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1930年代のカートゥーンと1980年代のアクションゲームへの狂気に等しい愛情に溢れた大作『Cuphead』

これらの表現を見るだけでも、本作が何故、7年もの歳月を費やすことになったのかの理由を思い知ることになるだろう。キャラクターのバリエーションも多彩で、中でもボスは似通ったタイプが一切存在せず、ほぼ全てが段階的に形態変化を遂げる仕掛けを宿しているという点に制作者の狂気を垣間見るはずだ。

緻密な計算に基づいた、”理不尽”に適さない絶妙な高難易度

グラフィックに比類する魅力としてもう一つ、高い難易度がある。
発売当時より、本作は非常に難易度の高いゲームとして、様々なメディアでセンセーショナルな表現と共に伝えられてきた。「数秒足らずでゲームオーバー」、「ファミコン時代のク●ゲーそのもの」、「理不尽の連鎖」などなど。筆者もプレイ前はそれらの情報に目を通して、そんなに壮絶な難易度なのかと戦々恐々の思いだった。
 
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もし、これでクリアを断念するほどだったらどうすりゃいいのか。そんな戸惑いと共に蓋を開けてみると、そこにあったのはそれらの表現に適さない、緻密に調整された難易度だった。
 
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高い難易度であるのは間違いない。通常アクションステージの「RUN&GUN」、ボス戦共に初見でのクリアは困難と言ってもいいほど、激しい敵の猛攻が画面いっぱいに繰り広げられる。本作はダメージ制を採用しているので、一回喰らったところですぐにやられはしないのだが、それでも体力の最大値はたったの3。少しでも調子が崩れれば、一瞬で持っていかれる。
 
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だが、どんな場面においても「何が原因か分からずやられる」ということがない。ボスも含む敵の攻撃は、一貫して予備動作を行った末に実施されるので、それを察知して行動すれば、確実に回避できるようになっている。その予備動作から攻撃に移るまでの時間が短く、初見の時は直撃を浴びてしまいがちではあるのだが、逆に一度経験してしまえばそこまで。以降はそれに応じた対処ができるようになり、的確な立ち回りをしていける。
そうして、一つ一つの攻撃を経験するにつれ、ダメージを最小限に抑えての勝利も狙えるようになり、最終的にはノーダメージでの勝利を目指すことも可能だ。

まさに「トライ&エラー」による、プレイヤー自身の腕前が上達する醍醐味を堪能させられる調整でまとめられているのだ。なので、理不尽やク●ゲーと言った表現は微塵も適さない。
むしろ、非常に失礼千万であると断言しよう。
 
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それに救済&打開措置も豊富だ。「RUN&GUN」のステージで手に入る「コイン」で強化スキルを購入するシステムが搭載されており、これで体力の最大値を上げたり、一瞬だけ無敵になるアクションを繰り出せるようにするなど、有利な形で戦いを進めていけるようにもできる。
 
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また、基本攻撃のショットには拡散型、誘導型、チャージ型と言った複数の種類が用意されているのだが、これら別のショットに切り替えることで、それまで苦戦していたボスとの戦いがビックリするほどプレイヤー有利で進むようになったりもする。
 
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ゲームオーバーになった時にもプレイヤーがどこまでボスを追い詰めたかをを示す進捗率が表示されるので、モチベーションが殺がれにくい。
むしろ、「そこまで行ったなら…!」という気持ちにさせられるだろう。

筆者はアクションゲームには慣れている方なので、ここまでの批評は同ジャンルが苦手な人、遊んだ経験が無い人には逆に抵抗を覚える内容に映ってしまうのは否定できない。実際、ボスにせよ、「RUN&GUN」のステージにせよ、瞬時の判断と忍耐力が要求されるので、アクションゲーム初心者、苦手な人にはかなり骨の折れるバランスである。
 
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しかし、これだけは声高に言っておきたい。決して理不尽な難しさではない。計算された難しさである、と。少なくとも、80年代後期から90年代初期のアクションゲームをプレイし、クリアしてきたプレイヤーならば、本作の難易度には黄金期の再来を痛感させられるだろう。

いざ行かん、記憶に残る取り立ての旅へ

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