家具、洋服、絵画、観葉植物……。暮らしを豊かにする、今注目のレンタルサービス4選
近ごろ、従来にはなかった新しいタイプのレンタルサービスが、人気を集めている。それが、「暮らしをもっと豊かにするため」に選ばれているレンタルだ。取り扱うのは、インテリアやファッション、アート・観葉植物。レンタルサービスといえば、単身赴任などで一時的に必要とする場合に家具等のレンタルを選択するケースが多かった。また、「ミニマリスト」や「断捨離」の流行から「持たない」選択肢のひとつとしてレンタルを使うケースもあったが、イマドキのレンタルサービスの利用状況はちょっと違う。どのような人がどんな風に活用しているのか。利用者の声を交え、今注目のレンタルサービスを紹介する。
上質な家具も、レンタルならじっくり試せる!
購入時の費用が高いイメージがある家具。国内外有数ブランド7万点の家具がレンタルできる『スタイリクス』は、初期費用を抑えながらレンタルでき、気に入れば買い取りすることも可能で、3年2カ月もの間、レンタルし続けても購入した場合の費用を上回らない料金プランが特徴だ。
レンタルで始めて少しずつ料金を支払い、買うかどうかは後で決められる。月々のレンタル料は、購入した場合の費用(定価)の約3%。初期費用は、購入した場合の費用の30%に当たる申込金と、配送料・開梱設置組立料がかかる。(※申込金は解約時にキャッシュバックされ、金利や手数料は無料)。イメージとしては、購入費用を少しずつ支払っていく感じだが、長くレンタルすれば、購入した場合の費用を上回る段階がくる。そのタイミングが3年2カ月後。それまで、じっくりと使い心地を試し、自分のライフスタイルの変化を見極め、返却か買い取りかを決めればいい。
初期費用が購入費用の約3分の1に抑えられることもあり、家具の買い替えが発生しやすい引越しを機に利用する人が多いという。一人暮らしで新生活をスタートさせたM.Yさん(25歳)もそのひとりだ。初めて実家を出ることになり、家電類をそろえたら、家具を買う費用が足りなかった。でも、「適当な家具で済ますのはいやでした」と話す。「毎日使うものだからこそ、気に入った家具をそろえたい」というM.Yさんにとって、初期費用を抑えることができるスタイリクスのレンタルサービスは理想的だった。M.Yさんは、サービスに含まれているコーディネーターによるインテリア相談も活用した。【画像1】M.Yさん宅のコーディネート。「ブルーをメインカラーに」「生活感を出したくない」などのリクエストに対し、コーディネーターがシンプルモダンなインテリアを提案(画像提供/スタイリクス)
M.Yさんのプランでは、二人掛けソファ、サイドテーブル、ダイニングテーブル、カーテンなどで、実際購入した場合は35万円相当の家具になる。申込金は10万5000円(税別)で、レンタル料は、初回月が1万3100円(税別)、2~24カ月目までは、1万1300円/月(税別)。
「実際、お店でこの金額(35万円)で売っていたら、手が出せなかったと思います」と話すM.Yさん。レンタル開始から1年がたつが、お気に入りの家具がある暮らしに満足している。当面買い取りはせず、レンタルを継続する予定だ。
「まだ20代なので、仕事やプライベートが今後どうなるか分かりません。時間をかけて必要な家具を見極めたいです」と話してくれた。【画像2】「絶対ダイニングセットを置きたかった」というM.Yさんに提案されたのは、ホテルなどでも使われているダイニングテーブルとブルーのチェア。ソファやテーブルの配置などもコーディネーターが決めてくれる(画像提供/スタイリクス)
代表取締役の小幡さんによると、利用者は、ライフスタイルが変動しやすい30~40代が多いという。サイズ感や組み合わせ方が分からないという声に応えて、各プランには「コーディネーターによるインテリア相談」も含まれている。また、パソコンを使った3Dシミュレーションに加え、今年からVR(仮想現実)も導入。レンタル品が届くまで実物を見ることのない利用者に対し、自分の部屋に置いたときのイメージをもってもらうためだ。
「家具が高いというイメージは一度に支払うことからくる思い込みなんです」と小幡さん。確かに、12万円のテーブルを10年使ったら1日当たり33円程度の費用なのだが、今12万円払ってくださいとなるとあきらめてしまう。だったら、使った分を支払えばいい……この発想がサービスのはじまりだったそうだ。
2003年から開始した業界初の“支払いが無駄にならないレンタル”は、「本当は、長く使える良い家具が欲しい」という利用者を掘り起こすサービスだったのだろう。現在、新しい家具との出合い方のひとつとして支持されている。欲しかったインテリアがあるなら、レンタルから始めてみるのもよさそうだ。
スタイリストがコーディネートした“自分に似合う洋服”が届く!
