【東京で怪奇派プロレスラー】LinQ伊藤麻希の“アイドル上京ものがたり”【実家の匂いのタオル嗅ぎながら泣きました】
地方から東京に移り住んで、アイドルとして活動する女の子たちの東京や地元に対する思いや日常をうかがう「アイドル上京ものがたり」。これをはじめたきっかけのひとつに「ご当地アイドルなのに東京在住」という子が意外と多い、というのに気づいたことがありました。今回はそんなひとり、福岡並びに九州を代表するアイドルグループ・LinQの伊藤麻希さん(福岡県出身)の登場です。「顔がでかい」「必殺技は頭突き」「病みがち」などアイドルらしからぬキャラクターの強さで、『ゴッドタン』『ナカイの窓』などバラエティ番組にも登場。さらに昨年12月からはプロレスラーとして東京女子プロレスに定期参戦中。その振り切ったステージとリングでの活躍とは真逆な素顔をさらけ出してくれました。
LinQ5年やって次の挑戦をしないと後悔しそうだと思った
--伊藤さんの所属するLinQは地方発のグループでもブレイク出来ることを証明した、近年のアイドルブームを支えてきたアイドルグループだと思うんですが、なぜひとりで東京に住むことにしたんですか?
伊藤 あ~、そうですねえ。それはもう本格的にプロレスやるとなると、東京女子の人たちと練習するから東京に住んだがいいかなって。
--あ、もう完全にプロレスのための上京だったんですね。
伊藤 そうですそうです。練習するためだけです。それだけですよ。
--それまでLinQの活動してたわけですけど、福岡としてグループの中にいるより東京でひとりでプロレスやったほうが自分として身になるんじゃないかと。
伊藤 うん。だってもう……5年か。LinQ5年やってきたから。てなると次のステップに進みたいっていうか、うん。せっかく若いから、なんかいっぱいやっとかないと後悔しそうだなって思ったから。
--そこでLinQ辞めるってのは考えなかった?
伊藤 あっ、けっこう……というか、わたし普通にデビューして一ヶ月も経たないうちに辞めようと思ってましたから。
--そんなにすぐ!それはなぜ?
伊藤 合わないと思ったから。アイドルって集団じゃないですか。やっぱこう強調性っていうものがないと、うまく歯車が回らないっていうか。なんかこう浮いてたからずーっと怒られてました。あの、アイドルは向いてないと思うんですよ。それは今でも。
--自分のどの辺がアイドルに向いてないと感じますか。
伊藤 まず、愛嬌がなくって。なんだろう……ファンの前でかっこつけてたいんですよ。媚を売りたくないというか、それがデビュー初期からどうしても変わってなくって。だから釣れないんですよ。釣ろうともしてないし、甘えることもできない。(釣る=アイドル用語で積極的にファンにアピールして相手の気を引こうとすること)
--そこがアイドルとして致命的な弱点だと。
伊藤 弱音も吐けないですね。昔はよく吐いてたんですけど、それさえもできなくなりましたね。
--でも伊藤さんは釣る系のアイドルとしての可愛げは弱いかもしれないですけど、野生動物としての可愛げがあると思いますけどね。
伊藤 らしいですね(笑)。アイドルとしての可愛げとか作れないですもん。そんな器用じゃないから。
--でも全部が全部釣り師なアイドルばっかりである必要もないし、唯一無二の「伊藤ちゃん」てアイドルは成立してると思いますよ。
伊藤 やった!ありがとうございます。ただ、わたしの目標とするアイドルは本当に可愛くて正統派でってやつなんですよ。昨日も「アイドル甲子園」(アイドルイベント)に出させていただいたんですけど、他と自分を比べて憂鬱になりました。みんなファンがアイドルを拝んでるんですよ。アイドルは可愛くてチヤホヤされるものだなあ~って思って、すごい落ち込みましたね。
--そういう違いにもまだ慣れない。
伊藤 慣れないですね。早く辞めてしまえと自分では思ってますね。
--それに比べてプロレスは?
