんで、アコギの弾き語りで作ったのかなと思ってました。
伊丸岡
「でも、そういう感じですね。」
千野
「だから、僕の頭の中ではバンドサウンドというよりも弾き語りとか、ザ・ビートルズの♪イエスタデイ~みたいな感じでもいいのかなと思ってたんです。いかんせん僕らはバンドなので、最終的にバンドサウンドになったんですけど。」
──そして、本作の実質的な最後を締め括るのが「Marble」。これは先に曲があった?
伊丸岡
「そうですね。みんなでライヴハウスで“ウオー!”ってなれる感じの曲を作ろうと思って。キッズ? 簡単に言っちゃえば、キッズ感を出したかったっていう。30歳にして(笑)。」
──でも、そのキッズ感を拾ったからこの歌詞になった?
千野
「でしょうね。亮太のデモを聴いてイメージしたのがこういう感じだった。これはすごいストレートで…むしろ、青春パンクと言っていいほどの歌詞なんですけど。僕、そういうのが昔好きだったので。でも、こういう題材で書くことが20代の頃はできなかったんですよね。悔しくて。昔、俺らは新宿Marbleっていうライヴハウスに出ていて、その当時の同年代のバンドたちと一緒にイベントをやったり、切磋琢磨してたんですよ。客は全然入らないんだけど(笑)。その頃の仲間たちってほぼほぼ残ってなくて…それぞれに違う道を選んで辞めていったから、別に悲しいだけの別れじゃないんですけど、その辞めていっちゃうことが悔しかったんですよ。本当は書きたくなかったんですけど、それを自分の中で昇華して、素直にそいつがすごい幸せに暮らしていることを願うというか。題材としては、今だから書ける青春パンクという感じですね(笑)。俺のそういう面を亮太が楽曲で引き出してくれたっていう。」
──最初の話に重なると思うのですが、今のモードだからこういう歌詞が書けたというのもあるのでしょうね。
千野
「そういうのもあるんでしょうね。」
伊丸岡
「時間が経ったからね。」
──そして、本作のタイトルが“光にまみれて”なのですが、この言葉に込めた想いというのは? すごくいいタイトルだなって思いました。
千野
「ありがとうございます。ちょっと映画っぽいですよね(笑)。光って温かいだけじゃなくて、いろんな光があると思うんです。例えば、このジャケット。まさに「モラトリアム」の光のイメージなんですけど。新宿の歌舞伎町みたいなネオンに照らされてるひとりの女の子の話なんで。そういうのもあれば、日常の暮らしの中での温かい光もあるし。「WORLDEND」もそうですけど。あと、「Marble」「ショーベタ」みたいな、ひとりひとりが自分のステージに立って、自分が主役になった時のスポットライトみたいなイメージもあるし。いろんな人がそれぞれの光にまみれて生活しているっていう。そこに焦点を当てるっていう意味で“光にまみれて”にしました。」
──でも、“光”ってGOODのイメージだと幻想的のものを想像してしまうので、このジャケットを見た時は“えっ?”ってなりました(笑)。
千野
「(笑)。そこは良い意味で裏切りたかったんですよね。さっきも言ったように、その人にとっての光っていろいろある…温かいだけじゃないので。で、「モラトリアム」の突き刺すイメージで、このジャケに。亮太とふたりで撮って、お互いに撮ったやつを送り合ったりして、居酒屋で一緒に見ながら“これだ!”って即決しました。題字も亮太に書いてもらったんですけど、“もっと崩れた感じで書いて!”とか言って何回も書いてもらって(笑)、“これだ!”って。」
──過去の作品と並べたらすごいインパクトですよ。
千野
「今回は新たな一面というところで、写真を使いたいなっていうのがあったんですよ。今まではずっと絵だったので、よりリアルというか。」
伊丸岡
「だから、配信シングルの「私へ」から写真にしてみたんです。」
千野
「で、ミニアルバムのタイトルの数字しばりもなくして、作品としてのタイトルを意識して付けました。でも、8枚目のミニアルバムなんですけど、奇跡的に文字数が8文字なんですよ。もうね、これは奇跡です! だから、次に9文字を期待されても、9文字にはならないかもしれない(笑)。」
──リリース後にはツアーが控えているわけですが、どんなライヴになりそうですか?
千野
「アルバムを聴いてくれれば分かるように、エモーショナルなライヴになるんじゃないかと思ってます。本当に僕が倒れないか心配なツアー(笑)。『グアナコの足』の時だったり、テンポ感の良いものを意識していたのとまた違ったライヴ感…俺らのパンクな部分が強く出るでしょうね(笑)。観に来てくれたひとりひとりの心を抉って回るような、そんなツアーになるんじゃないかなと思います。」
取材:石田博嗣
ミニアルバム『光にまみれて』
lawl records

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