“本気の人以外は読まないほうがいい”と著者が語るビジネス書とは
営業の仕事の目標は「目標予算を達成させること」。
だからこそ、目標予算を意識しながら営業に臨むことが大切なのですが、『絶対達成する部下の育て方』(ダイヤモンド社/刊)の著者で、営業コンサルタントとして現場を見つめる横山信弘さんは、多くの企業で「目標予算に焦点が当たっていない」――つまり、チーム要員が目標予算を達成するという明確な意志がないことを指摘します。
では、目標を絶対達成するために必要なこととは一体なんでしょうか? 横山さんにお話しを聞きました。後編では、予算達成のために営業が行動を変えると、どう一日が変わるのかについてお話をうかがっています。
■「本気の人以外はこの本を読まないほうがいい」
―材料を2倍にすると、営業活動を増やすために動く量も2倍以上になりますよね。そうなると、本書の帯にもあったように営業日報や会議なども確実に必要なもの以外は削っていかざるを得なくなるということですよね。
「そうなんです。結局、予材管理を導入して、やるべきことを逆算すると大量行動にならざるを得ないんです。予材を2倍にすると、行動を変える必要がでてきます。とにかく時間の許す限りお客様のところを徹底的にまわっていく。そうすると、目標に焦点が当たっていきます。それまではのらりくらりやって出来ていたのが、徹底的になる。会社でコーヒー飲んでいる時間は動く時間になりますから、自然に朝から外に出かけ、夜まで帰ってこないという形になりますよね。
だから、帯にある『営業日報は100%必要ない』とか『会議は「2週間に1回30分」だけ』という言葉は、日報や会議をなくせばいいというわけではなく、結果の話として捉えて欲しいんです。結果的に、いつの間にか日報も会議もなくなって効率化した、と。それが一番自然です」
―自発的に無駄な部分が削られていく環境ですよね。
「そうですね。朝礼もなくてもいいですよね、と部下たちが言ってくるようになるんです。最近例に出すのですが、リモワみたいなジュラルミンケースがあるとします。それを1つ持って海外旅行に行ったのですが、その途中、新たな荷物を入れようとしたらもういっぱいだった。そのときどうしますか、という話です。ここで考える力がない人は、単純にカバンを新しく増やすことを選ぶんですね」
―いわゆる、手荷物を増やすということですよね。
「ただ、それが出来ないとなったとき、どうしますか、と。衣服を工夫して畳んだり、隙間をなるべく作らない形で荷物を入れていくとかいろいろあると思いますが、本当に必要じゃないものを捨てるというのも選択肢の一つです。そして次回の旅行時には『この前あれ持っていったけれど、使わなかったから持っていく必要ないな』とか『その代わりにこれが必要だったから忘れずに持っていかないと』と改善できますよね。
営業には期限とノルマという2つの軸があって、その中にアイデアを入れていきます。ただ、期限は延ばせないし、ノルマも低くできない。もちろん、労働時間も増やせない。決まった労働時間の中で目標予算を達成するために行動するわけですから、要らないものはどんどん捨てないといけなくなるんですよ」
―目標予算の達成に直結するような行動を最優先にしないといけないから、それ以外のところを削っていくという風になりますね。
「そうなんです。この本ではすごくシンプルなことを書いたつもりです。だからこそ読むとすごく葛藤するはずですよ。もう少し上手い方法ないの、と(笑)。でも、グローバル社会に片足突っ込んでいて、震災以降、甘いこと言っていられない状況が生まれていますよね。私のセミナーで話を聞いて、葛藤やストレスを覚える人も多いと思いますが、本当に数字を達成しようと思ったらこういう発想は当然必要になりますし、それを薄々気づいているマネージャーの方々も多いです」
―では、最後に読者の皆様にメッセージをお願いします。
「やはり本気の人だけに読んで欲しいですね。みみざわりの良い話は全く書いていません。ただ、絶対にやりきる、そのための覚悟は決まっているという人は背中を押してもらえる本だと思います。営業もお客様も人間ですから、ショートカットする方法はなくて、ショートカットしたければ大量に行動することが一番大切なんですよね」
―遠回りのように見えて、それが一番正しい道なんですよね。
「そうですね。努力したくないという人はこの本を読まないほうがいいでしょう(笑)。巷に『手っ取り早くうまくいく方法』というコピーが溢れかえっていますが、それを真に受けないほうがいいと思います。『手っ取り早くうまくいく方法』はありませんが、『手っ取り早くうまくいく状態』にすることは誰にでもできるのです。ただ、そのプロセスにおいて、少し苦労するというだけの話です。
営業はロマン溢れている職種と思います。目標が明確ですし、その目標に向かって進んでいるプロセスの中で幸福物質であるドーパミンが出ます。目標を達成したら幸せになるのではなく、その道程で幸福感を味わう、というところがミソなのです。ですから、目標は絶対に達成すると覚悟を決めたほうが人は幸せになれます。そうしたプロセスを毎年味わえるという営業は、すごく幸せな職種だと思うので、この本を読んで吹っ切れて欲しいと思います」
(了)
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