体験を伝える―『ガジェット通信』の考え方

面白いものを探しにいこう 本物を体験し体感しよう 会いたい人に会いに行こう 見たことのないものを見に行こう そしてそれをやわらかくみんなに伝えよう [→ガジェ通についてもっと詳しく] [→ガジェット通信フロアについて]

【ザ・クロマニヨンズ】“ラッキー”も“ヘブン”も文句付けようがないじゃないですか(笑)

11枚目のアルバム『ラッキー&ヘブン』が完成した。シンプルなのに膨らみのあるサウンドはますます冴えわたり、高いテンションで放たれる楽曲たちは強烈な印象を残すものばかり。歌わずにいられない衝動と、楽器が鳴った瞬間の緊張感。その原点を忘れることなく楽曲に仕上げていく確かな手腕が、全12曲の瑞々しさに宿っている。
L→R 小林 勝(Ba)、甲本ヒロト(Vo)、真島昌利(Gu)、桐田勝治(Dr) (okmusic UP's)
コーラスを入れている時が 一番、楽しいね

──今年もアルバムがリリースされる季節になりましたけれど、このサイクルは定着していますよね?
甲本
「ルーティーンですね。たぶん、いろいろ考えるのが面倒臭いからじゃないですか(笑)。ルーティーンって、そういう些細な面倒臭さを省くために存在するわけでしょ? やりたいことに集中するために、例えば今日何食べようかな?って考えるのが面倒臭さいから、そういう苦労を省いてヒットを打つぞ!っていうところで絞り込める。だから、打率が上がるんじゃないですかね。」
──それこそイチロー選手のルーティーンみたいに?
甲本
「そう。そういう人って何かに集中したいんですよね。」
──ということは、今回のアルバムはツアーが終わってすぐに取りかかったわけですか?
甲本
「そうです、5月の半ばくらいから。ツアーが終わったら2週間ぐらいぼんやりして、それからスタジオに集まって。」
──そのぼんやりしている期間は曲作り期間なのですか?
甲本
「基本は休みですね。でも、曲は普段の中で生まれてくるものだから、その休みの期間に生まれる曲もあるだろうし、昔からある曲もある。」
真島
「僕の場合は曲作り以外にやることがないので(笑)。」
──これまで溜まってきた断片がまとまっていくのですか?
真島
「うん。そういうのもあるし、一気にスーッとできるのもある。曲ができた時期はバラバラですね。あんまり古いものはないと思いますけど。」
──古いストックが今になって候補に挙がるのは、聴き直してみると“いけるな”という手応えを感じて?
真島
「古いものって聴いてみても自分の中で鮮度が古くなっているから、それをそのままやることにはならないですね。そのアイデアを活用することはありますけど。」
──今の気持ちに一番合っているものをピックアップすると、今回の曲になったという感じですか?
真島
「うん。あと、昔の曲の順列を組み変えてやるとか。歌を作るのが好きなんです。それが一番楽しいかな。」
──今回のアルバムもいつものようにふたりが半分ずつ作られていますけれど、お互いに出し合って?
真島
「そうです、交互に出して。」
──今回はこれまで以上に楽しさが詰まっていて、特にコーラスが全曲に入っていますよね?
真島
「コーラスを入れている時が一番、楽しいね。みんなでふざけて(笑)。」
──コーラスはその場で閃くのですか? あらかじめ作ってくるのですか?
真島
「歌ができた時にコーラスが頭の中で鳴っている時もあるし、入れていくうちに“ここにも入れておこうか”と浮かんだり。あんまり入れすぎると“ここうるさいからカットしよう”とか(笑)、いろいろです。」
──コーラスでインパクトあるのは「ハッセンハッピャク」ですね。あのフレーズだけで押してくるとは。
甲本
「あれだけなんですよね(笑)。」
──歌詞の意味じゃなくて響きですね。ひたすら響きが耳に残る。
甲本
「うん。発声した時の気持ち良さというか。」
──それも1カ所だけじゃなくてずっと続く。まさかこれだけで最後までいくのかと思ったら、本当にそうだった。
甲本
「しかも転調しますからね(笑)。」
──あと、コーラスと言えば「足のはやい無口な女子」ですね。あれはムード歌謡のような?
真島
「そうですね。ピンキーとキラーズです。」
──あれは意図的に?
真島
「そうですね。自然にというか。」
──あそこまでムード歌謡に寄せたことがなかったから新鮮でした。
真島
「うん。楽しかったよ(笑)。」
──コーラスしている時のみなさんの顔が浮かびそうで。やり切ってますよね?
真島
「うん。半端にやるよりはいいんじゃないですか。」
──他には「嗚呼! もう夏は!」「盆踊り」と夏つながりの曲もあって。
甲本
「夏ですね、そこは。でも、今回も曲をシャッフルしながら、何となくいい流れを何パターンも毎日聴いていて。あとは、肝になるところだけ、例えば1曲目は何がいいかなってみんなの意見を聞いて。全部バラバラだと本当に決まらないので、そこで何カ所かはフィックスして、あとはシャッフルして聴くんです。それでいい感じだったのがこの曲順だったんですけど…他でも良かったんだよね。」
──いえいえ、すごくいい流れですけど。
甲本
「曲順に関してはベストというのは分からないですね。たまたまこういうかたちで定着したけど。あと、アナログ盤になった時のA面、B面ということも考えたし。」
──A面最後が「嗚呼! もう夏は!」で、B面が「盆踊り」で始まるのでイメージが途切れずにつながりますね。
甲本
「あ、良かった良かった。後付けだけど良かった(笑)。」
──「盆踊り」はそのまま盆踊りですね、ひねらずに。
真島
「そうですね、ええ。」
甲本
「最近、盆踊りもイヤホン付けて黙って踊るものがあるそうですね。音を飛ばしてみんながそれを受信して。近所迷惑だからって無音で踊ってる(笑)。」
──シュールですよね。
甲本
「その地域の人が協力的じゃなかったら祭りじゃないよね。踊った人は楽しいってインタビューで言ってたけど。踊るのは楽しいんじゃないですかね。」
全部聴き終わったあと、 もう1回聴きたくなる曲順を意識した

