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“テニミュの産みの親”片岡義朗にロングインタビュー 『カンタレラ2012~裏切りの毒薬~』ボカロミュージカルへの想い

-:そうですね。
片:で、やっぱり「聖闘士星矢」の時にSMAPで聖闘士星矢をやったんですけど、勿論SMAPファンが大勢来たんですけど、当然SMAPファンだけじゃない人たちもチケットが買える余裕があったので、聖闘士星矢ファンも沢山来ましたよ。 それは車田正美先生がすごい舞台化することを喜んでくれて、すごく後押ししてくれたんですね。なので先生が公認しているという事が星矢ファンの中で流れていたので沢山見に来てくれた。 そういう意味では漫画アニメのファンがちゃんと劇場までかなり高いチケット代を払って見に来てくれて、一輝というキャラが出てくると「キャー!一輝が出てきた!」といってウケる。 そういう意味でのキャラファンが萌えるという現象でいうと僕が作ったミュージカルが初めてですよね。 でもそれは……。

-:0→1ではない?
片:それはまた別のストーリーになるんだけど、ミュージカルってなんで世の中の旬の話題がないのよ、って思ってたんだよね。僕はミュージカル・舞台を趣味で見ていて、ブロードウェイにも何回か観に行ってたし、ロンドンにも1回だけ観に行ってきちんとしたもの観てるし、 それから「エディンバラ」っていう世界最大の演劇フェスティバルあるんだけど、そこにも3週間ぐらい行ってずっと観ていて、なんて日本の舞台って偏った演目になってるんだろうねと。

-:古典が多かったんですか?
片:そう。ミュージカルっていうと外国から持ってくるものしかなかった。日本を題材にしたオリジナルってないこともなかったんだけど、でもそれがつまらないんですよ。 例えば「ユタと不思議な仲間たち」って……。知ってる?

-:はい。
片:劇団四季の名作ミュージカルの代表選手なんですよ。これは東北の座敷わらしっていうことをテーマにした舞台で、小学校六年生が招待されて、全国で30万人ぐらいの小学6年生が観るんですよ。これは四季はすごく偉いと思いますよ。 それをずっとやり続けているって。もっとも日本生命っていうスポンサーがついてやっていることなので、日本生命が偉いと言った方が良いかもしれないけど、お金を出しているという意味ではね。 でもこれ観ると、面白いっていう子供が何人いるのか。クラス40人だとすると、その中の何人が家に帰ってお父さんお母さんに「今日劇団四季のミュージカル」観てきて面白かったって。「なんていうミュージカルなの?」「ユタと不思議な仲間たち」「なにそれ。どんな話だったの」「なんか座敷わらしっていうのが出てきて」「なにそれ」ってお母さんでさえ知らない話だから、話題がつながらないじゃない。 っていうことは子供心に見てね、話として今のものじゃないから、引き込まれないんですよ。でね、よくいうんだけど、40人いたら36人がつまらないと思うの。 「ユタと不思議な仲間達」という演目がつまらないと思うのと同時に、ミュージカルがつまらないという刷り込みがされちゃうんですよ。 中の4人ぐらいがね、多少なんていうか、女性でね、6年生ではっちゃけてる、先端いっている様な子の中に、やっぱり生身の人間が演じて汗水たらして飛んだり跳ねたり歌ったり迫力出してやっている舞台は生のライブの面白さってあるから、そういうのに打たれる人がいるんだよね。1割ぐらい。 その人達がファンになって一生ファンになってくれる。これが劇団四季の営業戦略なんです。 ただ逆に僕は残りの9割は排除されると思っているのね。 だって6年生で座敷わらし知らないし、山形県の田舎のその衣裳なんかも昔の戦前の……、時代設定は忘れちゃったけど、今のファッションじゃないんですよ。

-:子供心には少し地味ですね。
片:なにあれって思う。 で、例えばお父さんお母さんが東宝のミュージカルを観る人達でオペラ座の怪人を観ました。 そして、お父さんお母さんに連れられてオペラ座の怪人観て、帰ってきて学校に行って「昨日何した」「帝国劇場ってすごい大きな劇場に行ってものすごい豪華な綺麗な劇場で凄い興奮した。」「なに観たの?」「オペラ座の怪人。」「なにそれ?」説明しても友達はわからないでしょ。 その友達がキャーキャー言ってくれないからつまらないから、「あ、これはつまらないんだ」って。話にならないじゃないですか。 子供たちだけじゃなく、OLでも大学生でも女子大生でも女子高生でも同じだけど、
友達に話をした時に「そんなの観に行ったの、すごいね」「で、どうだった」って聞かれて初めてなんか納得するというか良い体験したって思うじゃない。
今も昔も誰しもそうだけど、自分がした体験を皆が「良いなあ」って羨ましがってくれると「観て良かった」って納得する・腑に落ちるところがあると思うんです。 それが、そういう風に回らないんですよ、ミュージカルの世界は。

-:そのまま広がっていかないんですね。
片:つまり13500円を払える人たちが観に行くのがミュージカルで。

-:そんな高いんですか。
片:2人で行ったら27000円ですよ。家族4人で行ったら54000円ですよ。

-:それは出せないですね、普通の人は。
片:出せないでしょ。だからいわゆる日本で言うと「エスタブリッシュメント」といわれる人たちしかいけないじゃない。

-:割と年齢層高めなんですか?
片:高いですね。四季はそういうことに営業センスの良い劇団なので、気が付いていて出来るだけ、今値段を下げる努力をしていますよね。少し安くなった。でも8000円とか9000円。宝塚はもうちょっと洗練されていて就学生でも観れるような3500円ぐらいの席を用意して、でも3階の遠くの席をね。いずれにしても演目も含めてUp to dateな今の世の中の旬を捕まえる物語とかドラマ作りとか演出方法とかが出てこない。でも本来演劇とか漫画とかテレビも含めて良いのかどうかわからないけど映画とかって、世の中のどこかに落っこっている社会のある種の歪みだとか出来事とかの中に普遍的な真理をみて、普遍的な真理が今の世の中でこうやって現れているっていうことを捕まえる事が本来の属性というか持っている機能だと思うんだよね。それは漫画で言えばある種の風刺精神なり、批判精神だったり、演劇の歴史をみてもやっぱりアングラっていう、演劇の歴史で言えば色んなテーゼ・アンチテーゼの繰り返しがあるんですよ。で、アングラ芝居・アングラ演劇っていうものが新劇や劇団四季みたいなものに対するアンチテーゼとして出てきて、それに対する揺り戻しとかがあったりとかして、やぱり最初出てくる時はかなり世の中に問題を突きつけるみたいな出方をした人たちがその後もずっと長くその人の芝居が続くんですね。野田秀樹さんとかが良い例ですよね。本来、ストレートプレイの世界ってそういう機能があるんだけれども、ミュージカルってなった瞬間に1村の中だけで…あの特殊な演劇みたいな感じに思われていて。本来はアメリカにいけばわかるんだけどミュージカルの方が大衆性があるんですよ。

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