デキる人は、やっぱり「メモ魔」だった――メモのもたらす5つの効果

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働くすべての人におすすめしたいメモの習慣

「行動力がある人」「話や文章がうまい人」「企画力がある人」「判断力や決断力がある人」など、いわゆる“仕事がデキる人”には、「メモ魔」が少なくありません。彼らは自分で見聞きした事柄や、頭に浮かんだアイデア、学び、気づきなどを、こまめにノートや手帳に書き留めています。また、メモしたそれらをよく見直して、仕事に活用しています。

メモを取ることのメリットを挙げればキリがありません。今回は、特筆すべき5つの「メモの効果」を紹介します。

【メモの効果1】備忘&記憶効果

人間の脳は、すべての出来事や情報を記憶してくれる万能装置ではありません。それどころか、ほとんどのことを忘れてしまいます。仕事に忙殺されているときなどは「ついさっき言われたことが思い出せない」と冷や汗をかくようなこともあります。

“忘れるリスク”の回避方法として有効なのがメモです。メモは、言うなれば「脳の外付けのハードディスク」のようなもの。抜群の備忘機能を誇ります。したがって、メモしたことは、ムリして覚えておく必要はありません。

たとえば、3ヶ月前に読んだ本の書評を書くとします。本を読んだときに感想や気づきをメモしていた場合と、メモしていなかった場合では、どちらが書評を書きやすいでしょうか。答えは言わずもがなです。メモしていなければ、どんな本だったかも思い出せないかもしれません。

なお、メモには、思わぬご褒美もあります。それは、文字を書くことによって「記憶に残りやすくなる」ということ。“忘れるリスク”を回避するための行為であるのもかかわらず、結果的には、記憶に強く刻まれるのです。少し変則的な“一石二鳥”といえます。脳にいつでも取り出せる記憶がたくさんあれば、「話す」「書く」「企画を立てる」など、あらゆる仕事の効率と精度が高まり、その結果、得られる成果も大きくなります。

【メモの効果2】情報生み出し効果

情報とは「ある」ものではなく「生み出す」ものです。とくに頭のなかにある思考は、書き出す(メモする)ことで、初めて情報として認識できる状態になります。書き出さなければ、単なる「もや」にすぎません。まだ世の中に存在していない状態です。

たとえば、食品メーカーに勤めるあなたが新商品の試作品を食べたとします。<おいしいにはおいしいが、商品化するには何かが足りない>と思ったとします。そのときに、その「何かが足りない」という感覚を言語化できなければ、それは、やはり「もや」のままなのです。

自分でもその“違和感”の正体を把握しているとはいえず、ましてや「もや」の状態につき、他人と共有することもできません。つまり、商品化に向けた改善策を打ち出すことが難しくなります。これでは仕事が進展しません。

「メモをする」とは、曖昧模糊とした「もや」に形を与えることにほかなりません。「もや」に形を与えることによって、はじめて情報として認識することができ、また、他人との共有が可能になるのです。

【メモの効果3】気づき効果

書き出して(メモして)情報を生み出した先には、何かしらの“気づき”が待っています。

たとえば、あなたが“マイブーム”な食べ物を書き出したとします。酢豚、トムヤムクン、ピクルス——このラインアップを客観的に眺めたときに「そうか、自分はいま酸っぱい食べ物にハマっているのか」と気づくようなケースです。このように視覚化(文字化)したうえで、それらを見比べることで初めて“気づく”ことは少なくありません。

また、ひとつの“気づき”から、新たな“気づき”が得られることも少なくありません。「食べ物がそうなら、飲み物はどうだろう?」と考えて、「そういえば『レモンスカッシュ』や『うめサワー』が好きだから……やっぱり酸っぱいものが好きなんだ!」と気づくようなケースです。

さらには、「もしや、疲労物質が溜まっているから、からだが酸っぱいものを欲しているのかな? 最近忙しすぎるからなあ……」という具合に、重要な結論にたどり着くこともあります。

