「ローラ(X-23)の物語も開発中だ」 『ローガン』ジェームズ・マンゴールド監督インタビュー

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ミュータントの大半が死滅した2029年。“ウルヴァリン”として長年の激闘を繰り広げてきたローガン(ヒュー・ジャックマン)は、もはや不死身の存在ではなくなってしまった。超人的な治癒能力が衰えた彼は、町のチンピラ相手にも傷を負う始末。17年間にわたってこのキャラクターに扮してきたジャックマンが最後に演じるのは、無敵のスーパーヒーローではなく、生身の人間なのだ。

ガジェット通信は、映画『LOGAN/ローガン』(6月1日公開)でメガホンを務め、プロモーションのためにジャックマンと共に来日していたジェームズ・マンゴールド監督にインタビューを実施。早くも「今年のベスト・ガール」との呼び声も高いローラ役のダフネ・キーンについて、今作をR指定で描いた意図、コミック原作映画と賞レースについてなど、様々な話を語ってくれた。

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――うんざりするほど聞かされたと思いますが、本当に素晴らしい作品でした。

マンゴールド監督:ありがとう! その言葉は何度聞いても飽きることはないよ。

――『ウルヴァリン:SAMURAI』はもちろん、『3時10分、決断のとき』を手掛けられている監督が『ローガン』を製作したということに納得でした。劇中ではウェスタン映画の『シェーン』が出てきたり、西部劇の雰囲気は監督が意図したものですか?

マンゴールド監督:その通り。サムライが出てくる映画もそうだけど、西部劇の素晴らしいところは、キャラクターにフォーカスしやすい点だ。彼らが何から逃れようとしているのか、何を恐れているのか、キャラクターを描写する時にシンプルに描くことができる。現代の悲惨なところは、スマホや自動車があることで何でも解決してしまうことだ。サムライやカウボーイは、自分の身ひとつで、純粋にそこにあるだけのもので物事を解決しなくてはならない。だから他の映画との違いを生み出すことができるんだ。

――今作はR指定で公開されていますが、スタジオを説得するのに『デッドプール』の大ヒットも後押ししましたか?

マンゴールド監督:確かに同意してもらうのに役立ったよ。R指定であっても収益が出るとスタジオが理解していたのは助かった。ファンにとっても、原作のように制限の設けられていないローガンの姿を見たかったと思う。私自身、大人向けのドラマを撮りたいと考えていた。少し複雑なところもあるから、万人に受ける、子どもでも楽しめる映画にはしたくなかった。その結果、言葉使いや暴力描写だけでなく、私のアイデアの面でも自由を得ることができた。もしR指定じゃなかったら、ヒューとパトリック・スチュワートが会話する7分間のシーンは、1分半くらいになっていただろうね。中年男性が身体の衰えについて話しているシーンなんて、子どもは我慢していられないから。

――クランクアップの時には、ヒュー・ジャックマンが目に涙を浮かべたそうですね。

マンゴールド監督:ヒューはロマンチックなところがあるから感慨深げだったけど、あの時は午前3時半くらいだったんだ。前日の午前7時くらいから撮影を始めていたから、私はとにかく早く帰って寝たかったよ(笑)。自分にはまだ膨大な作業が残っていたし、申し訳ないけど、何かスピーチするような気分じゃなかったな。

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――X-23ことローラ役を演じたダフネ・キーンの演技が素晴らしかったです。米国のDVD特典にもなっているオーディション映像にも驚かされました。彼女はどのように発掘したのでしょうか?

マンゴールド監督:ダフネの父親(俳優のウィル・キーン)からスマホで撮影したオーディション動画が送られてきたんだ。DVD特典とは別の映像だよ。本当に奇跡的な演技で、見た瞬間にこの子しかいないと思った。それ以前に何百人もオーディションしてきたけど、彼女以外は考えらればかった。私が俳優たちに要求するのは思考力だ。顔を撮影しただけで何を思っているのか伝えることができる人物を求めている。それは私が教えられるものではないんだ。加えて、言語やアクションの面でも条件をクリアしていたので、一発で彼女に決めたよ。

参考記事:【動画】映画『LOGAN/ローガン』、ローラ役を演じたダフネ・キーンのオーディション映像を公開(Variety Japan)
http://variety.co.jp/archives/17352[リンク]

――ぜひ、彼女を主演にした映画も観てみたいです!

マンゴールド監督:それには取り組んでるよ。ローラの物語を開発しているところだ。まだ脚本はできていないけどね。話して大丈夫なやつだったかな(笑)。たぶんOKだと思う。

――ライアン・レイノルズが、「『ローガン』はオスカー候補になる」とコメントして支持していますよね。

マンゴールド監督:賞レースを意識したことはないよ。予算や興行成績、批評についてもなるべく考えないようにしているし、プレッシャーに縛られないように努めている。脚本家・監督として正気を保つために自分の世界をなるべく小さくしているんだ。もちろん、作品を評価してくれる声は嬉しいし、非常に報われる思いだけどね。

――『ダークナイト』や『デッドプール』を含め、コミック原作のヒーロー映画がオスカーの作品賞にノミネートされたことはないですよね。そのような状況について何か思うことはありますか?

マンゴールド監督:それを言うなら、マーティン・スコセッシは長い間ずっと冷遇されているし、同じようなことは他にもたくさんあると思う。コミック原作の映画が必ずしもオスカーを目指しているわけじゃないし、オスカーにノミネートされる作品の傾向というのも間違いなくある。そもそも作品賞ということ自体がおかしな話じゃないかな。私自身、一番好きな作品やトップ10映画を聞かれることが好きじゃないんだ。3位と4位の違いなんてないと思う。観客それぞれが自分の中で好きな映画を決めればそれで良いんだ。誰かが決めたランキングなんて、世の中の役には立たないよ。

――次回作にネモ船長を描いた『Captain Nemo(原題)』のプロジェクトを手掛けるそうですね。現在の状況は?

マンゴールド監督:次回作はまた別の映画になると思う。まだ言えないけどね。ネモ船長のプロジェクトが進行しているのは確かだ。また時期が来たらアナウンスがあると思うよ。

映画『LOGAN/ローガン』公式サイト:
http://www.foxmovies-jp.com/logan-movie/

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PR会社出身のゆとり第一世代。 目標は「象を一撃で倒す文章の書き方」を習得することです。

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