伊藤 あ、もう向いてるなーって(笑)。
--アハハハ!もう自分でも確信してる。
伊藤 はい、もっと早くやればよかったってめっちゃ思ってますよ、本当に!媚びる必要もないし。
--今定期参戦している東京女子プロレスは今の女子プロレスの中ではアイドルというかキャラクター寄りなところはありますよね。
伊藤 そうなんですよ。だからやりやすいですね。でも自分はそこでもちょっと違った感じになってるらしくて、「怪奇派」?って言われるんですよ。わたし的には正統派のつもりなんです。別に怪奇っぽくしてないけどな~、どうなんだろう?って。(怪奇派=プロレスラーのタイプのひとつで、主に技術や身体能力よりも謎めいたキャラクター性が飛び抜けている選手を指す。ジ・アンダーテイカー、ジャイアント・キマラ、飯塚高史など)
--ナチュラルな部分が剥き出しになってるところが怪奇派ぽいんだと思います。いい意味ですから!
伊藤 褒められてるんですかね?だったらありがたいですね。
--自信もっていいと思いますよ。
伊藤 伊藤はこのまんまでいいやって感じですね。今はもう一生懸命がんばるしか能がなくって。
--でも、プロレスに開眼した時にそこでLinQを辞めるじゃなくて、東京女子やりながらLinQを続けるのを選んだのはなぜでしょう。
伊藤 それは……辞めるのは今じゃないと思ったから。ここにきて開き直って「わたしはアイドルだなあ」って思ったんですよ。アイドルで行こうと。
初めて東京に来てツイッターに「東京田舎すぎワロタ」
--伊藤さんがLinQ2期生として加入したのが2012年2月。その後、LinQとしてはじめて東京に来たのは覚えてます?
伊藤 2012年の10月1日。
--よく覚えてますね。
伊藤 それは本当に嬉しかったから、今でも覚えてるんですよ。それまでずっと東京遠征に選ばれなくって、ようやく選ばれたから。
--じゃあ「東京に行く」って事より、「遠征メンバーに選ばれた」ことが嬉しくて覚えてるって感じですか?
伊藤 そうですね。遠征に選ばれるってことは、はっきり「一軍」っことなので。あ~、でも選ばれるまではそこまで考えてなかったかもしれない。一回選ばれてからむちゃくちゃ思うようになりました。
--もともとアイドルになる前、東京に対する憧れってありました?
伊藤 東京への憧れ……なかったです。別に福岡でなんでも済むから、特に行きたいと思ってなかったです。
--渋谷とか原宿に行ってみたいとか。
伊藤 あ~、いやー……興味なかったと思います。むしろ東京というものが本当にあるのか知らなかったですもん、マジで。
--自分の人生に関わりがないものだと。
伊藤 本当にバーチャルな世界だと思ってて、『とある科学の超電磁砲』ってアニメ知ってますか?あれの学園都市ってあるじゃないですか、あんな感じだと思ってた、東京って。だからめっちゃロボットとかある、ハイテクデジタルみたいな街だと思ってました。だから最初に見たときびっくりして。「めっちゃ田舎やん!」って。
--東京を田舎扱いする人は珍しいですよ(笑)。
伊藤 はい!びっくりしすぎて、わたしツイッターに「東京田舎すぎワロタ」って書きましたもん。はじめて行ったくせに(笑)
--それまでに東京に来たことは?
伊藤 小っちゃいころにディズニーランドに家族旅行で行ったくらいで、記憶もないんです。
--で、行った感想が「田舎やん」。福岡県民がそれを言うかっていう(笑)。ちなみに最初に東京でライブやってみて、福岡との違いって感じました?ファンの雰囲気とか。
伊藤 ありましたね。福岡はヲタ芸とかがあまりないんですよ。サイリウムの数とかも少なくって、じっくり見る人が多くて。そうだ、東京ではじめて見たんですよ。あの、リフト?(リフト=ライブ中、客同士が協力しあってファンを担ぎ上げる応援行為。自分の好きなアイドルの歌唱パートの時に上がるのが定石)
--今アイドル運営が続々禁止にしてるリフトですね。
伊藤 あれ初めて見た時に感動しましたもん(笑)。こんなにしてくれるんや~って。あと自分の名前をMIXにしてくれるファンの方とかもいて。こんな自由にする人いるんや~ってすごい嬉しくなりました。(MIX:「タイガー!サイバー!……」で始まる、アイドル曲のイントロなどでファンが一斉に叫ぶ定番の掛け声。様々なバリエーションがある)
--じゃあ、それで東京すごいなと思った?