『エアークローゼット』が、2015年2月に日本で初めて女性の普段着に特化したオンラインでのファッションレンタルサービスを開始してから、約2年半がたつ。今や会員数は12万人を突破。利用者は、仕事や子育てに忙しい30~40代の女性が中心だ。サービスの特徴は、プロのスタイリストが一人ひとりにぴったりの洋服を“パーソナルスタイリング”してくれるところ。一度に3着ずつ専用のBOXで自宅に配送され、クリーニング・送料は不要。プランは、月に1回お届けのライトプラン6800円/月(税別)と回数無制限のレギュラープラン9800円/月(税別)。気に入った衣類は、そのまま購入することも可能だ。【画像3】3点の内訳は、トップス、ボトムス、カーディガンなどの羽織ものなど。基本的に3点組み合わせれば、おでかけができるように上下コーディネートされている(画像提供/エアークローゼット)
エアークローゼットがサービスを手掛け始めた当時、衣類のレンタルといえば冠婚葬祭でのドレスなどで、一般的には「貸衣装」というとらえ方だったという。そんなイメージを一新できたのは、30~40代の利用者のなかで9割を占めるキャリア女性たちの声に応えたことも理由のひとつだろう。利用者は自分の好みや身体のサイズを登録でき、それをもとにスタイリストが洋服を3点コーディネート。スタイリングアドバイスが記載され、利用者は着用後、レンタルした衣類の感想をスタイリストに送ることができる。利用者とのコミュニケーションを通じて、今利用者が求めているファッションがエアークローゼットにフィードバックされる仕組みだ。
2015年9月からサービスを利用している張一華さん(29歳)に感想を聞いてみた。平日は仕事で、休日は趣味の時間と忙しい張さんにとって、以前はファッションに興味はあるけれど、買いに行く時間を捻出するのが大変だった。現在のプランはレギュラープラン。「クリーニング要らずで送り返せば、約4日後には次の服が届くので、手軽に旬のファッションを試せるのがなにより魅力」と話す。印象に残っている体験は、パーソナルスタイリングならではのエピソードだった。
「花柄のいっぱい入ったワンピースが届いたことがあったんです。自分で買う服はモノトーンが多いので似合うのか最初は不安でした。でも、着て出掛けたら、友人にすごく似合う! とほめられて。こういうファッションも似合うんだなと。そういう感動はしょっちゅうあります」
利用していて困ったことはなかったのだろうか。「最初の数回、着てみるとぶかぶかだったりぴちぴちだったり、サイズ感が合わないことがありました。フリルがたくさんついた服が来て違うなあと思ったこともあります。でも、フィードバックの欄に感想を書きながらスタイリストとコミュニケーションをとるうちに、ハズレはなくなりました」と話す。今では、営業のときはジャケットを、出かけるときはワンピースを、と具体的なリクエストをするなどして活用している。張さんを通じて友人や職場の人も利用し始め、お互いのコーディネートについてなどファッションの会話が増えたという。【画像4】コーディネートの一例。ブランドの傾向はオフィスカジュアルのコンサバファッション。最初はスタイリストのコーディネートをそのまま着てみて、2回目からは手持ちの服との組み合わせで楽しむ人も多いという(画像提供/エアークローゼット)
300以上のブランドのさまざまなファッションをそろえているが、とくに人気があり、充実しているのが、コンサバ系のファッション。レンタルで試し、「夫や職場の人の反応を見て購入を決める」という利用も多い。また、レンタルして気に入ったブランドの店舗へ足を運ぶ人もいる。自宅にいながらストレスなく新しいファッションを楽しめるオンラインのファッションレンタルが、新しい洋服との出合いの場所になっている。
もっと手軽にアートを! レンタルで日常にアートを取り入れる!