──そして、「ワンゴー」「ジャッカル」と、ここはロックンロールタイプの曲が並んでいて。
甲本
「うん。後半に向けてガーッと上がっていく感じが欲しかったので。」
──「ワンゴー」はイントロがチャック・ベリー・スタイルのフレーズで始まりますね。
甲本
「特に追悼とか、そういう意味はないですよ。」
真島
「弾いてて楽しかったんですよ。」
──最後の「散歩」はやさしい感じで終わるという。
甲本
「あそこにエンドロールのクレジットが出てくる感じですね。でも、いつも曲順を考える時は、全部聴き終わったあと、もう1回1曲目から聴きたくなるような曲順をちょっと意識していて。だから、1回聴き終わったあと、もう1回聴いてみるんです。それで楽しかったら決まりなんです。」
──ということは、この流れが一番いいのでしょうね。
甲本
「これはこれでいいと思います。分数も1時間超えると疲れるから(笑)。」
──「どん底」が先にシングルでリリースされましたけれど、これは周りのスタッフの意見で決まったのですか?
甲本
「最近はメンバー発動でこの曲がいいんじゃないかっていう話になります。」
──シングルになった理由は?
真島
「まぁ、何となくですね。」
──アルバムを象徴しているとかではなく?
真島
「いや、それはなくて。」
甲本
「アルバムを象徴する曲はない、1曲も(笑)。みんなが聴いて、自分はこれが好きっていう曲があればそれでいいと思うし、全部好きになってもらえたら一番嬉しい。」
──“ラッキー&ヘブン”というタイトルは曲が全部出来上がってから決めたのですか?
甲本
「そうですね。」
──“なんとか&なんとか”にしよう、じゃなくて?
甲本
「逆に、“&”が先だったんじゃなかったっけ? みんなで単語を出し合ってワイワイ、雑に話をしてて。そうしたら“&”を入れたらできた、みたいな。」
──11枚目なので“イレブン”から“ヘブン”という語呂合わせなのかなと?
甲本
「あぁ、なるほどね。そういうこともあまり考えてなくて。なんかいいじゃないですか、“ラッキー”も“ヘブン”も。文句付けようがないじゃないですか(笑)。」
──いつもうかがっていますが、今回のレコーディング中にどんな食事や出前をとっていたのか気になります。
甲本
「今回は晩飯の時には家に帰ってた。3時頃にスタジオに来て、5時~6時には帰ろうって。」
真島
「暗くなる前に帰ってた。」
甲本
「集中力が続かないから(笑)。でも、今回、ダビングの時にお店に行ったかな。ダビングはまとめて作業するので時間がかかるんですよ。」
真島
「回転寿司に入ったかな。」
甲本
「楽しいんですよ、回転寿司。お店のペースじゃなくて自分たちのペースで食べられるから。」
真島
「座った瞬間に食べられるからね(笑)。」
──以前にガリをよく食べるという話をされていましたけど。
甲本
「ガリは“次に何食おうかな?”と悩んでいる時にむしゃむしゃ食べてますね。」
真島
「最初、容器にパンパンに詰まっているのに、それがいつの間にか空になって(笑)。お代わりを頼んだり(笑)。」
甲本
「店員さんが見ていないうちに隣のテーブルと取り換えたり(笑)。」
──絶対頼むネタというと?
甲本
「イカは絶対食べますね。コウイカ。何か好きなんです。」
真島
「僕はマグロですね。赤身です。トロよりも好きです。脂っぽいのは最近、食べられなくなってきてて(笑)。」
──ツアーで地方に行くと、そこで美味しい寿司が食べられるんじゃないですか?
真島
「去年、北海道で食べた寿司は旨かった。雪で飛行機が飛ばなくて、途中の空港で降りて車で移動したんです。その途中の回転寿司屋さんに入ったら、そこがめちゃくちゃ美味しかった。何という店か忘れたけど。」
甲本
「フラッと入ったお店だったけど旨かった。函館だったと思う。」
──ツアーと言えば、アルバムリリース後の10月26日からツアーがスタートしますが。今回もライヴが楽しみな曲が多いですね。
甲本
「練習しないとね。」
──コーラスが多いからお客さんも一緒に歌えそうですね。特に「ハッセンハッピャク」とか。
甲本
「それはいい。」
真島
「僕は体調に気を付けたいですね。インフルエンザにかかったことがあって、ライヴを3本ぐらい飛ばしたことがあるので。もっと気を付けなきゃって思いました。」
──一本一本、お客さんに全部楽しんでほしいですよね。
甲本
「来てくれるだけでいいや(笑)。それだけで十分、あなたのノルマは果たしていますから。何も頑張らないで楽しんでほしいですね。」
取材:岡本 明
アルバム『ラッキー&ヘブン』
2017年10月11日発売

1 2次のページ
エンタメ
OKMusicの記事一覧をみる
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。