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“テニミュの産みの親”片岡義朗にロングインタビュー 『カンタレラ2012~裏切りの毒薬~』ボカロミュージカルへの想い

-:そうなんですか。
片:それは当り前で、歌があってダンスがあるから人間の五感でいうと視覚効果だけじゃなく聴覚の効果ね。ストレートプレイでダンスがなくて音楽が流れてない所で、言葉のやり取りなり、明りだとか照明で舞台上の演出効果で人間の心理を捕まえて、読み取って物語の中に入り込んでいくのってやっぱり集中力いるし、ある種大人の作業なんですね。でもミュージカルってその後楽園の戦隊シリーズのショーを観ればわかるようにあれはある種のミュージカルですよ。非常に単純に音楽があって、リズムがあって、ダンスがあって、歌があってということになると受け取る側の五感の中の機能が増えるでしょ。年齢の間口も広がるんですよ。だからそっちの方が大衆的になるのが当たり前なんです。

-:でも日本ではそうならない。
片:ならない。これはねやっぱりおかしい。なにがおかしいかというと、それぞれの人たちがそれぞれの営業戦略に従って演目選んだりしているから。俺、劇団四季のね、小学生に見せる名作ミュージカルが日本のミュージカルを殺していると本当に思っているんですよ。で、四季の劇団としての営業戦略は非常に正しいにも関わらず、逆にそのことがミュージカルっていう表現の全体の幅を狭めてる、特殊な物にしていると思っていて現状に対するアンチテーゼを用意したいとすごく思っていて、それはなにかと思った時に「あ、俺がやってるアニメを舞台に乗っければ良いんだ」って思ってのっけた。

-:それが聖闘士星矢の始まり。そしてそこからテニスの王子様ですね。
片:それをぼくがやりだしてその後同じチームの別の人が、聖闘士星矢やった時に僕についてくれてた人がそのまま残って同じ手法でセーラームーン作って、僕は僕で別の、姫ちゃんのリボンとか赤ずきんチャチャの別の作って、広井王子さんが姫ちゃんのリボンも赤頭巾チャチャもよく観に来てくれたんです。で、広井さんはそれを帝国少女歌劇団につなげていったんですね。

-:茅野さんですよね、芝居?
片:そうそう。それはね、最初の一擦り、マッチの火は確かに僕がつけました。でもねそれを続いてやろうと言ってくれた人がたくさん出てきた事は確かです。だから僕だけがやったって思わない。勿論、テニスの王子様みたいな大ヒットが出るとキラーが出ることで世の中が遥かに変わりやすくなるから、そういう意味でいうと、今の世の中のちょっとヒットしたアニメが全部舞台化されるっていう事になった直接の原因はやっぱりテニスの王子様でしょうね。自分が面白くないって思うものばっかりにお金使うんだったらなんか自分が面白いと思うものを持ってきて、自分の手で作れば良いじゃないかって思ったのが聖闘士星矢。

