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動物だって人間だ。 『ボージャック・ホースマン』

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 「ボージャック・ホースマン」は、ハリウッドのショービジネス界が舞台のアニメである。80年代のシットコムで人気を博したコメディアンが、その後はヒットに恵まれず、再起をかけて自伝の執筆を企てるところから物語は始まる。そのシチュエーションだけ見ると、『バードマン』とかに近い。が、このアニメに登場するキャラクターがみんな動物で、主人公のボージャック・ホースマンは、その名の通り、馬だ。『ズートピア』とか『SING』のような世界観ではあるが、そこに人間も混じっていて、これがこのアニメの不思議ポイントの一つになっている。
 
 売れていた時代の、過去の栄光に未だ取り縋るボージャック(馬)に、マネージャーであり元恋人の女性(猫)、自伝執筆のゴーストライターとして雇われたベトナム人女性(人間)、ライバル的な位置の明るい俳優(犬)、ボージャックの家に居候するニート青年(人間)などが絡んでいく、基本的にはドタバタコメディだが、扱っているテーマは割と重かったりする。
 
 中年の男女を覆うミドルエイジ・クライシスの諸問題。ハリウッドの輝かしさの陰にうごめく陰謀や裏切り。ドラッグや他の依存症の問題。様々な出自の者たちのアイデンティティや、差別の問題。それらの暗さが、荒唐無稽なストーリーと寄り添いながら、ある時はギャグとして笑い飛ばされ、ある時はシリアスな印象で、急に我々の前にポン、と置かれたりする。
 
 登場人物たちが動物になっているのは、その辺の印象を和らげる目的もあるのだろう。とてつもなく残酷な展開で、容赦なくこちらの心を刺してくる回も多い。(余談だが、「シンプソンズ」などに代表されるアメリカのアニメは、この辺にすごく意識的な気がする。実写じゃないから、相当エグいことやっても大丈夫だろ、みたいな)
 
 キャラクターは割と単純な線で描かれており動きも平面的だが、よく見ると画面の端の細かいところまで演出が施されているし、たまにすごいアートアニメ的な表現もあったりして、楽しい。(第1シーズン最終回の幻覚シーンや、第3シーズン4話目の、魚の国のフィルムフェスティバルに出張する回とか、傑作)
 
 アメリカの業界有名人の名前を知らないとよくわからないギャグや、英語でなされているであろう言葉遊びのギャグ(それらの有名人の名前をもじってたりとか)が頻出するので、はじめはとっつきにくかったが、それに慣れると、デタラメとリアルが交互に押し寄せる波に、身を委ねて楽しめる。
 
 主演は『レゴ バットマン ザ・ムービー』など、声優としての活躍も幅広いウィル・アーネット。居候のニート青年は「ブレイキング・バッド」のアーロン・ポール。「ブレイキング・バッド」では陰鬱な演技が多かったが、本シリーズでは、明るいとぼけた声を出していて、耳に心地いい。この二人はエクゼクティブ・プロデューサーとしても名前を連ねている。
 
 レギュラー、ゲストの声優陣も豪華で、自分が好きな俳優でいうと、J・K・シモンズ、スタンリー・ツッチ、アラン・アーキンなどが準レギュラーを固めている。実名で登場してドタバタを演じるハリウッドセレブも多数いて、ダニエル・ラドクリフ、ナオミ・ワッツ、ジェシカ・ビールや、なんとポール・マッカートニーまでもが、本人役で嬉々として出演している。
 
 興味を持たれた方は、マア、一回、見てみてください。
 
※Netflixオリジナル
「ボージャック・ホースマン」独占配信中
 
【予告編〈シーズン3〉】

 
【視聴リンク】
https://www.netflix.com/title/70300800

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