伊藤 こいつはかなわねえ、と思いましたね。それと同時に負けたくない!と思いました。こういう変なやつばっかりいるから埋もれたくない!みたいな。ファンに負けたくないと思ったんですよ。他のアイドルはどうでもよかったんですけど。
--アハハハ、ファンの気合に負けるかと。
伊藤 どうしてもファンの面白さに負けたくなかったんです。それから意識変わりましたね。なんかやりたい、爪あと残したいみたいなのばっかり沸いてくるようになって、やっちゃいけないことをやるんですよ。普通のアイドルならやらないことを。
--ということは、そこから伊藤さんのバラエティ化が始まったんですかね。
伊藤 そういえばそうかもしれない。負けたくないって思うからいろいろやってしまうんです。
--それから遠征に選ばれて東京行く回数も増えていくじゃないですか。東京の見方って変わっていきました?
伊藤 東京とか大した事ないって思ってたんですけど……。「Love in 九州」って言っておいて申し訳ないですけど、福岡より面白いかなって思ってしまって(笑)。でも福岡も好きです。
--あはは、でも年ごろの子なら原宿で服見るとかパンケーキ食べるとか、そういうのでも東京に惹かれるとかあると思うんですよ。
伊藤 あ~、でもそういうのはわりとどうでもよかったんですよ。まずパンケーキを一緒に食べる人がいないから!だからそこは興味がないですね。それより東京って人がいっぱいいるじゃないですか、おもしろい人が。そこが好きでしたね。
--ライブで応援してくれるファン以外にも?
伊藤 そうです。だって東京だとロリータとか着てる方が普通にいるじゃないですか。あれを見て誰も悪口を言わないのが素敵だと思って。東京ってそういうものを見るのがみんな慣れてるじゃないですか。突出したものに慣れてるから。わたし、初めての遠征のときにピカチュウの着ぐるみを私服にして東京を歩いてたんですよ。本当に顔と名前を覚えてもらいたくて。でも、それでもぜんぜん後ろ指差されることなくて、この街ほんと頭おかしい!と思ってすごい好きになりましたね。
--福岡だとびっくりされますか、そういう人いたら。
伊藤 もう悪口を言われますね。
--悪口!
伊藤 前に高いツインテールして電車に乗ったんですよ。そしたら結構四方から悪口が聞こえてきてですね(笑)。すごいつらかったです。そういうのがあったから、地元はそういうのを嫌うんやなあって思ったんですね。
--地方と違って、東京はいい意味で他人を無視してくれるところありますよね。そこが居心地の良さでもあるというか。前に取材したナンパ師が言ってたのが、都内だと路上でナンパしても周りは見てないから怒られないけど、地方だと街歩いてる人から「怪しい人がいる」って通報されるって。
伊藤 あ~、そうなりますよー。わかるわかる。
--あと特に福岡はギャルがいないって。
伊藤 あ、たしかに。
--「ケバい人がいないから誰から声かけていいかわからない」って言ってました。周りの目を気にしてるから、そういう飛び抜けた格好はしづらい環境なのかもしれないですね。
伊藤 中洲とかにいったらいますけどね~。わたし、天神と中洲やったら中洲のほうが好きです。ガチャガチャ感があって居心地がよくって。だから、足を運ぶことはないけど歌舞伎町も好きですね。治安が悪いところめっちゃ好きなんですよ。香ばしさが好きで。ゴミとかたくさん落ちてるの見ると嬉しくなっちゃうんですよね。「あ~、きたなーい!」みたいな。
--小奇麗なとこよりも。
伊藤 だって大崎と歌舞伎町なら、ぜったい歌舞伎町のほうが面白いじゃないですか。
--なぜ比較対象が大崎!
伊藤 大崎って存在感薄いなって思って(笑)。
松岡修造さんの格言集に励まされました
--今は東京で一人暮らしですか?
伊藤 はい。福岡の時は実家で、初の一人暮らしです。
--じゃあ親に「上京します」って伝えた時はどんな反応でした?