ここまでくると、もうメモが、やめられなくなります。メモを活用して、より多くの“気づき”を得たいと思うようになるからです。人間にとって“気づき”は思考のカンフル剤のようなもの。メモによって、人の思考は縦横無尽に広がっていくのです。

【メモの効果4】アイデア効果

メモには、ときにアイデアを生み出す“着火剤”の役割も果たします。

たとえば、書店に行って「この頃、健康志向の本が多く発売されている」と気づいたら、そのことをノートにメモしておきます。数週間後、仕事で、ある飲食店のコンサルティングをしたときに、クライアントから「新コンセプトの開発」に関して意見を求められたとします。このこともメモしておきます。

後日、ペラペラとノートをめくって、自分が書いたメモを読み返していたところ、まったく無関係な2つのメモに目が留まります。「健康になるための本が多い? 飲食店の新コンセプトの開発? あっ! お店のコンセプトを“健康”にしてみたらどうだろう? 薬膳、有機野菜、酸素カプセル、肩もみ、ハンドマッサージ……どれもおもしろそうだ。いや、待てよ。無添加・無着色の『無』にこだわるのもいいかもしれないぞ」という具合です。

このように、視覚化した複数のメモ(情報)を見比べることで、大小さまざまなアイデアが生まれやすくなります。アイデアはよく「異なる要素の組み合わせである」と言われますが、この組み合わせの実現にメモが役立つのです。

1:印象深い出来事や、人から聞いた話、思いついたアイデア、感想、気づきなどを積極的にメモする。

2:メモを眺めながら、無関係な情報同士を比較するほか、共通点や相違点を探したり、情報同士を結びつけたりする。

1→2をくり返す習慣が身につくと、ひとつの事柄から、複数のアイデアを(自在に!)生み出せるようになります。つまり、アイデア、意見、主張、提案……等々、仕事に関係する魅力的なアウトプットができるのです。

【メモの効果5】文章の下書き効果

メモというのは、それ自体が文章です。つまり、メモした文章は、その後に書く本番の文章の下書きとしても活用できるのです。メモを取らずにいきなり文章を書くよりも、「下書き→本番」の流れで書くほうが、文章が磨かれるため、当然、文章の質が高まります。

文章作成を目的とする際のメモの取り方は、「具体的に」が肝です。「おいしいチョコ」とメモするよりも、「少し酸味のきいたビターテイストのチョコ」とメモしたほうが、下書き効果は高まります。

言うまでもありませんが、メモの段階で文章化されていれば、文章にするときの負担が軽くなります。場合によっては、このメモをふくらませるだけで魅力的な文章になることもあります。

成功している人はおしなべてメモ魔である

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これまでに筆者は、ライター&インタビュアとして、芸能人からスポーツ選手、経営者、ビジネスパーソン、学生まで2700人以上に取材・インタビューをしてきましたが、その道で一流と言われている人ほど「メモ魔」であると感じています。

私自身の体験と重ね合わせても、メモを取る効果は小さくなく、その人の仕事や人生に好影響をもたらすと断言します。あなたも「メモの習慣」を身につけて、人生を変えてみませんか?

著者:山口拓朗

『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』著者。

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伝える力【話す・書く】研究所所長。「論理的に伝わる文章の書き方」や「好意と信頼を獲得するメールコミュニケーション」「売れるキャッチコピー作成」等の文章力向上をテーマに執筆・講演活動を行う。書けない人を書ける人へと導くノウハウを満載した『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(日本実業出版社)のほか、『伝わるメールが「正しく」「速く」書ける92の法則』(明日香出版社)、『問題を解くだけですらすら文章が書けるようになる本』(総合法令出版)、『書かずに文章がうまくなるトレーニング』(サンマーク出版)他がある。

山口拓朗公式サイト

http://yamaguchi-takuro.com/

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