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『新宿駅の空いてるトイレがわかる』小田急アプリ 「これを待っていた!」と話題に

電車に乗っているときに頭を悩ませるトラブルのひとつが、トイレ問題。車内でお腹に刺激を感じたり、急に気分が悪くなったりして、慌てて次の駅で降りてトイレを探した経験、誰でも一度はありますよね。

「こんな機能を待っていた」と、SNSで共感の声

そんなときに頼もしい味方が現れて話題になっている。2017年6月7日から配信されている「小田急アプリ」だ。列車のリアルタイムの走行位置などを知らせる「小田急アプリ」には、駅のトイレの空き状況のわかる機能が搭載されているのだ。これが発表されるや否や、SNSを中心に「素晴らしい!」「コレ待ってました」と話題となり、すでに7万ダウンロード (2017年10月末時点)を突破した。

アプリには、IoTでトイレの空室状況を把握・管理する「KDDI IoTクラウド ~トイレ空室管理~」が採用されており、小田急線「新宿駅」構内のトイレの空室状況を確認できる。使い方はいたって簡単だ。

アプリのメニューから「各駅情報」にアクセスし、新宿駅を選んで「駅構内図」のタブをタップ。

さらにトイレをタップすると、下のようにトイレの場所と空室状況が示される。西口地下改札外のトイレが満室で、南口改札横のトイレが空室とわかる。

では、この空き状況はどれくらい正確に反映されているのだろう? TIME & SPACE取材班が新宿へ行って確認してみることになった。

まずは小田急線「新宿駅」前で「小田急アプリ」でトイレの空室状況をチェック!

アプリで確認すると、西口地下改札外のトイレは男女ともに満室。南口改札横のトイレはともに空室のようだ。実際にスマホ片手に西口にあるトイレへ行ってみると、男女ともに使用中。その足で南口のトイレに向かうと両方とも空室であった。アプリの情報は正しかった

ちなみに小田急「新宿駅」のトイレは西口が地下にあり、南口が1階にあるため距離が離れている。今回のように、先に南口のトイレに空きがあるとわかっていれば、満室の西口トイレには向かわずに、南口トイレへ直行すれば良いので、時間のロスが少ない。やはり事前に空室状況がわかるのはありがたいものだ。現状、トイレの空室がわかる機能は小田急線「新宿駅」のみだが、今後ほかの駅にも採用されることを期待したい。

アプリの開発では“お客さまにとってなにが必要か”を意識した

ところで、なぜトイレの空室を管理する機能を「小田急アプリ」に搭載しようと思ったのか? 小田急電鉄株式会社IT推進部の山田 聖さんに話を伺った。


小田急電鉄株式会社 IT推進部 課長代理 山田聖さん

「“お客さまにとってなにが必要か”を意識して、アプリの機能を選定しました。そして、『自分自身が列車に乗っている時に欲しい情報はなんだろう?』と考えたことがトイレの空室管理を採用したきっかけです。乗車中でもトイレの場所や空き状況がわかると、非常に便利ですよね。

また、開発で重要視したのは、『低コストであること』『スピーディーに設置できること』でした。IoTでトイレの空室情報を配信する取り組みは弊社としても挑戦です。だからこそ、膨大なコストや時間がかかるものであれば、アイデアの時点で却下される可能性がありました。そして、その条件に叶ったシステムが『KDDI IoT クラウド〜トイレ空室管理〜』でした」

トイレをIoT化する仕組みはシンプルだ。マグネットセンサーを個室トイレの扉に設置することで扉の開閉状況を検知。その情報をゲートウェイ(ルーター)経由でクラウドに通知する。利用者や管理者は、そのクラウドや情報を反映したアプリにアクセスすれば、トイレの空き状況がわかるというわけだ。必要なのは、たばこの箱サイズくらいの開閉センサーとゲートウェイのみ。大がかりな設備や工事は不要なので、簡単に設置でき設備・管理コストも抑えることができる


使用者の心情を配慮して、開閉センサーはドアの外側に設置。ドアが閉まるとセンサーが稼働し、近くのゲートウェイに使用中であることを知らせWEBに反映。それをユーザーが端末で見られる。ドアが開いたら、空室と認識し「空き」であることを知らせる

「実際のところ、お客さまに受けて入れていただけるサービスなのか不安だったのですが、予想以上に前向きな反響をいただいたので、トイレが複数ある駅などへの導入も、今後検討していきたいと考えています。また、トイレ以外でも駅構内にはコインロッカーなど、お客さまが利用される設備はあります。そういったものに対しても、ITを活用してお客さまの利便性がより高まる取り組みも検討していきたいと思っています」

わかりやすいIoT=トイレだった

システム開発に携わったKDDI株式会社ビジネスIoT企画部の原田圭悟は、「ご満足いただけてよかったです。『わかりやすいIoTとはなにか?』を追求した結果、トイレというキーワードが出てきました」と語る。


KDDI株式会社 ビジネスIoT推進本部 ビジネスIoT企画部長 原田圭悟

実は「KDDI IoT クラウド〜トイレ空室管理〜」には、長時間ドアが開かなかった場合は、管理者に警報で知らせるという機能もある。たとえば、トイレで誰かが倒れたときなど、急病人のトラブルを早期に発見するという危機管理にも役立ちそうだ。

また、開閉センサー端末で検知した使用状況のデータはすべて蓄積される。現在、小田急電鉄ではデータの解析・利用は行っていないが、原田は「データはIoTの醍醐味なので、ぜひ活用法を提案していきたい」と語る。

「満室が続くトイレは個室数を増やす、混雑する時間帯を避けて清掃に入るなど、蓄積したデータはさまざまなことに活用できます。使用頻度が高いところは清掃回数を増やし、低いところは減らすなど、トイレの効率的な管理にもつなげることができます」

さらに汎用性を広げるために、現在は多目的トイレに見られるような引き戸のドアにも対応できる端末も検討中だ。

「このシステムを応用すれば、コインロッカーの空き状況管理などにも活用できるかもしれません。また、トイレ内でいうと『KDDI IoT クラウド〜トイレ節水管理〜』という別システムもサービスを提供しており、こちらも好評です」

「トイレ節水管理」とは、個室内に設置したコントローラー内の人感センサーによってトイレの滞在時間を計測。それをフラッシュバルブと連動させ、「大・小・流し忘れ・利用なし」といった水量を自動的にコントロールするというもの。導入後は約5割もの水道費の削減が実現できた事例が報告されている。

「IoTというと、わかるようでわからないという方が多いと思いますが、私たちが目指すのは『IoTを使っていることすら気づかないけれど、快適』というところ。実は、トイレだけでなく、ごみ箱などもIoT化する取り組みも行っています。IoTで生活を便利にするのは当然ですが、使っている手間を感じさせずに快適さを感じていただけるシステムを、これからも企画していきたいですね」

「IoT」技術やその恩恵を、普段の生活のなかで意識することは、いまだ少ないかもしれない。しかし、こうしたアイデアが増えてくれば、私たちの生活はもっと「手間なく便利」になるはず。まずは、すぐに効果が実感できる“IoTトイレ”の快適さを味わってみてはいかがだろう。

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