知的で魅力的な大人になるための近道は?
「知性や品性が感じられる大人」と聞いて、皆さんはどういった人を思い浮かべますか? そのひとつとして「相手や状況に合わせて適切な言葉を使える」ということが挙げられるかもしれません。日常のさりげない言葉に気遣いや謙虚さ、誠実さを感じさせるような、大人の語彙力がある人はとても魅力的ですよね。
では、どうすればそのような語彙力を身につけられるのでしょうか。実は言葉には、文章の中で見れば何となく意味がわかる「認知語彙」と、実際に自分の発言や文章の中で使いこなすことのできる「使用語彙」の二種類があります。使用語彙の数は、認知語彙の三分の一から五分の一程度だといわれているそうで、「この二種類の語彙をバランスよく増やすことが、語彙力のある知的な大人への近道」(本書より)だと本書『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』の著者・吉田裕子さんは言います。
というわけで、本書では全部で200の言葉が紹介し、その意味だけではなく、それを本当に使いこなす(=使用語彙に加える)ための詳しい解説もつけられています。この一冊を読めば、普段の会話はもちろん、仕事でのやりとり、メールや手紙、お詫びするときなど、あらゆる場面で使える語彙力が自然と身につけられることでしょう。
また、本書は7つの章にわかれているのですが、各章では難易度などを考慮して「使える順」に配列され、★5つでの五段階評価がされています。大学生や若手社会人はまず★5つの言葉を自分のものにすることから、30代、40代以上であれば★3~4つの言葉を使えるようになることを目指すとよいそう。身につけるべき順番に言葉が並んでいて、自分がどの程度習得すればよいかきちんと示されているのがわかりやすくてありがたいですね。
たとえば第1章は「仕事がなめらかに進む挨拶の定番表現」。使いやすい順に「おそれいります」「心待ちにする」「お足もとの悪い中」と出てきます。このあたりは★5つ。続いて「ひとかたならぬ」「有終の美」「身に余る」などが★4つ。そうして使いこなすのが難しいとされる★1つになると「幸甚に存じます」があげられています。
それぞれの言葉には、意味のほかに例文や由来、類義語や対義語などまで紹介され、非常に深い部分まで知ることができます。また、最後の第7章には「シナジー」「ブルーオーシャン」「アジェンダ」「忖度」といったビジネスシーンには欠かせない用語の説明もあり懇切丁寧です。
認知語彙ではなく使用語彙を高めること。そのために一番よいのは実際に使う機会をつくることではないでしょうか。本書を読んでさまざまな言葉を覚えたら、ぜひ手紙やメールを書いたり、目上の人と話す機会を意図的に増やしたりしてみてください。きっと「大人の語彙力」が身についたという手ごたえを感じられるのではないでしょうか。
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