雪上でも圧倒的パフォーマンスを示したジャガー・ランドローバーのSUV(雪上試乗記)

▲雪上というコンディションでは普段体感することのできない車の限界性能を感じることができる

▲雪上というコンディションでは普段体感することのできない車の限界性能を感じることができる

ジャガーとランドローバー

まず初めに、ジャガー・ランドローバーというメーカーについて話をしよう。

元々は別のブランドであった。ジャガーはアスファルトで、ランドローバーはオフロードで独自の考え方を持ち車を進化させてきたロイヤルワラント(英国王室御用達)である。その2つのメーカーが、経営統合によって現在はジャガー・ランドローバーという自動車メーカーになった。

今回はランドローバーが得意とする雪上で試乗会が開催された。それぞれ違う道路条件下で計3車種に試乗させてもらった。タイヤはすべてスタッドレスではなくスノータイヤであった。そこで感じたジャガーとランドローバーの性能の違いをお伝えしたい。

オンロードでのスポーティな走りに定評のあるジャガー Fペイスの悪路での実力

初めに我々に提供してくれたモデルはジャガー Fペイスのハイパフォーマンスモデルの『S』。3.0リッターV6 340ps のスーパーチャージドガソリンエンジンが搭載されている。

▲スノータイヤで圧雪路を走るのはジャガーのSUVでも滑ってしまう場面もあったが、それでも走り切れるのはさすがジャガー

▲スノータイヤで圧雪路を走るのはジャガーのSUVでも滑ってしまう場面もあったが、それでも走り切れるのはさすがジャガー

試乗したのは、圧雪路(あっせつろ)によるクーローズドのフラットなコース。そんな悪条件下でも、ジャガー本来のスポーティな味付け部分を十分に堪能できた。

コースインして普段どおりのドライビングを行う。特に限界を意識していないが、雪上では外に滑り出してしまうためコーナーでは早目にステアリングを切る。その次にアクセルでコントロール。しかし低回転域ではアクセルよりもブレーキをコントロールして車を正規の姿勢へと修正した。

オンロードでのスポーティな走りには定評のあるジャガーだが、悪条件下でもイメージどおりのコーナーリングをしてくれた。特にJaguarDriveコントロールスイッチを、より高い回転数で俊敏なギアシフトを提供してくれる「ダイナミック」モードにしたときは、大型のSUVとは思えないスポーティな走りを体感できた。

オフロードメインに作られた車でありながらスポーティな走りが可能なレンジローバースポーツ

続いてレンジローバースポーツで一般的なSUVでは走ることすら困難な専用の雪上オフロードを体験した。正直いってレンジローバースポーツであっても夏タイヤに溝を深くしたスノータイヤでは本格的に走れるわけがない。

▲オフロードは得意なはずのレンジローバースポーツだが、雪上オフロードでは簡単にいかない。スタートが特に厳しく、タイヤとの摩擦熱で雪が溶け、寒さですぐに氷となってしまい前に進めない場面もあった

▲オフロードは得意なはずのレンジローバースポーツだが、雪上オフロードでは簡単にいかない。スタートが特に厳しく、タイヤとの摩擦熱で雪が溶け、寒さですぐに氷となってしまい前に進めない場面もあった

そんな中いざスタートだ。ゆっくりとトラクションを確かめながら走る。多少のうねった路面でも滑りだすのがよくわかる。磨かれた氷のような路面ではスノータイヤではどうしても滑ってしまい、スムーズに走るのは正直厳しかった。

それでも、細かなトルク制御を行ってなんとか走るレンジローバースポーツはやはりオフロードでの走破性に命をかけていることがよくわかる。

段差があるアプローチもデパーチャーも前後オーバーハングのアングルにもこだわっているのでバンパーに接触することなく走行することが可能だ。

レンジローバースポーツのローレンジのトランスファーは、ゆっくりと踏みしめて走るには計算しつくしたギヤ比だ。エンジンの出力を安定したトルクに変換して滑りやすい傾いた雪上でも走り出す。「どんな状況でも走ることができる」これがランドローバーのフィロソフィーなのだ。

ラグジュアリーさをメインに走破性をプラスしたレンジローバーイヴォークコンバーチブル

そして最後はレンジローバーイヴォークコンバーチブルを雪交じりの一般道で試乗した。標高の高い雪上の県道から雪とアスファルトが入り混じるタイトな野尻湖周回路を、屋根を開けてドライブした。

▲ランドローバーの中ではラグジュアリーな部類に入るイヴォークコンバーチブル。雪交じりのアスファルトは雪、氷、アスファルトと路面が変化するため実は運転が難しい

▲ランドローバーの中ではラグジュアリーな部類に入るイヴォークコンバーチブル。雪交じりのアスファルトは雪、氷、アスファルトと路面が変化するため実は運転が難しい

初代ランドローバーもオープンボディであったが、背の高いオープンボディは開放感が素晴らしい。雪道を走らせるとまるで雲の上を走っているかのごとく気持ちがいい。車高の低いスポーツタイプに比べて澄んだ空気を感じている印象がありクリーンなのだ。そういった意味でSUVのフルオープンは理にかなっていると言える。

しかもこの直線的な潔いバスタブのようなデザインはイヴォークだからこそできる。かなり単純なように見えるが思い切ったデザインだ。ランドローバーの考え方に基づいた見切りのよいボディは圧倒的に運転がしやすく、タイトな道でもガードレールいっぱいに寄せることが可能だ。

オープンでありながら-6度を示す温度計をものともしないアメニティであった。スノードライブをここまで開放的に、快適にできる車があるだろうか。それがレンジローバーイヴォークコンバーチブルである。

▲雪上試乗会の様子。待機場所も圧巻の雪景色であった

▲雪上試乗会の様子。待機場所も圧巻の雪景色であった

▲Fペイスの車内の様子。無駄なものを排除しながら高級感がある作りになっているジャガーのインパネ

▲Fペイスの車内の様子。無駄なものを排除しながら高級感がある作りになっているジャガーのインパネ

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photo/編集長 中兼雅之

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