アートをレンタルできるユニークなサービスがある。『ART STAND(アートスタンド)』が展開する、絵画のレンタルサービスだ。元々美術品の保管などを行っていた寺田倉庫がアート文化を醸成し、市場を開拓しようと2014年にART STANDを立ち上げ、絵画のレンタルサービスを開始。
広報の柴田さんは、「アートに興味はあるけど、ギャラリーは敷居が高いという方がまだ多いと思います。アートの入り口のハードルを下げようというのが当初からのコンセプトでした」と話す。扱うのは、主に現役のアーティストによる現代アートの絵画で、抽象画から写実画までさまざまなタイプの作品が並ぶWEBサイトは、さながらWEB上のギャラリーのよう。アーティストが預けた作品が公開されていて、お気に入りに出合ったらすぐに借りて飾ることができる。レンタル料金は作品により異なるが、参考価格は約3000円/月(税別)~。作品によっては買い取りも可能だ。アーティストにとっては新作や展覧会後の作品を出品でき、利用者にとっては自分好みのアーティストや作品を見つけられる場になっている。【画像5】モノトーンのダイニングをクールに演出してくれる作品。部屋の雰囲気に合うように家具の色と絵画の色を合わせるのがポイント。「作品名:『003』/アーティスト:ikeda saki」(画像提供/ART STAND)
利用者層は、20~30代の若い世代が中心だ。アートのレンタルを体感した利用者から、「模様替えをするのは大変だけど、絵一枚で雰囲気が変わる」「一度飾ると絵がない壁がさみしくてほかの絵をレンタルしたくなる」などの感想が寄せられているという。人気が高いのは、抽象画。リビングや寝室にはリラックスできる絵を、玄関にはお客様をおもてなしする絵などが好まれるそうだ。2017年7月にはWEBのリニューアルを予定しており、「人物」「動物」など描かれているモチーフごとにも作品が探せるようになって、検索性が高まるという。「買う」「見る」という従来の楽しみ方から「気軽に借りて飾る」アートシェアリングという新しい世界をぜひ体験してみてはいかがだろうか。【画像6】書斎や仕事用スペースには、リラックス効果のあるグレイッシュな緑、青、黄色などで描かれた絵画がおすすめ。「作品名:『untitled』/アーティスト:新井 碧」(画像提供/ART STAND)
リーズナブルにいろんな種類の観葉植物をレンタルできる!
従来は法人向けしかなかった観葉植物レンタルサービスに、個人宅向けの観葉植物レンタルが登場してきた。なかでも、2016年からサービスを開始した『GOOD GREEN』は、見積もり時に追加料金になりがちなオプションがなく、分かりやすい料金設定のプランが人気だ。利用価格帯は、平均3~4鉢レンタルで、月額7000~1万円。一般的に同様の内容では1万~1万5000円位の費用がかかる場合が多いのに対し、リーズナブルにレンタルを始めることができる。
スタッフが定期的に水やりや交換をしに来てくれるプランもあるが、一番人気のプランは、水やりを自分で行う「マイグリーンプラン」だ。費用は、ラージサイズ1980円/月(税別)、ベーシックサイズ900円/月(税別)。3カ月に1回交換できるので、いろいろな観葉植物を楽しむことができる。枯れた場合は無料でいつでも交換してくれ、病害虫対策もある。観葉植物を育てるのが初めてという人でも、水やりのタイミングを知らせてくれる植物水分計が無料で付くので安心だ。
「むしろ水やりをご自分でしていただくプランが好評です。生き物を育てているという実感が癒やしにつながるのでは」と代表取締役の西澤さん。【画像7】コーディネート例として、写真はリサとシタシオンのラージサイズ1980円/月(税別)×2鉢。日当たりなどを考慮して樹種や置き場所のアドバイスもしてもらえる(写真撮影/刑部友康)
都会でも街路樹や公園など身近に緑はある。でも部屋の中にグリーンがあるのは全く感じ方が違うという。
「店舗に買いに行ったり、運んだりする手間が省ける」「病害虫のトラブルにすぐ対応してくれるのが助かる」といった実用的な感想だけでなく、「子どもたちと植物が育っていくのを楽しみにしている」「植物の手入れをすることで生活にリズムができた」など、観葉植物によるヒーリング効果を実感する感想が寄せられているそうだ。
代表取締役自ら各地の農園を訪ねて培った生産者とのパイプが強みで、トレンドに合った高品質の観葉植物がそろっている。観葉植物をレンタルすることで、枯れたり、部屋に合わなかったりなどの失敗を気にせず、気軽にグリーンライフを始めることができる。【画像8】ダイニングテーブルにコーディネートされた優しい雰囲気が人気のタマシダは、ベーシックサイズ900円/月(税別)。鉢カバーもたくさんの素材やデザインから選べる(写真撮影/刑部友康)
取材を通じて、従来の「コストを抑える」ためだけのレンタルではなく、より豊かな暮らしを手に入れるため、生活に新しいアイテムをプラスするレンタルサービスが人気を集めていることが分かった。豊かな暮らしとは、自分らしいライフスタイルのこと。生活の質を上げる方法として、インテリア・ファッション・アート・観葉植物などのレンタルサービスは、ますます充実していくだろう。レンタルで手軽に始められる理想の暮らし。手が届かないとあきらめる前に、一度試す価値ありだ。●取材協力
・airCloset(エアークローゼット)
・ART STAND(アートスタンド)
・グッドグリーン
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