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「au Design project」はレゴから始まった!? プロダクトデザイナー深澤直人に迫る

au Design project(以下aDp)が、2017年に15周年を迎えた。美しい造形の携帯電話を数多く世に送り出し、“デザインケータイ”という言葉を日本に広める大きな役割を担った。そのシリーズのなかでも実に9台ものモデルを手がけたのが、プロダクトデザイナーの深澤直人氏だ。今回は、深澤氏が手がけてきた名端末のデザインワークの数々を見ていこう。

au Design project 15周年特設WEBサイトはこちら

コンセプトモデルから量産機へ。携帯電話の新たなアプローチ


無印良品「壁掛け式CDプレーヤー」 デザイン:深澤直人(写真提供/(公財)日本デザイン振興会)

aDpが動き出した2001年、深澤氏は無印良品の「壁掛けCDプレイヤー」(2000年)でプロダクトデザイナー(使い勝手やビジュアルなど、数々のアプローチで製品デザインをつくり上げる仕事)としてその名が知られ始めた頃だ。

「人が『思わずしていること』を基点にデザインする手法に共感を覚えました。デザインのみならず、その文章や考え方もすごく魅力的で。深澤さんがMoMAのWorkspheres展(2001年2月-4月)の準備をされていたころ、メールでオファーをしたんです。最初の打ち合わせのときは感激でドキドキしました(笑)」

企画立ち上げ当初からaDpに携わるKDDI商品企画本部の砂原哲。深澤氏のaDp初仕事となるのが、名機「INFOBAR」のコンセプトモデル製作だ。携帯電話にファッションアイテムとしての価値を持たせたいという“野望”を抱いた最初のケータイは、バータイプだった。メールを打ちやすいタイル状のキーを備え、折りたたみ型のケータイが主流だった当時の日本市場においては、大きなインパクトを与えた。

砂原「深澤さんは当時、デザインコンサルタント会社・IDEO Japanの代表として活躍されていました。そのスタジオで、レゴ®でできたプロトタイプを見せてくれたんです。そのときの感動は今も鮮明に覚えています。『思い描いていたのはまさにこの感じ!』と」


レゴで作られた最初のプロトタイプ

aDpは、展示会やデザインイベントなどでコンセプトモデルを発表し、世間の評価をはかったうえで発売するかを決定。そこから製作を担当するメーカーを探すという、当時の携帯電話市場としては非常に斬新なアプローチをとった。

砂原「コンセプトモデルの段階では“トガって”いますが、販売が決まった時点で量産のための仕様を詰めていかなければなりません。当初のコンセプトでは、細長いスレートの上にタイル状のキーが乗っているだけのシンプルな構造。ただしそのままだとキーが剥がれやすくなる。また十字キーはタッチパネルで、裏面が全面液晶タッチパネルのスマートフォンのような未来仕様。そのままでは、当時の技術力ではつくれなかったんです」

デザインも機能もあきらめない。遊び心をそこかしこに

砂原「開発メーカーの工場で行うキックオフに、深澤さんが諸事情で飛行機に乗り遅れて間に合わず。夕方になんとかたどり着いた深澤さんをみんな拍手で迎えました(笑)。新しいことだらけで大変でしたが、なにか、世の中を変えられる予感を共有しながらプロジェクトは進んでいたように思います。コンセプトモデルという理想形をいかに現実化するという、今までにない開発のプロセスは、メーカーさんとしてもエンジニア魂が刺激されるプロジェクトだったと思います。これを実現するためにどうすればいいのか、共通の目標に向かってそれぞれが知恵を絞りました」

それは「デザインは機能に従う」ではなく、「デザインありきで、機能も諦めない」という製造サイドとデザインとの共通のスタンスでもあった。


デザインと使いやすさを両立させた「INFOBAR」のタイルキー

砂原「難しかったのが、強度とタイルキー。マグネシウムフレームを採用したんですが、強度を保つためにキーとキーの間に橋を架けるようにフレームをブリッジしなければいけない。そうすると、美しくないんです。このために新たな技術開発をしてもらってどうにか乗り越えられましたが、深澤さんにも、何度もデザインを修正していただきました」

カラーバリエーションにもとことんこだわった。


写真左から「NISHIKIGOI」、「ICHIMATSU」、「BUILDING」

砂原「候補のなかから絞り込んでいって、錦鯉と開発中に呼んでいたあだ名そのままの『NISHIKIGOI』、市松模様の『ICHIMATSU』、そしてグレー単色のものは、佐藤可士和さんが『BUILDING』と名付けてくれました。カラー名称でいうと、『○○ホワイト』『○○レッド』といった感じが普通ですが、INFOBARは商品名だけでなく、カラー名称も従来にないユニークでユーモアを感じるものにしようと決めたんです」

加えて、UIも深澤さんのこだわりが詰まっている。カビが生えるようなスクリーンセーバーに、チカチカと蛍光灯が光る起動画面。「シュールですよね」と砂原は笑うが、これらは遊び心。苦労とともに、楽しみながら開発に臨んだことがうかがえる。

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