伊藤 東京っていうか、まず「プロレスをするから東京に行く」って言ったんですよ。そしたら「はい?」でしたね。「どういうこと?」って。それで何回も説明するんですけど、ぜんぜん理解してくれなかったですね。
--上京の前にプロレスってのが親的には「はい?」ですよね。アイドルやるときは理解してくれたんですか?
伊藤 アイドルの時は背中押してくれましたね。でもプロレスは本当に今でも…まだ不安がってますね。
--怪我や体力的な心配がありますからね。
伊藤 プロレスデビューの時、福岡のテレビで伊藤の特集があったんですよ。「密着!伊藤ちゃん」みたいな。そこで親がわたしのデビュー戦を見に来て、いちおうそこで和解したみたいな形にはなってるんですけど、実際はまだ……。でも実際自分の子供がそんなんしてたら、いい気持ちはしないだろうなと思います。
--それに加えて上京と。それも親からすると、20歳過ぎて地元から離れると思ってなかったんじゃないですかね。このまま地元で暮らして結婚するだろう、みたいな。それがまさかの東京。
伊藤 たしかに……。たしかにたしかに。でもわたしは離れてよかったですけどね。経済的にも苦しいし、料理とか家事とかもできないから、ここでのたれ死ぬしかないのかなってずっと思ってて。でも死ねないから頑張るじゃないですか。そしたら覚えていくから。
--つらい上京になったほうが自分としては成長できる。
伊藤 わたし、一度病みすぎて松岡修造さんの格言集みたいなのずっと読んでたんですよ。そこで「崖っぷち最高!」って言葉を見つけて、まさにこれだ!と思ったんです。追いやられれば追いやられるほど強くなるから、挑戦することはいいことやなって思って。
--伊藤麻希を発奮させるためにも東京に行くしかないと。では今一人暮らしで大変なことは?
伊藤 やっぱり料理ですねー。作れないから買うしかないんですよ。でも食費がめちゃくちゃ高くて。東京って物価が高いんですよね。もやしが地元だと9円だったんですけど、東京は30円くらいするじゃないですか。それでもう自炊する気もうせた、みたいな。
--野菜とか値段違いそうですね、東京と九州だと。
伊藤 東京は高いですねえ……。でも料理作れるようにはなりたいですね。死ぬまでこの生活って考えるとちょっときついかもしれない。添加物ばっかりの生活。
--クックパッドとか見て作るとかすればいいじゃないですか。
伊藤 わたし、二ヶ月前くらいに急に豆腐ハンバーグが食べたくなったんですよ。それでクックパッドを見ながら作ってみたんです。その作ったやつがですね……。ちょっと待ってください、写真があるんですけど。(スマホを見せながら)こうなったんですよ。
--あーあ、って感じですね(笑)。
伊藤 本当にもう嫌いになって。むかつく!って。
--味はどうでした?
伊藤 味?……わたしは食べれなくはなかったです。
--じゃあいいじゃないですか。食べれるところからスタートで。
伊藤 そうそう、そうなんですよ。吐きはしなかったから。
--そういう最低ラインで(笑)。ソースとかケチャップつければ大丈夫!
伊藤 豆腐ハンバーグって豆腐を焼けばいいと思ったから焼いたんですよ。そしたらこうなったんです。
--それクックパッド見てないでしょ!
伊藤 でもあれ、簡単に書いてあるじゃないですか!焼きゃいいんや、みたいな。大事なとこ書いてくれないんですよ。役に立たない!と思って。あとごはんも最近炊けるようになりました。
--ご飯とか、もう無洗米とかもあるし簡単じゃないですか?
伊藤 ご飯をご飯のまま食べないんですよ。でもいちばんは味がしないから好きじゃないんです。うどんとかラーメンとか味がしないと思って食べなかったんです。
--ご飯を「味がしないから好きじゃない」ってあんまり言わないですよ(笑)。味が濃いものしか食べない。
伊藤 そうなんです。わたしダメなんですよ、本当に血圧高くなっちゃう。気をつけんとな~、ヘルシア緑茶とか飲まないと。
--トクホとか飲んでるから大丈夫だろうってのがデブの発想ですよ!(笑)今プロレスやってるのが運動になってちょうどいいんでしょうね。
伊藤 ああ、そうなのかな……。食の大変さは学んでます。
--ちなみに福岡のファンは、伊藤さんが東京に行くって言った時どういう反応でした?
