建築家が語る“風水や家相を無視できない理由”

 これから住まいづくりを考えている人の中には、どんな家を造ろうか悩んでしまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 建築家の八納啓造さんが執筆した『住む人が幸せになる家のつくり方』(サンマーク出版/刊)は、これから住まいづくりを考えている人だけでなく、住まいに興味を持っているすべての人に向けて書かれた、「家づくりを成功に導く発想法」を教えてくれる一冊です。
 今回は著者の八納さんに本書の内容を中心に“住まいづくり”についてインタビューを行いました。昨日に引き続き今日は後編をお送りします。
 ◇   ◇   ◇
―本書で「風水や家相は無視できない」と書かれています。それはどうしてですか?
「興味が無いという人も多いのですが、そのパートナーやご両親まで含めると「風水や家相が気になる」という割合が全体の8割近くまで増えます。間取りが出来上がる頃、両親がそれをみて「鬼門に玄関があるような家なんてダメだ!それくらい常識だろう!!」と横やりを入れてきて、まるっきりやり直しになるというケースも意外と多くあります。このように考えると人ごとじゃないし、安易に無視出来ないと思いますよ。もし風水や家相を気にしないで進めるのなら、両親や親族まで先に「風水や家相は関係ないから」と手をうっておくことが大切でしょう」
―今、賃貸で住んでいる家をより良くしたいと思ったときに、どのようなことができるでしょうか。
「賃貸や社宅に住まわれている方は「この家は借り物」という感覚が強いため、家への所有感があまりありません。また壁に大好きな絵が飾れないなどの制限を感じている人も多くいます。そこでお薦めなのは「仮に一年でも住まうこの家は私たちのもの!」と考え方を変える事です。壁に穴をあけると引っ越しの時に補修代がかかる、ということで壁に絵が飾れないという人もいますが、補修代は数万円程度です。リビングの一角のこの壁だけは好きなようにしたい!と決めて大好きな絵を飾ったり、わが子が描いた絵を飾るのも1つでしょう。ぜひ家に愛着をもつことを意識してみましょう」
―実際に家づくりを進めることになったとき、相談する建築士(設計士)さんの良し悪しの見分け方はありますか?
「どれだけ自分たちの立場に立って考えてくれているか? 自分たちの味方か?がポイントでしょう。後は相性があります。多くの設計事務所で初回無料相談などを開催していますので、ご家族で会いにいき、自宅に帰ってから、家族会議を開いて「あの人好きだった、嫌いだった」をシェアしあうのもいいでしょう。あとは、その建築士が実際に設計した家を見せてもらうこと。出来れば、住んでいる人の感想も聞ける体制をとっている建築士は建主との信頼関係も結べている証拠ですので、積極的に家を見せてもらいましょう」
―八納さんが考える「家」とは何だと思いますか?
「家は住む人を幸福にも不幸にもする器だと思っています。だから、住む人が幸福になるための器になるための知恵を分かち合いたいと考えています」
―このインタビューの読者の皆様にメッセージをお願いします。
「住まいが人生に大きく影響していることを普段から実感している人はあまりいません。しかし、住まいを活用して幸せを引き寄せている人たちを身近で見てきた経験から、多くの人に「幸せに住まうための知恵」を分かち合いたいと思って本書を書きました。震災の再来や経済不況の不安が蔓延しているなか、多くの人が守りのための生活に意識が行きがちです。もちろんそれも大切ですが、出来ればその上に「幸せな夢」を盛り込みませんか?本書がそのためのきっかけになればこれ以上嬉しい事はありません。最後までお読みくださってありがとうございました」
(了)


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