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理由を探りにくくするフレーズ「認知症が進んだ」

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【認知症が進んだ?!】
介護者にとってよくない変化が生じたとき
医師でもないけれど「認知症が進んだ」と判断することがある。

そんな時、「それは本当か?」と問いかけたら、違うものがみえるかも。

何より「認知症が進んだ」の裏側に
「だから、しかたない」というあきらめが隠れていないか
よく観察しておきたいところ。
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「認知症が進んだ」と感じるとき

わたしたちは、介護をしていると「認知症が進んだ」と感じることがあります。どのような時にそう感じるかというと、多くの場合、これまでは覚えていたことを忘れていたり、昨日までしっかり出来ていたことが出来なくなったりしている場面を目の当たりにした時だったりします。

あるいは、そうした明らかな記憶力の変化や動作の変化の他にも、これまでと同じ声かけや介助方法では、うまくケアが出来なくなった時にも、「認知症が進んだ」と表現されることもあります。

いずれにしても、介護者が「マイナスの変化だと感じる出来事に遭遇した時」であることが共通点だといえます。

「認知症が進んだ」は思考停止をもたらすフレーズ

ただ、それらの変化が、実際に「認知症」が進んだことによるものかどうかの判断は、医師であっても簡単には判断できません。仮に、MRI検査の結果、脳の萎縮が進んでいたり、新たな脳梗塞が見つかったりしたとしても、長谷川式スケールの点数が前回より悪くなっていたとしても、それでもそれらが私たちが感じている変化の主な要因かどうかは、判断しづらいのです。

なぜなら、その人の能力は、「認知症」の変化だけに影響を受けるわけではないからです。意識がもうろうとするような体調変化による可能性も考えられるし、悲しい出来事による心理的なショックの可能性も考えられるし、引っ越しや入院等の環境変化の影響も考えられます。また、職員の不適切な関わりによる可能性もあり得るでしょう。

そうした可能性を観る目を曇らせてしまうフレーズが、この「認知症が進んだ」という表現だといえます。

ムードではなく事実で変化をとらえる

では、そういうマイナスに感じる変化に遭遇した時は、どう向き合えばよいのでしょうか?そういう場面では、「認知症が進んだかどうか」ではなく、①「“何”が“どのように”変化したのか?」を確認し、②「その変化は何によって起きているのか?」に注目することをおススメします。

「“何”が“どのように”変化したのか?」の確認とは?

「認知症が進んだ」というのはあくまでも主観なので、とらえかたに個人差があります。例えば、毎日ケアしている人と、1週間に1回のケアをしている人では、感じ方も違うでしょう。何より、「認知症が進んだ」と表現するからには、何かしらの“変化”があったはずなので、その具体的な出来事に基づいて、②を考えていく必要があります。

「その変化は何によって起きているのか?」を考えるときとは?

「認知症が進んだ」という可能性もひとつとして含んだとしても、それ以外の可能性は何が考えられるか?ということがポイントになります。何より、「認知症が進んだ」ということにはわたしたちは手のうちようがありませんが、それ以外の可能性(体調、気持ち、環境等)は、わたしたちに出来ることがあります。だからこそ、自分たちが変えられるものを見つけるというスタンスで考えることがカギになります。

おわりに

この「認知症が進んだ」というフレーズを耳にすると、わたしたちはいとも簡単に、「認知症が進んだのなら、しかたないよね」と諦める気持ちに支配されてしまい、本人を理解することにも、状況を観察することにも、アイディアをひねりだすことにも、行き詰まりやすくなります。

「認知症が進んだ」という言葉を耳にした時に、今回の記事を思い出していただき、①変化の具体的内容、②考えられるきっかけ(理由)を探るきっかけにしていただけたら嬉しいです。

この記事を書いた人

裵 鎬洙

コーチ 認知症ケアスーパーバイザー
コミュニケーショントレーニングネットワーク(CTN)講師
介護支援専門員実務研修・専門研修講師

【略歴】
1973年生まれ。兵庫県在住。大学卒業後、訪問入浴サービスを手がける民間会社に入社。その後は介護施設で相談業務に従事。コミュニケーショントレーニングネットワーク(CTN)にてコーチングやコミュニケーションの各種トレーニングに参加し、関わる人の内面の「あり方」が
”人”や”場”に与える影響の大きさを実感。介護に携わる様々な立場の人に、知識や技術だけでなく「あり方」の⼤切さを発見する研修やコーチングセッションを提供。著書『理由を探る認知症ケア~関わり方が180度変わる本~』。介護福祉士、介護支援専門員、主任介護支援専門員。

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