「生産性」を上げる…まずここから!職場の“整理整頓”術
ビジネスパーソンは、年間150時間も勤務中に「探し物」をしていると前回お伝えしました。年間勤務日数が250日だとすると、1日平均36分(150時間×60分/250日)。1日36分も生産性が全くない「探す」という行為に、多くの時間を費やしているのです。
では、どうするか?
正しい手順にそって整理整頓を行うのです。
1.机の中の不要な物を徹底的に捨てる
2.共有物を管理するルールを決める
3.重要な書類だけ紙ベースで残す
4.書棚を使う順に並べる
5.パソコンの中を整理整頓する
今回は1、2を中心にみていきます。
増えれば増えるほど、探す時間もかかる
あなたが、もし牛丼屋で食事をしようと考えた場合。メニューに牛丼しかなければ、一瞬で頼むことができます。並、大盛、特盛があれば、少しだけ頼むのに時間がかかります。さらに豚丼、カレーライス、定食などメニューが増えれば増えるほど、それに比例して注文する時間がかかります。
職場も同じです。
机の引出しから黒のボールペンを取り出そうとしたときに、そのペンしか入っていなければ、一瞬で取り出すことができます。赤、緑、青のボールペンがあれば、それらが目に入ることにより、少しだけ探す手間がかかります。さらに黒のボールペンと見分けがつかないシャープペンシル、ダンボールに記入するときだけに使うマジック、10色セットだけど黄色とピンクしか使わない蛍光ペン、礼状を書くときしか使わない筆ペン……。増えれば増えるほど、それに比例して探す時間もかかっていきます。
捨てる、選ぶ、並べる!
ではどうするか? 不要な物を徹底的に捨てることからはじめます。あなたやあなたのチームで、机の中に文房具が散乱している方がいたら、次のことを実践してみてください。1時間もあれば解決し、それ以降、文房具を探すために時間を取られることは無くなります。
まずは机の中にある全ての文房具を机の上に出します。全て出したら、
(1)毎日のように使う物
(2)週、月に何度か使う物のうち自分の物
(3)メンバーと共有して使う物
(4)使わない物
と大きく4つに分けます。
迷う文房具があっても、あまり気にせず感覚で分けて構いません。
机の一番上の浅い引出しには、文房具を収納するスペースがあります。そこにまず、(1)で選んだエース級の文房具だけを入れます。(2)で選んだ、週、月に何度か使う物のうち自分の文房具も同じ一番上の浅い引き出しに入れますが、(1)の文房具の奥に収納します。入れ方は使う順です。手前になればなるほど、使う頻度の高い文房具を入れておくのです。
(3)と(4)で選んだ文房具は、一旦応接室や会議室のテーブルに並べていきます。大量の消しゴム、ホチキス、はさみ、朱肉……どれもメンバーの人数分あるので壮観です。文房具の他に切手、収入印紙、ハガキ、封筒なども並べられるかもしれません。
コンサルティングで伺う顧問先でこの作業を行うと、「なぜこんなにホチキスの芯が大量にあるんだ?」、「輪ゴムは2100年まで使いきれないかも」という現場に立ち会うこともしばしばです。
チームで使う文房具も一か所に
テーブルに並べ終わった文房具のなかで不要な物は捨て、必要なものだけ共有スペースに移動します。
そのときに重要なのは、置き場所を決めておくことです。
某牛丼屋のカウンターに座ったとき、醤油、唐辛子、ドレッシングの置く位置がテプラのシールで設定されていました。置く位置が決まっていることにより、お客様の一部は使い終わったら元の位置に戻そうとします。置く場所を決めておくだけで店員の片付ける手間が省け、積み重なるとかなりの時間を短縮することができるのです。
共有スペースに置く文房具の位置も、同じようにあらかじめ決めておきます。必要な文房具が所定の位置になければ、他のメンバーが使っているという選択しかなくなり、探す手間が省け時間短縮につながります。さらに、使った者が所定の位置に戻すことで、後から片付ける手間も省け、整理整頓されている状態を持続する効果もあります。
ここにしかない安心感を生み出す
私のエース級文房具を収納する場所には、四色ボールペン、シャープペンシル、消しゴム、黄色の蛍光ペン、18センチの定規のみしか入っていません。
その奥には、使う順にデータ印、修正テープ、スティックのり、シャープペンシルの芯が入っています。
ポイントは、机の一番上の引き出しにしか文房具は入れないこと。
この引き出しを開けて、必要な物が見つからなければ、探し物は無い、他の引き出しを開けても意味がない(探す必要はない)という環境を作ってしまうのです。
チームでも文房具の管理は徹底しています。
郵便物を担当しているメンバーにとって、開封するために使用するハサミや、切手を貼るためのノリは必需品です。メンバーによって必要な文房具は違いますが、各自にとって必要な文房具だけが机の一番上の引き出しに入っています。重要なのは、不要な文房具は捨てて、必要な物だけを身近に置くことです。
残業しないチームは、毎日の時間短縮を積み重ね、探すという手間を節約し、大きな効果を発揮します。
残業だらけチームは、個人の引き出しの中も共有スペースの文房具も乱雑になっています。探すことに手間取る時間のみならず、集中していた仕事を中断することで気持ちが散漫になり、ますます時間を無駄に使うことになるのです。
【プロフィール】石川和男(いしかわ・かずお)建設会社総務部長、大学、専門学校講師、セミナー講師、税理士と、5つの仕事を掛け持ちするスーパーサラリーマン。大学卒業後、建設会社に入社。管理職就任時には、部下に仕事を任せられない、優先順位がつけられない、スケジュール管理ができない、ダメ上司。一念発起し、ビジネス書を年100冊読み、月1回セミナーを受講。良いコンテンツを取り入れ実践することで、リーダー論を確立し、同時に残業ゼロも実現。建設会社ではプレイングマネージャー、専門学校では年下の上司の下で働き、税理士業務では多くの経営者と仕事をし、セミナーでは「時間管理」や「リーダーシップ力」の講師をすることで、仕事が速いリーダーの研究を日々続けている。最新刊の『「残業しないチーム」と「残業だらけチーム」の習慣』(明日香出版社)ほか、『仕事が「速いリーダー」と「遅いリーダー」の習慣』(明日香出版社)など、勉強法、時間術などのビジネス書を5冊出版している。
石川和男 公式サイト https://ishikawa-kazuo.com
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