伊藤 てかわたし、別に「行く」って言ってないんですよね。ファンに言ってないし、メンバーにも言ってないし。お母さんにしか言ってない。
--公式に「伊藤、東京行きます」とか発表してないですよね。だから最初、東京在住は秘密なのかなって思ってたんですよ。普通なら発表して「福岡さよなら公演」くらいやってもおかしくないじゃないですか。
伊藤 ですね、たしかに。なんかでも、伊藤なんかの分際でそんなことはできないなって思って。さくらちゃん(新木さくら)とか悠未ちゃん(高木悠未)とかエース格の子だったら「惜しまれながら上京しました」みたいなストーリーが一番似合うと思うけど、わたしがそういうこと言ったくらいで集客とか何も貢献できないからいいんですよ。
--そうかなあ。
伊藤 「別にあたしなんかが東京に行っても、おまえら何も関係ないからいいじゃねえか!」くらいに思ってたから、言う必要ないと思ってました。そしたら「伊藤ちゃんなんで東京いったの!」みたいなLINEがいっぱい来て、「なんで気にかけてくれるんやろ、嬉しい!」って思って。もともとかまってってちゃんやから嬉しくなって。
--そりゃメンバーも知らされてなきゃ驚いてLINEも送りますよ。ファンもびっくりですよね。
伊藤 突然いなくなりましたからね。でもそれって喜ばしいことだと思いますけどね。見れなくなるってすごい幸せなことじゃないですか。だって、ずっと見れるのってつらくないです?ずーーっと同じなんですよ?絶対そんなのよりいいですよ。
家族連れを見ると子供に「甘ったれんじゃねえ!」
--福岡から東京に引っ越した日って覚えてます?
伊藤 あ~、そうですねえ……。2日間はさみしいとか思わないようにしてたんですけど、3日目くらいからもう耐えられなくって、ネガティブな感情から逃げれなくなったんです。逃げてたけど、タオルの匂いとかが実家の匂いで、うわあって思ってタオル嗅ぎながら泣いてるっていう……。
--さみしさがこみあげてきて。東京にひとりっていう。
伊藤 めちゃくちゃさみしかったですね。でもさみしいってのを言いたくなかったし、自分から電話したりもしなかったですね。手紙送ったりもしなかったし。
--そんな東京の生活で救いになったものってありますか。
伊藤 あ~、サンリオがめちゃくちゃ好きになったんですよ!上京してから。さみしいと可愛いものに癒されてしまうんですね。とりあえずサンリオショップにいけば気を紛らわせらえる、みたいな感じになって。それまではサンリオのものとか買ったこともなかったんですよ、わたしジブリがいちばん好きやから。ディズニーとかも興味なかったけど、上京してディズニーとかちょいちょい好きになってしまいましたね。映画とか見てしまう。
--ああいうキャラクターって人の心の隙間を生めるんだなあ(笑)。
伊藤 そうそうそう、ぜったいそう!
--ちなみにサンリオで一番好きなキャラクターは?
伊藤 シナモンとポムポムプリン……。
--そういうところで女の子らしさが出てくるって面白いですね(笑)。
伊藤 女々しくなりましたね……。
--ピューロランドとか行きました?(ピューロランド:東京都多摩市にあるサンリオのテーマパーク)
伊藤 いやっ、それはひとりじゃ行けないですね!
--着ぐるみとかめっちゃハグできますよ。
伊藤 ああ、一回いままでの自分を捨てて着ぐるみにハグとかしてみたいかもしれないです。わたしがプロレスラーだとか変なアイドルだとかプライド全部捨てて、抱っこしに行きたいかもしれないです。あ~、でも勇気いるなー!
--平日のピューロランドなら普段アイドル見る客やプロレス見る客はそんないなさそうだから、全力で抱きついても目撃されることはないと思います。主な客は家族づれですし。
伊藤 あ~、あと家族みるとイライラするんですよ。
--アハハハハ!なぜ!
