和食×ガストロノミー、「Kyo gastronomy KOZO」は驚きの連続【京都】
おそらく日本初!? ガストロノミー料理と日本酒ペアリング
こんにちは、おいしい料理と日本酒をこよなく愛する、メシ通レポーターの西尾明彦です。
今回ご紹介するのは、話題のガストロノミー料理です。和食をベースに、フレンチや分子ガストロノミーの技法を取り入れた、新感覚のコース料理で人気の「Kyo gastronomy KOZO(キョウ ガストロノミー コウゾウ)」です。
ディナーコース7,344円からと、安いお店ではありませんが、どうしてもご紹介したい理由があります。
それは、おそらく日本初、ガストロノミー料理に合わせて、日本酒をペアリングで楽しめるお店なんです。
お店があるのは、ここ数年で、高感度な飲食店が増えてきた京都・御所南エリア。最寄り駅は地下鉄丸太町駅、京都簡易裁判所の東南角のすぐ向かいです。
店内はカウンター5席、テーブル8席の13席。店内奥には坪庭もあります。
「創作和食出身で、実は和食一筋です。独立する前は、両親が営んでいる、京都・西洞院蛸薬師の『京 泰山木』で料理長をしていました。フレンチも分子ガストロノミーも、すべて独学なんです」
気が遠くなりそうな、丁寧で繊細な仕事をする、オーナーシェフの野田耕三さん。
今回は「黒毛和牛A5サーロインステーキコース」(8,640円)と、料理をきちんとお伝えできるよう、スモールペアリング(2,916円)でお願いしました。
1品目から、スペシャリテの登場です!
▲苔テラリウム フォアグラクリーム、舞茸とベーコンのマッシュポテト
食べるのがもったいないくらい、まるで精巧な箱庭細工のようです。フォトジェニックなんて言葉では表現しきれません。
土は古代米の揚げたもの、白い砂利はコーンスターチ、岩はゴマのパンからできていて、ほうれん草パウダーがふりかけてあります。
見た目だけでなく、フォアグラクリームの濃厚な味わいを中心に、さまざまな食感も楽しめます。
▲日本酒ペアリングは「澤屋まつもと 守破離 雄町 純米吟醸」
雄町米で仕込んだお酒には、骨太なうま味のお酒が多いのですが、こちらはみずみずしくフレッシュな甘さ。フォアグラクリームのうま味、甘みをより引き出してくれます。
2品目は京の先付。
▲サーモンの松風、サンマの柚庵焼き、小芋とサツマイモの炊いたもの、松葉そば、カエデの揚げ煎餅
こちらは一気に秋の風景です。一皿ごとに食感や味わいも異なり、次はどんな料理が出てくるのか、期待が高まります。
▲ペアリングは「陸奥八仙 純米吟醸 ひやおろし」
秋が旬の食材を使った料理と旬のお酒のマッチング。その季節にしか味わえない、ぜいたくな楽しみです。(料理が主役なので、お酒の解説は、以後は極力自粛します)
3品目の前菜。
▲本日の鮮魚3種(この日はタイ、アオリイカ、炙りホタテ貝) 菊の塩ポン酢を泡にして
魚介の淡白なうま味には、フワッと空気を含んだ、ホイップ状の泡ソースがよくマッチしています。添えてある醤油キャビアと金山寺わさび(もろみ味噌と茎わさびをあえたもの)が良いアクセントですね。
「日本酒と珍味、創作料理のお店出身なので、日本酒と珍味が得意なんです。カラスミをお出ししたこともありますよ」
▲ペアリングは「鳳凰美田 純米吟醸 ひやおろし」
4品目のスープ。
▲白黒しめじと九条ネギ 出汁コンソメのスープ
出汁コンソメのしっかりしたうま味に、オリーブオイルと黒胡椒が効いています。
5品目は季節の野菜料理。
▲彩り野菜の和風テリーヌ(この日はボイルエビ、焼きナス、パプリカ、トマト、ズッキーニ)
そのまま食べると、ジュレ状のお出汁と、野菜の食感で和の風味が楽しめ、タスマニア産マスタードとフレンチドレッシングのソースをつけると、爽やかな酸味で、洋風な味わいに様変わり。
▲ペアリングは「春霞 特別純米 山田錦 ひやおろし」
日本酒とのペアリングというと、料理の味付けが濃いのではと、思われるかもしれませんが、こちらは上品な出汁ベースの京風薄味です。それを、ソースや付け合せの組み合わせなどを工夫することで、料理単品でおいしいだけでなく、相応しい日本酒と合わせることで、見事にペアリングに成功しています。
6品目は魚の一品。
▲黒七味の衣で揚げた甘鯛のフライ 柚子と大葉のソース、ベビーリーフ添え
カラッと揚がって身はホクホク、玄米の衣はサクサク、衣に入った黒七味のスパイシーさも心地よく、キャッチーな味わい。こちらはソースが柚子と大葉で和の風味。素材や調理法、ソースなど、和と洋のさまざまな組み合わせが楽しめます。
▲ペアリングは「凌駕 純米吟醸 秋だより」
7品目の氷菓。
▲真っ青なお花のグラニテ レモンジャムのソース
「よく混ぜてお召し上がりください」
混ぜていくと……
ブルーからパープルに色が変わりました!
