ネクタイは「この6本」を持っておけばいい――ビジネスファッションの常識・非常識
「見た目より中身が重要だ」と語る人は少なくありません。しかし、問題は、決めるのはあくまで相手だ、ということです。どんなにスキルを身につけていたとしても、印象というのは一瞬で判断されてしまうことも少なくありません。ところが、そんなに大事な「見た目」がもし、残念なことになっていたとしたら……。実は恥ずかしいことになっていた、としたら……。
これが決して少なくない、と語るのは、著書『ビジネスという勝負の場は一瞬、しかも服で決まる』が大きな話題になっている木暮桂子さん。実は誰も教えてくれなかった「あれ?」と思われないためのビジネスファッション講座、第3回のテーマは、これだけで大きく印象が変わる「ネクタイ」です。
株式会社ディグニータ 代表取締役 木暮桂子さん
シンガポール航空にて、フライトアテンダントとしてシンガポールに駐在。その後帰国し、株式会社グロービスの創業期から現在のグロービス経営大学の立ち上げに関わる。その後、独立。経営者、政治家等をクライアントにした外見力強化のコンサルティング、スピーチトレーニング、企業向け研修などを手がける。これまで1000名以上の見た目を変え、外見力強化を実施、依頼が後を絶たない。近著に『ビジネスという勝負の場は一瞬、しかも服で決まる』(ダイヤモンド社)。
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どんな印象を持たれたいのか、自分で定めていく
夏真っ盛り。クールビズ全盛ですが、職種や会社によっては今もネクタイは必須、というケースもあるでしょう。そして秋がやってくれば、再びビジネスパーソンがネクタイをつけ始めます。このネクタイが、実は大きく印象を作っている、と木暮さんは語ります。
「スーツで重要なのは、ネクタイなんです。顔まわりに来るので、いちばん印象を決めるといっても過言ではありません。同じスーツでも、ネクタイさえ変われば、好きなように印象を変えることができます」
その日誰に会うか、どんなスケジュールが入っているか、1日を思い描いて「今日はこのネクタイだ」と決めたい、と木暮さん。その日の予定とネクタイをリンクさせるのです。
「ビジネスファッションで重要なことは、『見た目』にも働いてもらう、という意識を持つこと。それを戦略的に行うことです」
お洒落が得意だと思っている人はほんの一握りしかいませんし、それを目指す必要はない、といいます。それよりも、印象を自分で作っていくという意識を持つこと。
「印象を操作することはとても大切です。そうしなければ、持ってほしくない印象を持たれたりしかねない。だからこそ、大切になってくるのは、どんな印象を持たれたいのか、自分で定めていくことです」
ビジネスパーソンとして持っておきたい「見せたい印象」はざっくり6つ、と木暮さん。これをビジネスのあらゆるシーンに合わせてチョイスしていくのです。
ひとまず持っておきたいネクタイは6本
そうした「見せたい印象」を演出するのに最適なのが、ネクタイです。そしてそれぞれの印象について、こういうネクタイを持っておけばいい、と木暮さんが選んだのが、まずは持っていきたい代表的なネクタイ6本です。
「この6本を持っておけば、それぞれ違った雰囲気を出すことができます。似たようなネクタイしか持っていない、ということも避けられますし、その日の自分をチョイスしやすくなります」
●スポーティのイメージで象徴的なのは、赤とストライプ。
「赤色は強い、という印象を与える色です。ストライプは勢いがある印象になります」
●大事な取引先との会食に同席することになった。そんなときは、ジェントル。
「赤や青などのはっきりとした色ではなく、茶色や紺、水色などの優しい色合いを選びます。模様のコントラストも抑えめにするのがポイントです」
●フェミニンは、やさしさ、穏やかさがあって、人の気持ちがわかる人のイメージ。
「社内で円滑なコミュニケーションを図りたいときや、チーム内で距離を縮めたいときにいいですね」
●リーダーの風格を漂わせるのは、赤や青などの原色パッキリのネクタイです。
「コントラストがはっきりしたものもお勧めです。堂々と見せたいとき、頼もしさを出したいときなどにいいですね」
●信頼感、マジメさや誠実さを出したいときは、小さな柄を。
「まずは小さな柄の小紋がいいですね。柄が小さなものは、落ち着きを表します」
●そしてクリエイティブや個性を表すネクタイ。
「面白いアイディアや提案を出してくれそうだ、という空気を醸し出したい場合は、選んでみるといいと思います」
木暮さんの著書『ビジネスという勝負の場は一瞬、しかも服で決まる』では、この6つのバリエーションのほか、営業、プレゼン、意志、人望、謝罪、採用面接などシチュエーション別のネクタイがずらりと紹介されています。
締め方で潔感や信頼感は格段に上がっていく
ネクタイはもうひとつ、色や柄だけではなく、顔のすぐ近くにあるだけに、締め方ひとつで大きく印象を変えてしまう、と木暮さんは語ります。
「隙間なくしっかり締めるだけで、印象は格段に違ってきます。ワイシャツは第1ボタンまでしっかりとめ、ネクタイもきちんと締める。これだけで、清潔感や信頼感は格段に上がっていくんです」
木暮さんが指摘するのは、特に若い人の間で、ネクタイをゆるめて締めているケースをよく見かけるから、だそうです。ワイシャツのいちばん上のボタンを外したり、首回りをゆるめてネクタイをしている姿は、みじめったらしく見えて残念、と木暮さん。
「慣れないと苦しかったり違和感を感じたりするかもしれませんが、まずは大事な打ち合わせなどの仕事の間だけでも、ビシッと締める基本を強く覚えておいてください」
それこそ、シャツの首元をゆるめたりしてあけている人が多いだけに、ビシッと締めるだけで「ちょっと違う」と差がついてみえるとか。
「結び目の隙間は心の隙間だと思ってください」
そして大事なのが、ネクタイの長さです。正解は、ベルトの下あたり、と木暮さん。ベルトのバックルがちょうど隠れるくらいの長さになるよう、ネクタイを締めるときに気をつけて習慣にしてほしい、といいます。
「ネクタイはとても目立つので、長すぎたり短すぎたりすると違和感が大きくなってしまいます。服装はすぐ性格に結びつけられてしまうので、長いと仕事がノロい印象、短いとせっかちでおっちょこちょいの印象を持たれてしまう傾向にあります」
ネクタイを正しい長さにしているだけで、きちんとした人に見えるということ。
「そうでない人が多いだけでに、差がつきますよ」
次回、第4回は、誰も教えてくれなかった靴と鞄の常識です。
【参考図書】
『ビジネスという勝負の場は一瞬、しかも服で決まる』
著者:木暮桂子
出版社:ダイヤモンド社
WRITING:上阪徹
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