伊藤 子供に対してですね。「お前らも早く大人になれよ!甘ったれんじゃねえ!」って。自分が独り立ちして苦しい思いしてるから、お母さんに買ってもらって抱っこしてもらってるガキを見ると腹立つんですよ。ぶん殴りたくなるんです。
--やっぱり怪奇派だなあ。つい最近まで自分も実家暮らしだったくせに(笑)。東京に住むようになって思った地元の良さとかあります?
伊藤 めちゃくちゃあります!んっとねえ、家の周りって田んぼだらけなんですよ。窓開けると外の空気がはいってくるんですけど、それがおいしいんですよ。東京の風をまずいとは思わないんですけど、田舎の空気ってぜんぜんちがって居心地がよくなります。気持ちも落ち着くし。福岡帰ってくると「ああ、いままで張り詰めてたんだな」ってのを毎回思います。虫の鳴き声とかを聞けるから嬉しいんですよ。
--やっぱり故郷なんだなと。
伊藤 本当に落ち着きますね。「もう戦わなくていいんだ……」って。
--東京の日常は戦いなんですね(笑)。東京は指差されないとか気楽なとこもあるけど、張り詰めてもいる。
伊藤 そうそう。だからどっちの居場所も持ててよかったなって。福岡だけにいても死にたくなってたと思うんですよ。つまんないんです。かといって東京にずっといても鬱病とかなってたと思うんです、メンタルそんな強くないから。だからよかったです。
--今東京在住だと、福岡の劇場に出れなくなる分、LinQとしての活動は減ってますよね。アイドル活動の意識は変わりました?
伊藤 うーん……。減っても何も変わってないんじゃないかな。キャリアもすごい積んだから、そんなに練習しなくても体にしみついてるんですよね。あんまり間違えないんですよ、新曲以外は。あとレアキャラ感が定着してきて、たまに福岡帰るとチヤホヤされるんです。大御所感が出るんですよ、「伊藤が帰ってきた!」みたいな。それがざまあみろ、って思いますね。わたしのことなんか見向きもしなかったくせにって。それはちょっと嬉しいです。
--ざまあみろ、と思いながらも嬉しいわけですね(笑)。そんな上京効果が。
伊藤 本当、東京来て大正解だなって思ったんですけど、いきなりLinQが解体とかそういう話になっちゃったじゃないですか。そうなるとアイドルが出来なくなるかもしれないという恐怖がありますね。(LinQが解体=今年1月に「LinQ解体・再開発プロジェクト」が発表。5月の福岡市民会館公演・中野サンプラザ公演で結果を残さないとメンバーは卒業の可能性も)
--自分で辞める、ならまだしも辞めさせられるかもしれないですからね。
伊藤 なんでや!ってなるじゃないですか。そんな状況でチケット500枚売ってこいとかわけわかんないですよ。売ってもクビになるかもしれない。そんな理不尽な話ないでしょ!(チケット500枚売ってこい=伊藤さんはLinQ宣伝部長に任命され、福岡・東京2公演で500枚のチケットを売ることを命じられた。この取材後、東京公演6日前にめでたくノルマ500枚を売り切った)
--そこは「崖っぷち最高!」で乗り切りましょう!
伊藤 そうなんですよ。指名されたからには500枚売り切って、全員に「伊藤はすごい」って思わせたいですね。500枚も売ったらわたしがセンターみたいなもんだから。その暁にはセンターに立ちたいんですけどね。とにかくここで終わったらダサいだけなんで、まだ楽しませたいです!LinQもプロレスも。
■伊藤麻希さん告知
【東京】LinQ再開発プロジェクト公演「I am LinQ~奇跡~」
日程:2017年5月27日(土)
会場:中野サンプラザ
開場:17:00 / 開演:18:00
全席指定:5,000円
【東京】東京女子プロレス「この際、新宿で盛り上がっちゃお!」
日程:2017年6月4日(日)
会場:新宿FACE
開場:11:15 開始:12:00
チケット料金
スーパーシート:6,000円(当日6,500円)
カウンター席:6,000円(当日6,500円)
指定席:4,000円(当日4,500円)
レディースシート:1,000円(当日1,500円)
U-18チケット:1,000円(当日のみ。要身分証)
※当日別途1ドリンク代500円
取材協力:渋谷LOFT9
―― 見たことのないものを見に行こう 『ガジェット通信』
(執筆者: 大坪ケムタ) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか
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