22歳で借金1億円。その現実と向き合った青年社長のリアル

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 部署の解散、役員のゆがみ、増え続ける借金、売上利益の低迷。さらには、社員や買収合併の相手企業の経営者による経営批判。「あの会社は倒産するらしい」「表は綺麗だけど、組織はガタガタだ」と広まる噂。株主が「手を引く」と言い、手元に残ったのは借金1億円。

 「なぜ自分だけがこんな目にあうのか…」
 人間の汚い部分を知り、何を守るべきか、何が本当なのか。
 22歳の青年社長は、八方塞がりの状況に陥り途方にくれていたのです。

 現在、社員100名を越え、SEO事業で業界トップクラスに至った株式会社ウィルゲート。代表の小島さんがウィルゲートを創業したのは2004年、彼がまだ高校3年生の頃です。

 ネットショップからスタートし、すぐに共同創業者となる親友の吉岡さん(現在の専務)が加わります。寝る間も惜しんで仕事に励んだおかげで、事業は順調に成長し、2006年には株式会社化。「ウィルゲート」という名前は業界内ですぐに注目を浴びます。

 ITの聖地、渋谷に本社を構え、1億円の資金を調達。事業拡大に合わせ、即戦力を得るために積極的に中途採用を行います。もちろん失敗はあるものの、端から見れば順調といえるものでした。まだ20代になったばかりの経営者がトップに立つ、新進気鋭のITベンチャー企業として…。

 しかし、企業が大きくなると同時に綻びが生じ始めます。

 前職では当たり前だった会社の知名度や規模という後ろ盾を失った中途社員たちは、想定していたよりも苦戦を強いられます。そしてその苛立ちは経営者への不満として表れ、社内の活気は次第になくなっていきます。

 これが、小島さんがどん底に突き落とされた「ウィルゲート・ショック」という組織崩壊の前兆でした。

 その後、あるWEBメディアを運営するベンチャー企業から黒字事業を売りたいという話が持ちかけられます。会社の業績を上げるために、その企業を吸収合併するという形で話がまとまったのですが、この合併話は大きな禍根を残すことになります。

 合併先の経営者Aは、ウィルゲートの社員たちとコミュニケーションを取り、小島さんら経営陣への不満を煽りはじめたのです。もともと不満が溜まっていた状態ではあったものの、それをきっかけにいよいよ組織崩壊の音が聞こえてきました。

 2008年8月下旬、1年前は急成長して優秀な人材が集まり、希望に満ちていた組織はボロボロになり、ただただ悪い空気が漂っていました。半年間にもともとの約3分の1となる11人が辞めるという異常事態。

 そこに合併予定だった企業が、運営していたWEBメディアの事業権利を持っていないことが判明し契約直前に合併中断。相手先社長は音信不通になり、ウィルゲートの悪評を周囲の知り合いに話しまわったのです。業界内でウィルゲートは最悪、潰れるといった噂が出回り、社員及び株主に愛想をつかされ、事業は泥沼化。心の拠りになるはずの家族も危機に立たされていました――。

 そんなどん底の状況から3年半。同社は倒産寸前の危機から立ち直っていきます。

 逆境から業界トップクラスに至るまでの道のりが生々しく描かれている『ウィルゲート 逆境から生まれたチーム』(ダイヤモンド社/刊)は、ウィルゲートの小島さんがこれまでの8年間の回想をつづった一冊。10代の頃からものすごいスピードで様々なことを体験し、成長していく小島さんの様子が描かれています。特に組織が崩壊していく様子はとてもリアルで、ベンチャー企業経営者や幹部は、他人事とは思えないのではないでしょうか。

 そして、経営者失格の烙印を押された小島さんは、その後、どのようにしてこの危機を乗り越えていったのか――。単なるビジネス書という枠を超えた、「本当の現場」が詰まっています。

(新刊JP編集部)



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