[野菜の選び方]無農薬野菜と有機野菜の違いと、見分けポイント
『無農薬野菜』や『有機野菜』といった言葉からは、“なんとなく”「体に良さそう」「野菜本来の味がしそう」といったイメージを抱く方も多いのではないでしょうか?でも、その意味や違いを正しく理解して、選び分けていますか? “なんとなく”ではなく、きちんと違いを知って賢く選べるようになりましょう!
法律やガイドラインで分けると3種類
まず、野菜の栽培法は農薬や肥料の使い方によって3種類に分けられる、と覚えましょう。
農薬や肥料の使い方による分け方
慣行栽培…農薬や化学肥料を使う(一般的な栽培方法)
有機栽培…農薬や化学肥料を使わない、遺伝子組み換え技術を使用しない
特別栽培…「1」でも「2」でもない(農薬、化学肥料の使用量が規定の5割以下に制限されている)
慣行栽培は世の中の大半の野菜が該当するため、特に表示はされません。「2」と「3」は包装などの表示で確認できます。
有機農産物(有機野菜)は「有機JASマーク」で見分ける
有機野菜とは農薬や化学肥料を使わずに栽培したもの。正確には、農林水産省が定めたJAS規格に適合していて、有機JASマークが付いた野菜を指します。
有機農産物とは
農業の自然循環機能の維持促進を図るため、以下の方法で生産された農産物
堆肥等で土作りを行い、種まきまたは植え付けの前2年以上、禁止された農薬や化学肥料を使用しない
土壌の性質に由来する農地の生産力を発揮させる
農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減
遺伝子組み換え技術を使用しない
農林水産省『生き物にやさしい日本を残したい「有機食品」っていいね!』より引用
有機JASマークが付いていれば、「有機」や「オーガニック」の表記が使用できますが、マークがない状態で表記すると法律違反です。有機栽培にこだわって選ぶときは、必ず有機JASマークをチェックしましょう。
「無農薬野菜」という表記は使ってはいけない!?
以前は「無農薬」「減農薬」などと表記された野菜が販売されていましたが、これらの表現は生産者によって定義が異なり、消費者に誤解を与えやすいという理由で、平成16年に禁止されました。農林水産省の『特別栽培農産物に係るガイドライン』によると、「無農薬」「減農薬」「無化学肥料」「減化学肥料」は表示禁止とされています。
ですが、農家の人が頑張って農薬や化学肥料を減らして作ったのに、売るときに何もアピールできないのでは努力の甲斐がありません。消費者にとっても農薬や肥料の情報は、選ぶときのひとつの判断基準になります。
そこで、こうした「慣行栽培ではないけれど、有機栽培ではないゾーン」をこのガイドラインで「特別栽培」と定義したのです。特別栽培の表示には細かなルールがあるのですが、いわゆる無農薬や減農薬は以下のように表示されます。
農薬に関する特別栽培の表記
農薬をまったく使用しない場合…「農薬:栽培期間中不使用」
節減対象でない農薬を使用した場合…「節減対象農薬(※):栽培期間中不使用」
節減対象農薬を削減した場合…「節減対象農薬:当地比◯割減」など
節減対象農薬…従来の「化学合成農薬」から「有機農産物JAS規格で使用可能な化学合成農薬」を除外したもの
慣行栽培野菜の安全性は?
一方、有機栽培でも特別栽培でもない、ごく一般的な慣行栽培野菜の安全性はどうなっているのでしょうか?
もちろん、慣行栽培の野菜にも安全基準は適用されています。出荷が許可される野菜の、残留農薬の一日摂取許容量(ADI)は、無毒性量(安全性試験で有害な影響が見られない最大量)の1/100。つまり、一生涯にわたって毎日食べ続けても健康上問題ない量の1/100を上限としているのですから、かなり厳しい安全基準と言えるでしょう。
最後に
一般的に、有機栽培や特別栽培を謳っている商品は値段も高めなので、包装の表示をきちんと確認してから購入したいですね。「とにかく農薬や化学肥料を避けたい」という場合には、有機JASマーク付きのものを選ぶ、と覚えておきましょう。
最終更新:2017.12.27
文:Dai
写真:gettyimages(1枚目)、小林友美(2・3枚目)
監修:カゴメ
出典: 『生き物にやさしい日本を残したい「有機食品」っていいね!』(農林水産省)
特別栽培農産物に係る表示ガイドラインQ&A(農林水産省消費・安全局表示・規格課)
「食の安全ダイヤル」に寄せられた質問等について(内閣府・食品安全委員会)
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