-:なんですかね、ちょっと脱線しちゃうんですが、あ、お時間大丈夫ですか。
片:大丈夫ですよ。

-:ちなみにアニメとミュージカルをくっつけてって形で今までミュージカルをやられていた訳ですけども、今は完全に原作はオリジナルっていった方が良いんですかね。ニコニコミュージカルっていうのは。プラスミュージカルって形なのか。それはアニメに飽きてしまわれたのか、それとも今はニコニコ動画っていうものに興味をもっているのか。
片:それはそういう問題の立て方じゃなくて「何が世の中の旬か」「何が世の中で新しいものとして動いているんだろうか」って見ると、そういう意味でいったらニコニコ動画ですよね。やっぱりニコニコ動画って社会のエッジを切り開いているって。自分が勤めていてそういうこと言って良いかわからないけど、外にいて見ていてそう思ったんです。ニコ動という旬を捕まえたそのものを舞台化するということもやってみたいし、ニコ動の中でも一つのムーブメント、非常にダイナミックに動いているもの。分野で言うとボカロがありますよね。僕は聖闘士星矢をやった時はやっぱり聖闘士星矢が世の中席巻していて、ちょっと人気的には落ち着いた時期だったんだけれども、でもまあやっぱり最大の人気で非常に受けていた時期で、世の中の人がこれを新しいと。まあクロスって玩具がすごく性能が良かったっていうこともあるとは思うんだけども、漫画・アニメ非常にハッピーな旬を形成してた。テニスの王子様が漫画としてはもちろん旬だったんだけれども、舞台として考えてみると、スポーツを舞台に取り入れるってないんじゃないか、これは面白くなるんじゃないか。しかもテニス。これは演出家の仕事だけど、テニスを舞台上でどうやるのっていうのを見事に解決して答えを出したんだよね、演出家は。これは新しい、漫画が新しいこともあるし、演出も新しかったからブレイクしたんだと思うんだけど。つまり世の中で受けているものには、何かしら世の中のある部分を反映しているものがあると思うんですよ。テニスの王子様でいえば、スポーツ選手にカッコよさを求めるっていうね。企画書に書いた覚えがあるんだけど、スタイリッシュなキャラクター達が登場するスポーツ、根性ではなくスタイリッシュがキーワードみたいな。見事に原作者が作ったキャラクターがカッコイイんですよ。その流れってそれまでのスポーツにあまりなかった発想ですよね。スポーツ漫画の代表選手っていえば巨人の星だし、ある意味タッチもそうなんだけど。スラムダンクがある種そういう形の最初かもしれないんだけど、テニスはもっとそれを…。

-:キャラクターをもっと前面に押し出したっていう形?
片:そうそう。試合経過よりもキャラクターだよ、みたいなところがあるじゃない。決め台詞を投げつける、見栄を切る瞬間にカッコイイって。そういう事が、社会の旬がそこにあったんですよね、漫画に。それを舞台にすることで、それに作り手側の知恵も混ざってブレイクすると。それがテニスの王子様が完成系ですよ。あれを超えるアニメキャラクター・漫画キャラクターの舞台化ってなかなか作ることが難しいなって。ビジネスモデルとしてはもう完成系にきたので、なかなか難しいなって。あれもやり始めて2003年だから今年で満9年になるんですよね。僕としては新しいというものを作りたいという気持ちがあった時に、川上さんひろゆきさんと出会って、まあひろゆきさんとは前から知り合いだったんだけど、ニコ動でミュージカルやらない?しかもそれをネットで生中継して有料ネットチケットを販売する。この話を聞いて、これだ、と思って。これが世の中の旬なんじゃないかって。仕組みが旬なんじゃないかって。中に入ってじゃあ何を物語にしようかって考えた時に、全部で今まで8本(7タイトル)つくっていて、そのうち3タイトルがボカロですね。東方見聞録とココロとカンタレラ。色んな方向の、クリスマスキャロルを作ったし、単純なアニメの舞台化っていうのもDEAR BOYS・聖闘士星矢ってやってつくったし、ちょっと変わった声優さんをメインにしたニコニコニーコっていうものもつくったり、色々したけども、これからも色々するとは思うんですけれども、柱の一つにやっぱりボカロっていうものがニコ動が今の世の中に出して生み出した、ボカロそのままYAMAHAが生み出したものだし、それを大ヒットする道具に一つのソフトとして非常に世の中に広める作用をしたのはミクがいるんで、ニコ動が作ったっていう事はないんですが、ニコ動も推進力になったことも間違いないですよね。ニコ動って舞台があって、そこにYAMAHAのソフトがあって、クリプトンの初音ミク以下のキャラがあってってことがあって、ある種混沌の中から巨大なエネルギーが生まれて、いまやボカロなくしては語れない世の中になってる。これを世の中の人が求めている事だとしたらそれを舞台化するのが僕の仕事じゃないか。さっき言った0→1はクリプトンさんなり、YAMAHAの開発した人が作った人、あるいはニコ動に盛んに上げ続けてくれたボカロPさん達が作ったんだけども、それを熱心に聴いてくれた人たち、カバーした人たちがいてエネルギーの塊が社会を動かした。その1を勿論音楽産業全体でみたらそれで100になっている人も当然いるので、舞台っていう分野では誰もやっていない事なので、同人レベルではいくつかやられているんだけれども、継続的にやっているっていう訳ではないので、その1を100にするのが僕の仕事じゃないかって思って、カンタレラをどうしてももう一回チャレンジしたいというのが3月の舞台なんですね。

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