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佐藤秀峰の「自炊代行ドットコムに聞いてみた」

佐藤:そこでオーナーチェンジをされたんですね。

中村:そうですね。仕切り直しということで。

大西:そこからは私がオーナーになりました。元々は中村の会社に勤めていたのですが、退職して新たに事業を引き継いだ形ですね。

佐藤:元々は同僚でいらっしゃったんですね。やっとつながりました。その後はいかがですか。サービスを再開されて、何か大きく変わった点などありましたら教えてください。

大西:大きくは変わりません。元通りというか、順調にお客様にご依頼をいただいて、忙しくさせていただいています。ありがたいです。お待たせしているお客様には申し訳ないです。

佐藤:それはすごいことですね。普通は一度休業するとお客様が離れてしまうもののような気がするのですが。

中村:やっぱりきちんとやることが大事なんでしょうね。今は、ライツガードといって、著作権保護サービスを導入しようとプログラムを作成中です。まずウォーターマークと呼ばれる薄いマークをスキャンデータに埋め込むんですね。書籍データを読んでいる分には認識できないくらいの薄いマークなのですが、ある方法でデータを顧客データベースに照らし合わせると、個人データが分かるようになっているんです。つまり、データを故意に流出させると、個人データも流出するような仕組みを作っています。これも、データ流出の歯止めになるのではないかな、と思っています。

佐藤:そこまで考えるものですか。

中村:こちらは後ろめたいことをしていませんから、お客様の同意を得たうえでそこまでできたら、著作権者の皆さんの理解も得られるのかな、と。
9月6日の質問状でも、ちょっとした裏話がありまして、あの質問状は我々業者に送られたものとマスコミ各社に送られたものでは実は中身が違うんです。我々に送付されたのはネット上で公開されているもの(※佐藤注 上記質問状)と同じです。ですが、メディアに送られたものには、「違法業者に質問状を送ったので、あなたたちからも業者に取材してほしい」との趣旨が書かれていたそうです。違法業者と断定されていじめられてきましたから。

佐藤:なるほど。実は今日のお話の冒頭から自炊代行サービスの社会的意義や、震災被災者の役にも立つというようなお話があって、ずいぶんそこを強調されるんだな、と感じていました。別に「もうけたいからがんばってるんだ」でもいいと思うんです。でも、今おっしゃられたように、利己的な違法業者だと思われたくないという思いがあるんですかね。

中村:逆に襟は正しておきたいですね。

佐藤:しかし、12月20日には、ついに作家が原告となり、自炊代行業者を訴えるという事態になってしまいました。

中村:あの訴訟は原告もよく分かっていないですよね。原告は記者会見で「裁断本が再流出してる、問題だ」と主張していますが、代理人弁護士の福井健策さんは別のインタビューで「裁断本が再流出すること自体は違法ではない」と発言しているんです。大きな矛盾だと思います。

佐藤:確かに、原告は「本を裁断したり自炊自体が許せない」という雰囲気で、再流出も容認しない姿勢ですが、訴訟自体は「自炊代行は違法である」という主張なはずで、自炊自体や再流出を問題にはしていないんですよね。訴訟の趣旨すらも理解できていないことを考えると、原告は自ら自炊代行事業に問題を感じて訴訟を起こしたとは考えにくいです。普通に考えると出版社が裏で動いてるでしょうね。福井さんも小学館の顧問弁護士ですし。

中村:事実、我々の元には応援のメッセージが多く届きました。大変なことになってるみたいだけど、応援しているよ、と。弊社が訴えられているわけじゃないので、大変ではなかったんですけど。経営者の方からの応援も多かったです。ご自分が事業をなされている方からは大きなご声援をいただきました。巨大企業にいじめられても負けるな、と。

佐藤:実際に訴訟の影響はありましたか。

大西:ないですね。むしろ、代行事業に注目が集まり、注文が増えました。弊社は訴訟の結果、自炊代行はダメだよ、という判断が出たら、それに従うつもりなんです。お客様にもそう伝えてあります。ただ現在、復興支援パックというサービスをやってまして、被災地からの注文は安く受けられるようにしているんです。先ほど、被災者向けのサービスを強調しているというお話がありましたけれども、実際に注文の3分の1は東北からのものなんですね。必要とされているから存在するサービスではあるんです。このまま国内で自炊代行が禁止になったら、海外から来るよ、と思っています。他のアジアの国々に取って替わられるだけじゃないかという気もします。むしろ、書店や出版社がこのサービスを展開してくれればいいと思います。

佐藤:そういう話は出版社としたことはあるんですか。

中村:何度も話し合いの場を持てないかと提案してきましたが、すべて断られています。先の質問状が来たときに我々が公開した回答についても、講談社の広報から「詭弁です」との意見があったみたいですね。ニュースにもなりました(※)。こちらは話し合う姿勢を持っているのですが、ことごとく断られてしまうんですよ。
本はどうしても置き場所がとられますからデータ化してその分本棚が空けば、新たな本を買うことができますし、出版社にもメリットがあると思うのですが。大学などの教育機関でもiPadに教科書を入れるところが出てきています。書店で流通しなくなった本でも電子なら目につきやすかったり、作家さんもチャンスが増える部分もあるはずです。私も自宅には数千冊の本を所有していますし、本は大好きです。最初は本を切るのに抵抗があったし、でも電子化を進めたい。
子どもがいるのですが、子どもは「本は本だもん」と言って、紙の本を読んでいます。それも否定しません。電子と紙でそれぞれに良さがあって、本を読む→買うのサイクルがうまく回ればいいと思っています。私たちは、自炊代行サービスは、本当に良い経済循環を生み出すと思っています。私たちの自炊代行のビジネスモデルのケースであれば、スキャンされた書籍は完全廃棄します。従って、裁断本の再流通はなくなります。また、データの使いまわしや裁断本の使いまわしも絶対に行いません。すでに購入された書籍の電子化は、古本屋に再流通されずにすみ、同じ書籍を購入したいと思えば、新しい本を購入するしかない為、作家、出版社、書店、読者そして、出版関連サービスの企業全てが新しい利益を享受できる仕組みになるのですから。
それでいて、読者の皆様は、所有者の権利を行使しつつ、大事な書籍を価値を下げずに保管できるし、捨てなくて良い。素晴らしい経済循環活動であると行きついたのです。

※「「原本廃棄するので複製ではない」 自炊代行業者回答に出版社側反論」2011年09月09日『JCASTニュース』
http://www.j-cast.com/2011/09/09106865.html?p=all

佐藤:本日はありがとうございました。

* * * * *

さて、インタビューは以上です。
“会ってお話を聞く”基本はこれですね。疑問に思ってたことがよく分かりましたよ。
親切でとっても感じの良い方たちでした。自炊代行ドットコムさん、本当にありがとうございました!!
さて、今回伺ったお話は1つのケースに過ぎないかもしれません。もしかしたら、悪い業者もいるんじゃないかというご意見もあるでしょう。実は先日、業界最大手の“BOOKSCAN”さんにもお邪魔してきましたので、そちらも近日中にレポートいたしますね。
法律の条文をいじくり回してるだけの出版社には分からない、現場の姿をお伝えしたいと思っています。

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以上、転載元・佐藤秀峰日記
http://mangaonweb.com/creatorDiary.do?cn=1&p=1

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