「映画づくりは他者を見つめること」:8月26日公開『わさび』『春なれや』外山文治監督ロングインタビュー

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―― 見る人によってハッピーエンドにもバッドエンドにもなる作品ですね。

本編のラストは、三途の川を意識したんです。三途の川で逢って、さあどうするか?この世に戻ったところで、幸せになれるのか?わかりやすい希望じゃないですけど、どこか希望を感じて欲しいという想いはあります。海外で見せるとこの作品はラブストーリーになるんですけど、日本だと社会派になるんですよね。見る人や世代によって感じ方も、意見も分かれるかなぁと思いますね。

―― 生活感のディテールがもの凄く細かいですよね。

やっぱり、嘘が嫌なんです。嘘の希望を作る必要性を感じないんですよね。群馬にある民家をお借りして撮ったんですけども。お芝居の練習よりも、ずっと介護の練習をしてました。声にならない生活をしている人たちをちゃんと描いて、そこに信憑性がちゃんとあって……そうでないと、自分が白けてしまうというか。これだけ沢山の作品が世の中に出回っている中で、今更、嘘の希望なんていらんだろうと。現場での突き詰めとか、生活感の出し方とか、湯呑もお相撲さんの名前が書いてある湯呑だとか、100円ショップで買ってくるわけにはいかないんですよ。そういう正しい創作活動をしたいって思いはありますね。作品のキーアイテムとなる花1つでも、真冬の花を花屋さんにずっと冷凍しておいてもらうとか、早く開花させてもらうとか、実際に山にある花を用意しています。

―― 徹底して作りこまれているから物語の作為を感じさせない?

脚本コンクール出身なので、脚本の構造とか、審査員が喜びそうな図式とか、こうやったらお客さんが喜ぶよなっていう仕掛けと回収みたいなことを一生懸命勉強していたこともあるんですけど、最後の最後は力技というか。ストレートに投げないと届かないということが分かってきたんですよね。”理屈を超えたなにか”みたいなものを用いることは多いと思います。あと、偶然をあまり使わないようにはしているんですが、人生を選択する一瞬の時に、ほのかな偶然というか、必然的に重なりあってしまう時間を作ることはありますね。

―― 台詞のない老老介護の話を30分、と聞くと身構えてしまいそうですが、意外と楽に見られました。

僕の作品を見るのは緊張する、とよく言われるんですよ(笑) 重たい社会派なものを見せられるんじゃないかって。 でも老老介護をしている人たちも、ずーっと不幸ぶってるわけじゃないし、ずっと神妙な想いだけじゃない。お爺ちゃんがサンタ帽かぶってたり、お客さんが「ふふっ」と笑ってくれるユーモアな部分もあるので、楽しんで見て頂いて、持って帰るものの多い作品になれば良いなと思います。

映画監督外山文治 短編集 8月26日からユーロスペースにて

「映画は自己表現ではなく、他者を見つめること」と語る外山文治監督の3つの短編映画『わさび』『春なれや』『此の岸のこと』は、8月26日から渋谷・ユーロスペースにて2週間限定上映されます。8月21日から9月3日まで、渋谷TSUTAYA 6階で映画公開記念の写真パネル展示も開催。外山監督ならではの目線をどうぞご堪能下さい。

『映画監督外山文治短編集』公式HP http://haru-wasabi.com/ [リンク]

取材/ 梅田寿美子(ドラマ『牙狼〈GARO〉』『絶狼〈ZERO〉』シリーズ脚本家)
写真/ 菅原康太 構成/ 荏谷美幸 写真提供/ 外山文治

―― 見たことのないものを見に行こう 『ガジェット通信』

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