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【レッドブル・エアレース】劇的なフィナーレ。室屋義秀選手が最終戦で優勝、逆転で年間王者に

【レッドブル・エアレース】劇的なフィナーレ。室屋義秀選手が最終戦で優勝、逆転で年間王者に (Predrag Vuckovic/Red Bull Content Pool)

10月15日、アメリカのインディアナポリスでレッドブル・エアレース最終戦(第8戦)が行われ、日本の室屋義秀選手が優勝。第7戦まで年間王者争いのトップに立っていたチェコのマルティン・ションカ選手が4位に終わった為、4ポイント差の2位につけていた室屋選手が逆転で2017年の年間王者に輝きました。

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■最終ステージはモータースポーツの聖地

最終戦の舞台となったのは、インディアナポリスのインディアナポリス・モータースピードウェイ。アメリカの「モータースポーツの聖地」であり、有名な「インディ500マイル」が開催されるサーキットです。創設時はレンガ敷きで、今もゴールラインだけはレンガを残しており、その来歴から「ブリック(レンガ)ヤード」という愛称でも知られています。レッドブル・エアレースで使用されるのは2016年に続き2回目ですが、実はインディアナポリス・モータースピードウェイとエアレースの歴史は古く、1909年に完成したこの会場のこけら落としとなったのは、同年6月5日に開催されたエアレース(気球によるレース)なのです。この後8月14日にバイクのレースが初開催、車のレースが初めて行われたのはその5日後の8月19日……と、エアレースの方が長い歴史を持っており、最終戦の舞台としてふさわしい場所と言えるでしょう。
【レッドブル・エアレース】劇的なフィナーレ。室屋義秀選手が最終戦で優勝、逆転で年間王者に会場(Predrag Vuckovic/Red Bull Content Pool)

■年間王者争いは4人に絞られる。そしてポドルンシェク選手引退

第7戦ラウジッツ(ドイツ)大会で今シーズン3勝目を挙げた室屋選手は、この時点で年間ポイントが59。首位のマルティン・ションカ選手(63ポイント)と4ポイント差の2位につけていました。3位にはカナダのピート・マクロード選手(56ポイント)、4位にはアメリカのカービー・チャンブリス選手(52ポイント)。最終戦を残し、年間王者争いはこの4人に絞られていました。室屋選手が年間王者となるには、最終戦で優勝し、ションカ選手が3位以下、そしてマクロード選手とチャンブリス選手が2位以下というのが一番判りやすい条件です。
【レッドブル・エアレース】劇的なフィナーレ。室屋義秀選手が最終戦で優勝、逆転で年間王者に年間王者争い上位3機。右からションカ機、室屋機、マクロード機(Joerg Mitter/Red Bull Content Pool)

そしてこの週末が始まる直前、残念なニュースが飛び込んできました。今年で参戦2年目となるスロベニアのピーター・ポドルンシェク選手が引退を発表したのです。温かい人柄で、日本にもファンの多い選手でした。チームクルーと仲良くなったこともあり、千葉では戦略について詳しく教えてくれたりしたことが思い出されます。ポドルンシェク選手は父親が経営する中央ヨーロッパ屈指の医療機器会社Medicopの経営にも携わっており、今年からは父親と同じく最高責任者の地位についていました。引退の原因についてポドルンシェク選手は詳しく話してはくれませんでしたが、自身を取り巻く環境の変化などが影響を与えたのかもしれません。最後のレースとなる決勝の前には、ポドルンシェク選手のハンガーにパイロットらが全員集合して別れを惜しみました。
【レッドブル・エアレース】劇的なフィナーレ。室屋義秀選手が最終戦で優勝、逆転で年間王者にポドルンシェク選手のハンガーに集まった選手達(Predrag Vuckovic/Red Bull Content Pool)

■今年唯一のスタンディングスタート

インディアナポリス大会では、今年唯一の「スタンディングスタート」方式のトラックとなりました。場内の仮設滑走路から離陸し、そのままスタートゲートに向かいます。上空に待機した上で、制限速度の200ノット(約370km/h)まで加速しながらスタートする場合と違い、まだあまり速度が乗らないままスタートすることになるので、エンジンのセッティングとしてはダッシュ力を高めた形にすることが重要です。また、トラック内を飛行する際は、特に1周目はスピードが乗らないために風の影響も強くなり、最初のハイGターンで無理な動きをするとエネルギーを失い、1回目のバーティカルターン(VTM)で失速する危険もあります。そして2周目以降は逆にスピードが乗ってくるために、1周目と同じラインでハイGターンを飛ぼうとすると外に膨らみ、パイロンヒットや進路修正が間に合わず、ゲートを水平に通過できないインコレクトレベルも起こしやすくなります。1周目と2周目で性格が微妙に異なる、テクニカルなトラックと言えるでしょう。
【レッドブル・エアレース】劇的なフィナーレ。室屋義秀選手が最終戦で優勝、逆転で年間王者にレーストラック(Red Bull Media House GmbH/Red Bull Content Pool)

■風と気温。日ごとに変わるインディ

今週のインディアナポリスは風の強い状況が続きました。金曜のフリープラクティス、土曜の予選は風に加えて気温も上昇し、最高気温28度をマークしました。そんな中行われたフライトですが、金曜午前のフリープラクティス1は、昨年のインディアナポリス大会の覇者にして2016年年間王者のマティアス・ドルダラー選手(ドイツ)が1分6秒173でトップ。午後のフリープラクティス2では、オーストラリアのマット・ホール選手が1分4秒055でトップタイムをマークしました。土曜午前のフリープラクティス3では、フランスのニコラ・イワノフ選手が1分4秒283(バーティルターン時の姿勢違反で1秒のペナルティ込み)でトップ。2番手はマット・ホール選手の1分4秒401でした。室屋選手は金曜のフリープラクティスで9位と8位。エンジンのセッティングがうまく決まらず、エンジンの出力が上がりにくくなっており、タイムが伸びずに苦労している印象でした。
【レッドブル・エアレース】劇的なフィナーレ。室屋義秀選手が最終戦で優勝、逆転で年間王者にフリープラクティスでのホール選手(Predrag Vuckovic/Red Bull Content Pool)

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