子どもに「どうせ俺は…」と言われたときの返し方
子どもから何かを言われたり、問われたりしたとき、どう返していいのか分からなくて言葉に詰まってしまう。そんな場面に遭遇することはないだろうか。
2005年に出版された『こんな時どう言い返す ユーモアあふれる担任の言葉』(学事出版/刊)は長年、中学校で教鞭をとった著者の池田修さんが、学校で実際に起きた生徒指導の場面で生徒にどのように言い返してきたか、その答え方について会話形式で教える一冊だ。
また、昔話やことわざをキーワードにしながら、生活指導を行った記録も紹介する。学校の先生向けに書かれた本だが、池田さんの生徒指導の哲学も垣間見ることができる。
「どうせ俺はバカだから・・・」
子どもたちにこんな風に言われたことはないだろうか。自虐的になったり、弱者の立場に自らを置けば、教員が構ってくれる――そんな節があると池田さんは語る。そして、教室ではこんな会話が繰り広げられる。
生徒「どーせ、俺は馬鹿だから漢字なんて覚えられないよ」
生徒「あたしも30回書いてやっとだもん」
では、こんな風に言われたら、なんと返すか?
ここで子どもたちは「そんなことはないさ。頑張ればできる」という言葉を待っている。しかし、池田さんは
池田「そうだな。お前は馬鹿かもしらんな」
と言ってしまうそうだ。
生徒「えー、先生ひどい」
池田「ひどかろうが何だろうか、事実はそうだろう。だけどな、馬鹿であってもお前にとっては今が一番いいんだぞ」
生徒「何が?」
池田「暗記力だ。今、30回書いてやっと覚えられるというが、あと20年経てば、30回では覚えられないよ。50回かもな。人間の持っている能力のうち、今が一番のものもあるんだぞ。今より後の方がきつくなるんだぞ」
こんな風にして、池田さんは生徒に指導したのだという。
他にも「遅刻を取り消して!」「価値観を押しつけないでください」などといった生徒の発言に対して、会話形式で言い返し方を紹介する。
こうしたことは、先生だけでなく、大人全員も心得ておくべきだろう。本書はそんな大人たちの、子どもとのコミュニケーションの手助けとなる一冊だ。
(新刊JP編集部)
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