見た目に楽しく、面白いだけでなく、清涼感ある甘さで、魚料理で満足していた口中をリフレッシュして、次の料理へと誘ってくれます。
8品目の肉の一品。
▲宮崎県産A5ランク安楽牛 サーロインステーキのトリュフソース、カボチャのマッシュポテト、クルミとアーモンド
分厚いA5サーロインに、スッとナイフが入り、口に運ぶとトロける脂のうま味……。
淡路産の藻塩とワサビでうま味が際立ちます。ナッツをトリュフソースに浸すと、これまたお酒が進みます。
▲ペアリングは「梵(BORN) 純米吟醸 ひやおろし」
9品目は飯物と椀物。
▲松茸ご飯、柚子と三つ葉と紅葉麩のお吸い物
コース料理の最後に、ご飯物が食べられるのはうれしいですね。それも、風味豊かなマツタケごはんですから。
これぞ秋の風物詩。自家製おかか昆布の佃煮もよく合います。
10品目のデザート。
▲サクサクのパイ生地で挟んだりんごのコンポート、シナモンのアイス、アールグレイティーの瞬間冷凍
目の前で、瞬間冷凍したアールグレイティーを振りかけて仕上げます。白煙がお皿を覆います。
はかなげに消えてゆく食感は、分子ガストロノミーの技法あってこそ実現できるものでしょう。
最後にお茶とお茶菓子。
▲手づくりアーモンドのチュイールとクルミのブラウニー、京都一保堂の極上ほうじ茶
お茶とお茶菓子でほっこりと、最後まで満足のコースでした。
「来月はどうしようか、毎月のコースを考えるのが大変なんですよ……」
と、やはりご苦労はあるようですが、旬を盛り込んだ一皿ごとに変化があり、来月はどんな料理が登場するのか、楽しみしかありません。
ディナーコース8,640円で、これだけの品数、そして一皿ごとに手をかけた驚きの内容です。一般的なガストロノミーレストランで、コース料理にお酒を追加すると、3万円程度になるお店が多いことを考えると、破格といえるお値打ちさではないでしょうか。
ガストロノミー料理をフル体験するには、やはりディナーコースでしょう。記念日や、ここぞという大事な食事会など、誰かを連れて行きたくなる、驚きと満足に満ちたお店です。
オープンからまだ半年ですが、予約で満席となることも多い人気店ですので、早めの予約がベターです。日本酒とのペアリングも、ぜひ体験してみてください。
お店情報
Kyo gastronomy KOZO(キョウ ガストロノミー コウゾウ)
住所:京都府京都市中京区富小路通竹屋町上ル桝屋町325-3 森田ビル 1F
電話番号:075-211-1988
営業時間:12:00~15:00 (LO 14:30 ) 18:00~22:30 (LO 22:30)
定休日:不定休
Facebook:https://www.facebook.com/kyo.gastronomy.kozo/
※この記事は2017年10月の情報です。
※金額はすべて税込みです。
書いた人:西尾明彦
外食ライター&コピーライター。食と酒を中心に、堅めのビジネス系など執筆中。趣味は酒蔵巡り。北は北海道から南は四国まで50蔵以上を訪問。大阪在住のきき酒師。
HP:大阪のコピーライター西尾事務所
過去記事も読む
関連記事リンク(外部サイト)
そのカレー、インド過ぎにも程がある!京都造形芸術大学「カフェ Verdi」【京都】
中国・東北出身のご夫婦が作る「餃子王」のとぅるんでむっちむちな水餃子には家族の歴史あり
貴重なオールドボトルが1500本!1杯300円から飲める「お酒の美術館」【京都】
食を楽しみたいあなたのスキマ時間を、笑顔と感動と知って得する情報で満たす「グルメ情報マガジン」です。平日は休まず更新中。
ウェブサイト: http://www.hotpepper.jp/mesitsu/
TwitterID: mesitsu
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。